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飲食店が加入すべき5つの保険
- 火災保険・・・ご自身の財産に対する損害賠償保険
- 借家人賠償責任保険・・・大家さんの財産に対する賠償保険
- 施設賠償責任保険・・・第三者への賠償保険、水漏れ事故にも対応
- 製造物賠償責任保険・・・いわゆる食中毒を起こした時の保険
- 労働保険・・・従業員やアルバイトが怪我をした時の保険
あとはお店の規模に合わせて補償額を決めれば掛け金が確定します。
建物の賃貸借契約を締結する際に、必ず保険に入るよう言われます。
賃貸借契約書に加入義務として条項が入っている場合も多く、借りる方も貸す方もあまり違和感のない部分だと思います。
ただ実際のところ、だれの為にどこまでをカバーする保険に加入すればよいのかハッキリときめられていないなど、慣例化しているようにも見受けられます。今一度掘り下げて中身を確認してみましょう。
賃貸借契約書には、「賃借人は火災保険に加入のこと」とだけ書かれているケースがほとんどかと思います。
大手仲介会社なら自社指定の損保会社が用意する保険に加入するよう求めてきます。
それ以外ではお客様任せのところが多く、大半の不動産会社は加入後、 保険証券のコピーをFAXしてくださいと求めるのみで中身は確認せず実際どこまで補足しているのか疑問です。
これまで、火災保険を含め、 保険と呼ばれる商品に関して不動産業界ではあまり詳しく語られて来ませんでした。
今回改めて飲食店が加入すべき保険の内容を検証してみたいと思います。
賃貸借契約上必要な保険とは
一口に賃貸借物件と言っても、マンションやアパートなどの住宅系賃借物件、飲食や物販を目的とした事業用賃借物件、オフィスなどの事務所用賃貸借物件、それ以外にも倉庫、工場などいくつもの種類に分類されます。
住宅系の火災保険とは
まず、一番シンプルな住宅系を例にとり、賃貸にまつわる 保険 の実態を見てみましょう。
マンションやアパートなどの住宅系は、住まわれる方が特別な使い方をするわけではありませんから、御自身の衣服や家電製品など火災で燃えてしまった時に備えて「家財保険 」に入ればよいのです。これが世間一般で言われる、火災保険と呼ばれているものの正体です。
大家さんが加入している保険とは
では、大家さんの方は保険をどのようにしているのでしょうか?
大家さんは不動産を所有して賃貸収入を得ている事業者でありますから、建物への火災保険 、や施設賠償保険、場合によっては地震保険 などにも入っています。でなければ事故、火災、自然災害によって収入が断たれるばかりか、大切な財産までもなくしかねないからです。当然ですね。
不動産会社が保険をすすめるわけ
賃貸仲介を行っている不動産会社はかなりの確率で保険の代理店をしています。当然契約時に 保険加入を勧め(強制し)手数料を稼いでいるのです。意外と隠れた資金源となっています。残念なことに会社の規模が大きくなればなるほどその確率は高くなっています。
更に隠れたカラクリがこうです。借家人が本来加入すべき家財保険だけでは保険料が安い為に「借家人賠償責任保険」をセットにして契約させているところもあります。
2年間の契約で部屋の広さにもよりますが、15,000円~30,000円程の 保険料が掛かり、その30%程が不動産会社にバックされる仕組みとなっています。週に10件以上の仲介をする大手であれば月額換算でバックされる 保険料は、少なく見積もっても20万円は超えます。
もう少し保険の種類に踏み込むと
「借家人賠償責任保険 」(借家賠)
では、その「借家人賠償責任保険 」(借家賠)とは一体どのような保険なのでしょうか?
マンションやアパートなどの賃貸住宅に住む借家人が、火災や破裂爆発等を起こし、建物に損害を与えてしまったことで「大家さん」に対して賠償責任を負った場合に支払われる補償です。
この保険は単独で入ることが出来きません。
家財保険などのオプションとなっており、なかなか分かりにくくしてあります。
保険各社もそのようなニーズが高いドル箱保険の為、各社こぞって商品を出しています。
これらを「少額短期保険 」(少短)と呼びネット専門会社が数多く存在し、熾烈な価格競争を繰り広げています。
「個人賠償責任保険 」(個人賠)
ところで、借家賠とよく混同されるのが「個人賠償責任保険 」(個人賠)です。
先程の借家賠が、大家さんを対象に補償する保険だったのに対し、
こちらは契約者本人やその家族が他人である第三者に対し補償する保険 です。
例えば、国内外を問わず、日常生活の中で偶然起こった事故により、本人またはその家族が他人に怪我を負わせてしまった場合や、うっかり他人の物を壊してしまったことにより賠償責任を負った場合に保険金が支払われる保険です。
よくクレジットカードなどに付帯しているものと同じです。マンションやアパートの住宅系に限った話ですが、もし洗濯機や台所から階下の人に水漏れをしてしまい賠償責任が発生した時などはこの個人賠が役に立ちます。
では、借家賠しか入ってなかったとしたらどうでしょう?先程説明した通り、借家賠は大家さんに向けてだけの賠償保険ですからこの場合は支払われません。お間違えのないように。
よくある質問:賠償保険以外に閉店保険などはありますか?
