飲食店舗を探し始めて1年、居抜き物件を探されているとのことでした。以前はエリアを限定して物件を探されていたようですが、最近はエリアを広げて探しているとのことです。
普段からネットでの物件検索を欠かさないというその方からは、
「どのサイトも同じような物件ばかりですね。おなじだけならまだしも条件が違うのは何故ですか?」
この質問には業界人としてちゃんとお答えする必要があると思いひとしきりご説明申し上げた次第です。
今回は、その内容をベースに、居抜き物件情報がどのような経路をたどり皆さんの目の前に出てくるのか解説しつつ、居抜き物件情報の見分け方、探し方についてお話したいと思います。
- 初めてでも abc からはじめる 居抜き店舗
- ネット上に並ぶ 飲食店舗居抜き物件の見方、不動産業者の選び方について
- 店サポ 居抜き店舗 物件情報ホワイトペーパー【飲食店ができる物件情報更新】一覧
- 居抜き店舗 物件一覧
Contents
飲食店舗居抜き物件の出現数を解りやすく解説
東京都について検証します。
白書によりますと飲食店の数が概ね8万4,000件です。最近は若干減少傾向です。この中で毎年6,000件前後の飲食店が閉店しています。月当たり「500件」ですから結構な数になります。
このなかから居抜き物件としてマーケットに出回る数が概ね3割程度、つまり月に150件程度ですから、「1日あたり約5件」の計算です。都心の駅前も三多摩地区も含めての出現率ですから飲食店舗の居抜き物件がいかに少ないかお分かりいただけると思います。
ではこの貴重な飲食店舗居抜き物件情報ですが、どのような経路をたどってくるのかみてみましょう。
飲食店舗が居抜き物件情報として出てくる要因はなにか?
賃貸物件の場合、民法により借りたものはもとの状態にして返すよう定められています。
その関係で、賃貸不動産の契約書には原状回復義務と言って最初に借りた状態に借主負担で戻して返還するよう必ず書かれています。例外なくです。
この契約条項により、飲食店舗を閉店する場合、内装や空調、電気、給排水などの設備などをすべて取り払ってスケルトン(床・壁・天井がむき出しの状態)の状態にして返還をするというのが一般的です。
ところがそのように契約書にうたわれているにも拘わらず居抜き物件が出てくるわけですから何らかの理由が存在します。その理由とは概ね以下の4つです。
- 滞納などで敷金を使い果たし原状回復をするお金も借主にないのでやむなく居抜きで募集をする
- 滞納こそしていないものの敷金で原状回復工事をするにはお金が足りず、大家さんも不足のお金が払えない為やむなく居抜きで募集する
- スケルトンに戻してしまうと次のテナントが決まりづらいとの判断で居抜き店舗として募集
- 飲食店を解約する前に、居抜きで引き渡せないか相談をうけた不動産会社が無断で居抜き店舗物件として掲載している
この4つ以外にも居抜き物件が出現するルートが存在します。それは、
- 飲食店舗のサブリース事業を行っている不動産会社が新たに取得したサブリース物件
- 以前からサブリース物件として所有していた店舗で解約が出たため居抜き物件として募集
飲食店居抜き店舗は出現要因によって中身が大きく異なる
前のチャプターで上げた4つの要因により世に出てきた飲食店居抜き店舗の内容について順番に検証してみることにします。
1.滞納などで敷金を使い果たし原状回復をするお金も借主にないのでやむなく居抜きで募集をする
この要因は一番気を付けたい居抜き物件です。
質的には一番低く、場合によってはゼロから作り直すのと同じぐらいの費用がかかる場合があります。
なぜなら、滞納分を回収できなかった大家さんが、店内に残る厨房機器などをリサイクル業者に売ってしまうケースが殆どで、シンクや空調機まですべてなくなっている場合がほとんどです。
僅かに残るのが、床、壁、天井やカウンターなどの内装部分だけです。本来はこの状態を「残置物件」と呼ぶのですが、居抜き物件と言ってはばからない不動産会社は多く存在します。
また、その状態にもかかわらず、値段をつけて売却することで少しでもマイナスを取り戻そうとする大家さんも多いので要注意です。
2.滞納こそしていないものの敷金で原状回復工事をするにはお金が足りず、大家さんも不足のお金が払えない為やむなく居抜きで募集する
この要因には居抜き物件として十分活躍してくれる可能性のある物件が含まれています。
ただ、素人目には空調機の状態や厨房機器の不具合などが見抜けない為に、見た目の綺麗さに惑わされて契約したものの厨房機器の入れ替えや空調機の基盤交換、排水管の詰りなどであっというまに出費がかさむものも含まれています。言うなれば玉石混合状態です。
仮に契約を結んだあとで不具合が起きても大家さんも不動産会社も助けてはくれません。
