飲食店の「労働保険」アルバイト雇用一人でも加入義務あり

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飲食店の「労働保険」アルバイト雇用一人でも加入義務あり

飲食店のオープンで必ず経験するアルバイト集めの苦労。現地に張り紙を出す方法に、TwitterやFacebookなどでの告知もあります。一方求人雑誌は費用がかさむのでチョットというのが皆さんの共通認識です。

さて、いざアルバイトを雇う段になって迷われる方も多いと聞きます。ただ時給を払えばいいというものではないと頭では分かっていても何をどうすればいいのかというのが実状ではないでしょうか。

今回は、初めてアルバイトを雇用する方に向けて必要な保険の内容を解説いたします。

加入すべき保険は二つ

一般的に労働保険と呼ばれている保険はどのようなものなのか。労災保険と雇用保険の二つをあわせて労働保険と一般的に呼ばれています。

この二つ似た様な名前ですが加入基準も保険の内容も全く異なります。順番に見て行きたいと思います

飲食店 開店前に加入すべき「3つの保険」とは

1.労災保険

加入義務

アルバイトやパートをたった1人雇う場合であっても、労働時間が例えば1時間であっても労災保険には加入しなければならない加入義務があると覚えてください。キビシイ言い方をすると知らなかったとしても違法となります。

保険の範囲

この労災保険でいう労災とは労働災害を指しています。

業務に従事している勤務時間内はもちろんのこと、仕事場に向かう通勤途中や帰宅途中に何かの事故で負傷した場合や疾病、障害、死亡などの災害も含みます。もし負傷した場合などは治療費を国が支給してくれますし、そのことにより働けなくなった期間の休業補償や障害が残った場合の補償などもしてくれます。万が一死亡するようなことになっても遺族給付金なども出ます。

飲食店の負傷と言えば火傷が一番多いのかもしれませんが、出前に行った先で階段から落ちて骨折をした場合でも補償対象となります。

加入者と保険金負担

この労災保険はアルバイトやパートが個人で加入するものではありません。アルバイトやパートを雇い入れる事業主が加入しなければなりません。また保険料も事業主の全額負担です。このように書くと大変な額を納めなければならないのかと思われるかもしれませんが、実際に簡単に計算してみましょう。

アルバイト1名を時給1,100円で雇い、月に80時間働くとすると

時給1,100円×月80時間×12ヶ月×1,000分の3.5=3,695円

※労災の保険料は年額の支払い見込み額業種ごとの保険料を乗じます

※飲食業の保険率は1,000分の3.5

つまり、保険料は年間で3,695円を払えばよいのです。

具体的な手続き

〇どこで

飲食店所在地を管轄する労働基準監督署

〇いつまでに

事業開始の翌日から10日以内

〇提出するもの

  1. 保険関係成立届
  2. 概算保険料申告書
  3. 登記簿謄本

1と2は労働基準監督署にある書類です。事前に取りに行き、書き方の説明を伺った方が間違いないでしょう。

もし労災保険の手続きをしていなかったら

アルバイトやパートを雇っているにも拘わらず事業主が労働保険加入の手続きも保険料も払っていなかった場合どうなるでしょうか。

仮に、労災が発生したとしましょう。この場合労災保険は労災のあったアルバイトが自ら申請することで給付金を受け取ることが出来ます。但し、事業者にはさかのぼって労災保険料及び追徴金の徴収とケガをしたアルバイトに支払われた給付金の全額もしくは一部を負担することになりますので忘れずに手続きをしてください。

※チェックポイント:労災保険給付金の申請はケガが治ってからでも受けることが出来ます。したがって、一度国民健康保険で治療費を支払ったとしても所定の手続きをすればお金は返ってきます。

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2.雇用保険

加入義務の条件(アルバイト・パートの場合)

  1. 一週間の所定労働時間が20時間以上
  2. 31日以上継続して雇用される見込みがある

この二つを同時に満たしている必要があります。

雇い入れたアルバイトやパートと1ヶ月以上の雇用契約や期間を定めない雇用契約を締結する必要があります。但し、連続して働くという意味ではありません。こんなケースは注意が必要です。学生や主婦などの様にフルタイムではなく空いた時間を使っての労働だと1日6時間を3日間の場合だとトータル18時間となり雇用保険の加入義務は無いということになります。20時間を超えるかどうかは大きな要素となります。

保険の範囲

雇用され働く人たちに安定と就業促進を目的として設けられた保険です。なかでも失業した際に一定期間給付金を受け取ることが出来る失業給付が一般的には有名です。ですからこの雇用保険を失業保険と呼んだり付金を失業手当と呼ぶ方もいらっしゃいます。

失業給付以外にも従業員の教育・訓練の為に給付される「教育訓練給付」や育児の為に休業する際給付される「育児給付金」、家族に介護が必要となり休業せざるを得なくなった際に給付される「介護給付金」、その他、高齢化が進む中で高齢者でも働き続けられる為の援助給付などもこの保険で行っています。

加入者と保険金負担

この雇用保険は労災保険と異なりアルバイトやパートと事業主で保険料を折半するのが大きな特徴です。さて、平成31年3月時点の雇用保険料率で双方の支払額をシミュレーションしてみましょう。

アルバイト1名を時給1,100円で雇い、月に110時間働くとすると

時給1,100円×月110時間×12ヶ月 = 年収 1,452,000円

事業主負担: 1,452,000円×1,000分の6 = 8,712円

アルバイト: 1,452,000円×1,000分の3 = 4,356円

※飲食業の保険率はトータル 1,000分の9

雇用保険の算定は見込みや標準報酬額ではなく「賃金総額」に保険料率を乗じます。したがって、通勤手当や深夜手当、調整金など名称の如何を問わず支払われた金額の総額となります。税金や各種の保険料などを控除する前の金額ですから注意が必要です。

具体的な手続き

〇どこで

ハローワーク=公共職業安定所

〇いつまでに

雇用保険に適用事業となった日の翌日から10日以内

〇提出するもの

  1. 雇用保険適用事業所設置届
  2. 雇用保険被保険者資格取得届
  3. 雇用保険被保険者証(前に勤めていた会社で雇用保険に入っていた場合のみ必要)

1と2は労働基準監督署にある書類です。やはり事前に取りに行き、書き方の説明を伺った方が間違いないでしょう。

それ以外に会社で用意する書類として、

労働保険のなかでも必ず加入しなければならない労災保険と労働条件次第で加入かそうでないかに分かれる雇用保険とがあることがわかったと思います。雇用する側の方で、ケガぐらいは自分の保険で病院にいった経験をお持ちの方も多いと思います。ただ、その時正確な知識を持っていたならどうなっていたか考えてみて下さい。これだけ人集めに苦労する時代に「アルバイトには労災はおりない!」と嘘を言ったところで始まりません。それどころかブラックバイト先として世間にしられることとなります。料理を作る時にガスや水道、電気が必用なように、労働保険も必要経費として必ず見込んでおいてください。

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