「当初の事業計画通りに売上が立たたない」「このままでは運転資金がショートする」実はお店を開業した後にこのような話の相談はよくあります。さすがに、売上不振による閉店時の保証をする商品はありません。但し、閉店時のリスクを軽減する方法はあります。それは、飲食店売却を行うことです。スケルトン費用、解約までの賃料支払いを軽減することができます。
結論 飲食店舗加入すべき保険とは
これまで見てきたのは住宅系ですが、飲食店舗となると保険の守備範囲も補償額も各段に違ってきます。例えば同じ階下への水漏れでも、住居系の個人賠で適用となった補償も事業用では対象になりません。そのあたりを見て行きたいと思います。
事業用の賃貸物件はズバリ「施設賠償責任保険」(施設賠)です。
但し、加入できるのは
- 施設の所有者・占有者(使用者)・管理者
- 施設の内外で業務を行っている企業
支払対象事故例
- お店でガス爆発を起こしてしまい近隣に多大な被害を与えた
- 看板が腐食等で落下し、通行人にケガをさせてしまった
- 自転車で配達中、運転を誤り子供に衝突してケガをさせてしまった(自動車、バイクは別の保険になります)
- 料理を出す際に誤って料理をこぼしお客様の服を汚してしまった
- 飲食店の仕込み中、目を離した際に出火し店舗を焼損させた
- トイレ詰りで水漏れを起こし、階下に損害を与えてしまった
支払対象外:
- 店先に出してある可動式の看板が風で倒れて破損した
- 火災による消失で店が開けず収入がなくなったことへの補償
- 店舗で提供した料理で食中毒を起こしてしまった
- 給排水の老朽化で階下に漏水し損害をあたえてしまった
保険選ぶ際のポイント
事業用の保険は、施設賠など住居系の少短と違い、賠償額と期間で金額が決まるのではなくて、店舗の面積と補償金額によって金額が決まります。
その際、思い違いをしたくないのが掛け金と賠償額の関係です。
賠償額が大きいにこしたことはありませんが、仮に1,000万円の賠償額のタイプに入っていたとしても損失額相当分しか出ません。
どこまでを賠償金でカバーするのか考えないと掛け金ばかりが高くなり損です。
また、自動車保険のように一度保険を使って賠償金をもらうと次回から掛け金が高くなると思っている方がいらっしゃいますが、そんなことはありません。
何のための保険か考えるまでもなく貰えるものは遠慮なくもらいましょう。
最近の保険はなんといってもオプションの多さです。例えば火事などの損害を受けた後の残存物を片付けるのに必要な費用を出してくれたり、お店が復旧するまでの間仮店舗で営業する為の費用を出してくれたり、店舗が復旧後、営業開始を伝える為の広告宣伝費用を負担してくれたりと相当充実してきています。
もちろんあれもこれもとオプショをつければ掛け金が高くなるのは当然ですが、よく吟味して加えておけば安心この上なしです。
もう一つ忘れてはならないのが従業員に対する保険
このところアルバイト、パートの担い手となる主力層は10後半から20代前半の学生から別の層に移りつつあるようです。
コンビニエンスストアーや牛丼店、馴染みのハンバーガー店でも以前に比べ接客をしてくれるアルバイトやパートさんの雰囲気が変わったことに気づかれているのではないでしょうか。
この現象は一口に言ってアルバイトやパートが集めにくくなったことによる結果なのです。
たまに新しい担い手である高齢者や東南アジアの人たちに混ざってこれまで通りの若手も混在していますが、彼らはいわゆるフリーターと呼ばれるプロのアルバイター達です。
彼らは目的をもって活動をする傍ら空いた時間でアルバイトをするようです。
彼らの様な非正規社員と呼ばれる人たちは、未来の補償を同時に得たいと考えています。
仮に時給が同じ額であれば社会保障に加入できる働き先を選びます。
これからアルバイトやパートなどの非正規社員を雇う為には、たとえ今は個人事業主であっても自らが社会保険に加入し、雇い入れる人材に対して社会保険という保障を用意しなければ人が集まらない時代になっています。
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飲食店を開店し、お店を繁盛させるのでしたら、商品やメニューのラインナップ、味や雰囲気作りというお客さま向けの外部要因はもちろん。
火災や台風、または建物に対する保証、そして従業員向けの保険という内部要因も固めていきましょう。