なぜなら、「契約の時点ですべての所有権は次の借主に移るというのが居抜き物件の大前提」だからです。なにが起ころうと自己責任、自己管理となることを覚えておいてください。
3.スケルトンに戻してしまうと次のテナントが決まりづらいとの判断で居抜き店舗として募集
コロナ拡大前から1階店舗不動産の人気に明らかに変化が現れました。特に駅前の店舗を奪い合っていたチェーン店やコンビニが物件選定を厳格化したことで、決まる物件と決まらない物件がハッキリしたことにあります。
つまり、決まる物件は極端な話1日か2日で次の借り手が決まるのに対し、決まらない物件は数か月も空いているか、値下げをしないと決まらなくなったのです。
それに加えて、内装をイチから作ることで多額の開業コストがかかるスケルトン物件はさらに敬遠されることに。
大家さんから管理を任されている不動産会社は、内装や設備を残す居抜きの方が決まりやすいですよと大家さんにアドバイスをするようになったことで、物件がマーケットに出やすくなったと言う訳です。
4.飲食店を解約する前に、居抜きで引き渡せないか相談をうけた不動産会社が無断で居抜き店舗物件として掲載している
飲食店の居抜き物件に人気がある関係で、居抜き物件を扱うことを前面に出している不動産会社が増えました。
彼らは、奇抜な色合いや大げさな表現を使ったWebサイトで飲食店を閉店する方からの情報を集めています。
飲食店をおやめになる方にとって居抜きで次の人に引き継ぐことは、金銭的なメリットが大きく多くの相談が寄せられるようです。
これらの情報が相談をしてきた方や大家さんの了解を得ることなくネット上にアップされるトラブルがこのところ頻発しています。
居抜き物件を探している側からすると、これだと思って情報に飛び付いても結局物件化されないことの方が多く、振り回されるだけの結果になります。
飲食店舗居抜き物件情報はどこに
試しにGoogleで「飲食店舗 居抜き物件情報 東京」と入力してみると実に約 397,000 件もの情報が出てきます。(2023年5月29日更新)
それぞれに異なった居抜き店舗情報を掲載しているかと言えばそうではありません。自社で開拓したオリジナル物件にこだわる会社もあれば、何処かの不動産会社が扱っている物件を無断転載してお客様から電話を待つ会社もあります。
彼らは、後日問い合わせをしてきたお客様に自社で把握している物件だけを売り込むという作戦です。これはもう「おとり広告」と同じです。
比較的確実に物件を探せるのがサブリース事業を主体にしている不動産会社の物件です。
特徴としては、居抜きの状態が比較的分かりやすいことと、申込んでから入居の可否が出るまでの時間が短いことがあげられます。その分いい物件は倍率が高いのが難点です。
居抜き物件を扱ってる不動産会社が仲介会社なのかサブリース事業者なのかを見分ける点はただ一つ、貸主かそうでないかです。
サブリース事業者は貸主ですが、仲介会社は貸主ではないというところで判断します。
- サブリース のメリット
- トラブルから考える サブリース のメリット。これで借手も貸手も納得
- 居抜き店舗サブリースが敬遠される理由に答える
- 飲食店舗サブリース を巡る誤解について(その1)
- 店舗店舗サブリース を巡る誤解について(その2)
飲食店舗居抜き物件への近道とは
飲食店の居抜き物件を扱う会社の多くはなぜか会員登録を求めてきます。
うたい文句は、会員になれば詳細情報が見られますだとか、メールで未公開物件の配信をしますというものがほとんどです。
実態は、アクセスをしてきたユーザーを追跡する為の情報収集です。例をあげれば、特定のページに何度もアクセスをしてくるユーザーに対し電話やメールで売り込みを行っています。ただ、逆の使い方で言えばそのことにより特定の営業マンと懇意になれる可能性が高くなります。となれば早い段階(未公開)の情報が聞ける可能性が高くなります。
その時営業マンは客であるあなたのことを値踏みするハズです。そこではいかに真剣に探しているか、すぐにでも契約できる用意があるかを明確に伝えることで、頑張って情報提供をしてくれること請け合いです。なぜなら営業マンも成約によって給料が決まるからです。
数社と良好な関係を築いていけば居抜き物件への近道となるのです。
居抜き店舗の意味については「居抜き店舗とは」をご覧ください
居抜き物件、居抜き店舗の情報のことなら
居抜き物件、居抜き店舗の情報、インターネットで検索をしても様々は不動産会社、専門業者から情報の提供や開示があります。
今ご覧になっているアソルティの店サポでは居抜き物件、居抜き店舗の情報をいち早くお知らせいたします。しかもまだどこにも掲載されていない居抜き店舗の情報は「店サポ」でご紹介。