飲食店 アルバイト比率が84%の現実

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飲食店 アルバイト比率が84%の現実

タイトルからして驚きの数字です。一瞬そんなに?というのが正直な感想です。飲食店と聞いて思い浮かべるイメージは人それぞれかと思います。居酒屋、ファミリーレストラン、ハンバーガーショップなどなど。

これらを一括りにして外食産業と呼びますが、今回はアルバイト比率から見えてくる業界の問題点と最近盛んに取りざたされている冷凍食材との親和性についても考えて見たいと思います。

外食産業とは

一般社団法人日本フードサービス協会のウェブサイトを尋ねてみると外食産業に含まれる業種の多さを知ることが出来ます。例えば、給食事業やホテル、病院、果ては国内線の機内食まで含めています。これらの業種を外食産業の中でも特に「給食主体部門」と呼びひとまとめにしています。市場規模で言えば全体の79%を占め、20兆円を超える規模なのです。更に細かく見てみると、いわゆる飲食店が13兆6000億円で全体の50%近くを占めています。この中にはファミレスなどを含む食堂、レストランにそば・うどん、回転寿司を含むすし店が含まれています。ハンバーガーなどのファーストフードはその他の飲食店に分類されています。13兆6000億円に占めるそれぞれの内訳では、食堂・レストランが9兆7000億円と群を抜いています。他の業種は1兆円を少し超えた程度でどれも似たり寄ったりです。

飲食店の人手不足解消 アルバイト定着作戦

アルバイト比率84%を検証する

この数字は1店舗当たりの平均アルバイトに関する数字です。都内で考えれば、20坪ほどの飲食店が全体9万件ある飲食店の7割近くを占めるのですから、1店舗あたりの従業員数は2人から4名が標準的となります。正社員1人にアルバイト1人から3人となります。このバランスを見る限り80%を超える数字が出てくるとは思えません。せいぜい60%前後です。

ここでミスをおこしがちなのがアルバイトの総数のカウントです。仮に正社員1人とアルバイト2人の三人でお店を切り盛りしていたとしても、昼のアルバイトと夜のアルバイトは別人かもしれません。もっと言えば夜のアルバイトも週によって入れ替わりがあるかもしれません。となると20坪ほどの店でもアルバイトの数が総勢5人ぐらいは働いていることになります。つまり、正社員1人にアルバイトが5人だとするとその比率は83%となり冒頭の84%とほぼ同じになります。

もう一つのデータ

同じ総務省の出しているデータで正規の職員、従業員と非正規の職員、従業員の数の推移を表したものがあります。最近の3年間のデータで正規の職員、従業員の数は93万人ほどでほぼ横ばいです。これに対し非正規の職員、従業員の数は195万から3年で210万人まで増えています。この伸び率は、外食産業全体が売り上げベースで年間に成長する伸び率とほぼイコールの2%から2.5%です。

この数字を見る限りでは、外食産業の成長は非正規従業員であるアルバイトやパート頼みということになります。ではなぜ正規の従業員が増えないのか考えて見ます。

外食産業の利益率の低下

長く続いた経済の低成長時代は、外食業界にとっても冬の時代でした。ハンバーガーや牛丼に象徴される企業間の価格競争が食のコストを徐々に引き下げていきます。やがて低価格のファミリーレストランに低価格を売りにする居酒屋チェーンが現われますます外食の低価格競争は激化したと言えるでしょう。そして一番ダメージを与えたのがコンビニエンスストアーのお弁当類との価格競争だったのではないでしょうか。長引くデフレスパイラルは価格から徐々に利益を奪っていき、年年歳歳合理化を進めようとも終わりを告げることなく今に至っているイメージだと言います。

正規従業員の雇用コスト

外食産業と呼ばれるのですから、組織として人を雇用し安定的に事業を展開するのが本来のあり方だと思います。しかし、人件費にコストを割けない外食産業は正規雇用による雇用保険料の負担すらままならなくなっています。本来会社が半額を負担すべきところをあえて社会保険に加入せずそのコストを非正規従業員に負担させているのです。これは脱法行為ではなく、飲食業は5人を越える従業員を抱えても社会保険の加入義務が免除される業種に指定されているからなのです。このことが正規従業員の増えない大きな理由の一つと言えるでしょう。

外食産業の今後

店サポの予想では、今後更にアルバイト比率が高まるものと予想しています。根拠はこうです。

調理方法、食材の進化

昨年からフランス発の冷凍食品を提供するブティックが立て続けに都心でオープンしています。また、日本でも冷凍加工した食材を提供するレストランや通販サイトが出始めています。実際に食べてみると調理された後に冷凍保存されものか、実際に調理されたものかどうかの区別がつかない程のレベルにまで来ています。この技術が更に進むと一般の飲食店やレストランは料理人が必要無くなることも予想されます。つまり非正規従業員比率は限りなく100%に近づくという訳です。

オペレーションの合理化

昨年ニューヨークに新しいタイプのレストランがオープンしています。壁一面に並ぶ調理済みの料理、これがガラスケースの中に収められています。その中から食べたい料理を指定すると加熱され出来立ての状態で目の前に運ばれてくるというレストランです。お客様は、注文する料理を決めて番号を入力するだけです。あとは自分で料理の乗ったお皿を席に運んで食べるだけというオートメーション化です。実は日本のファミリーレストランでも人が運んでくれはするものの原理は同じというお店が存在しています。

タイトルをご覧になって84%のインパクトを感じたことと思います。しかし外食産業自体は更にそのパーセンテージを上げながら利益を追求する時代へと向かっているのです。しかしながら都内で一番数の多い20坪以下の小規模飲食店は別だろうとお思いになるかもしれません。ところが、食品商社が仕掛ける食材の合理化の波はいち早く小規模店舗に届き、利益を一番出しづらい小規模飲食店が提供する料理の大半が別の場所で作られた料理になる日は意外と遠くないかもしれません。

マイナンバーで飲食店のアルバイトが激減?

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