アルバイトの集まる 飲食店 「 社保完備 」の理由とは

アルバイトの集まる 飲食店 「 社保完備 」の理由とは

アルバイトは大学生、高校生と相場が決まっているとお考えの事業主さん、この辺で意識を変えて頂きたいと思います。確かにこれまで若くてよく働き、教育の質という意味でも申し分のない労働力が、アルバイトという形で必要な時だけ手に入ったことは、飲食業界をはじめ多くの業界がその恩恵にあずかってきたはずです。

しかし人口は減少に転じ、アルバイトの働き方が多様化し飲食店でなくても手っ取り早くお金が稼げる時代となりました。それ故飲食業界は慢性的な人手不足に陥っているのです。

ではどこに解決の糸口があるのでしょうか。また、これまでは大学や専門学校を出たら就職をするというのが一般的でした。ところがバブル崩壊ばかりではなく、リーマンショック、東日本大震災など経済的、メンタル的に大きな影響を及ぼす出来事を経てこれまで日本が歩んできた既定路線ではない働き方が形成され始めています。

今回は、変わる働き方とアルバイトのあり方の変化を追いながら解消されることが恐らくないと予想されている飲食業界の人手不足をどのように補って行けばよいのか保険の観点から考えて見たいと思います。

アルバイト・パート層における働き手の変化

全国の飲食店は67万店、そこで働く人達は436万人という数字が総務省から発表になっています。そのような中、最近飲食店やコンビニ、居酒屋に行くとあることに気が付くことがあります。

以前は学生のバイトばかりだったお店にご年配の女性が働いていたり、東南アジア系の若い人たちだったり、企業をリタイアしたと思しき男性の姿があります。これまで通りの若い男性や女性が働く居酒屋でも、中身は派遣社員であったりプロのアルバイト、つまりフリーターと呼ばれる方々が大勢働いています。

これらを一括りにして非正規社員と呼ぶようになっていますが、日本マクドナルドで1万4700人、すき屋を運営するゼンショーホールディングスに至って位は4万6000人が非正規社員として働いていると公表されています。アルバイトやパートなど非正規社員の割合が84%と呼ばれる飲食店業界ですが、その労働者像が大きく変化をしてきています。

飲食店 改正後の「最低賃金」を守れているか(平成28年10月1日発行)

アルバイト・パートが重視するもの

少しでも待遇のよい職場を探し求めています。一番は時給です。都内では時給1000円前後の求人が多いと言いますが、時給が高ければ人が集まるかと言えば必ずしもそうではないようです。ここには雇う側と雇われる側の思いにズレが生じています。

雇用側では、正社員を雇い社会保険料を半分負担することに抵抗があります。また、労働力として期待しているのはフルタイムではなく、お客様の多い時間帯だけです。少々時間給を多めに出しても非正規雇用にこだわりたいとの思いです。

これに対し、最近のアルバイト、パートはどのように考えているのでしょうか。学生や主婦などが扶養者という枠の中で働いてきたのと違い、生活の糧としてアルバイトやパートという働き方を選らんでいるのですが、時給という収入面もさることながら、社会保障という安心を手に入れたいと思うようになってきているのです。このギャップに飲食店側が気づかないといくらアルバイトを募集しても人は思うように集まらない可能性があります。

社会保険に加入するには

これまで飲食店は非強制適用事業として優遇されてきました。どういうことかというと、本来従業員が5人以上いる事業所は社会保険に強制加入させられるのですが、旅館や理髪店などと同様飲食店はその義務を免除されています。

ここで社会保険の加入義務を整理してみましょう。

1.社会保険の適用になるには、「強制適用事業所」と「任意適用事業所」の2種類がある。

飲食店は、任意適用事業所である。

強制適用事業所の場合、従業員5名以上で強制加入義務

2.任意事業所の適用には、従業員の半数以上の同意を得て、社会保険事務所に届出の必要があります。

飲食店が社会保険の適用を受けるには、社会保険事務所に出向き、飲食店舗である事業所としての適用を受ける必要があります。さらに、被保険者の資格取得、保険料の算定・納付を行う必要があります。

事業主であるご主人がこれまで個人事業主としてご本人も国民健康保険、国民年金の加入であったものを社会保険に変更しなければ、従業員やアルバイトも社会保険の加入は出来ません。

飲食店 アルバイト比率が84%の現実

なぜ社会保険をアルバイトは望むのか

国民健康保険や国民年金は個人で掛金を全額負担するのに比べ、社会保険は事業所と従業員で掛金を折半しますから働く側の負担が軽くなります。また、就業期間中に病気になった場合治療費の補てんが受けられます。もしケガで働けなくなっても一定期間賃金の一部が補てんされます。一時金という名目で傷病手当などもあります。

また、社会保険を完備している飲食店(事業所)では、労災保険は勿論のこと雇用保険にも入っているだろうとの期待があるはずです。正社員に限らずアルバイト一人でも雇用することで加入義務の生じる労災保険より、失業手当と呼ばれる給付金がもらえる雇用保険への加入は物凄く魅力に映るはずです。

働く側からの理論で言えば、一定期間務めた後に自己都合で退職したとしても失業手当がもらえます。その給付期間中は働かなくてもお金が入ってくる時間です。言い換えれば、趣味でも勉強でも自分のライフスタイルにあわせて過ごせる時間が出来るということです。ある意味最大の魅力かもしれません。

労使折半の保険料はどれぐらい

一方でアルバイトが社会保険に加入できるかどうかの基準があります。1日また1週間の労働時間が正社員の4分の3以上と定められています。正社員が1日8時間で月に20日間の出勤だとすると、160時間です。この75%以上ですから概ね120時間の労働となります。時給が1000円だとすると月収12万円です。東京都での保険料をみると

健康保険料 5,876円 + 厚生年金保険料 10,727円 = 計16,603

毎月この金額が飲食店側の負担となります。

日本の労働人口6,000万の内非正規と呼ばれる方が2,000万人を超えてきています。今後まだまだ正規社員との差は縮まってくるものと思われます。そうなった時でも非正規社員と呼ばれているかは疑問です。多分社会保障も含めてどちらを選ぶのか選択制となるのではないかと思われます。そうなると現在の社会保障が事業所単位での届出となっているものが、就業者単位での届出に変わる可能性があります。もしかすると、アルバイトやパートと呼ばれている言葉も死語になる日もそう遠くはないかもしれません。

飲食店 開店準備のための保険契約

保存

物件情報

お店をはじめよう 業種を決める ライフスタイル 相談する 開業情報 お金

  • このエントリーをはてなブックマークに追加