飲食店の閉店や移転を行う際、居抜きでの売却をするならできるだけ高く売りたい‥というのが本音ではないでしょうか?
本記事では、一般的な居抜き物件の売却相場から、売却価格を決める重要な要素を「立地」「規模(部屋型)」「清潔感」の3つの視点から徹底解説していきます。
Contents
飲食店の店舗売却金額はどう決まるの?知られざるメカニズム
飲食店を経営なさっている方なら、もしご自身の飲食店の売却依頼をするとしたら、どれだけの価値があるのかを知りたいことでしょう。
また、どのようにして飲食店の価格が決まっていくのかも同様にお知りになりたいことと思います。
これまで、あまり語られてこなかった飲食店の居抜き店舗物件売却相場について、そのメカニズムに迫りたいと思います。
飲食店居抜き店舗物件売却の実態
ひと口に「居抜き店舗売買」(造作譲渡)と言っても、いくつものパターンが存在します。
居抜き店舗といわれる物件のなかでも、開店から数か月しか経っていないというものもあれば、10年以上も営業を続けてこられた物件もあります。既に閉店して厨房機器などがない物件まで居抜きと言われています。
また、明け渡しの状態も様々です。開店から長い年数が経っていても、毎日スチームで床清掃を欠かさなかったお店もあれば、一度も掃除をしたことがなく、厨房機器の隙間などいたるところにゴキブリの死骸が放置されているものまであります。
つまり、居抜き物件とはひとつとして同じものは存在せず、営業してきた業種、営業年数、店舗の大きさ、厨房設備などまさに千差万別です。
この規格ものでない、全てがオンリーワンの居抜き飲食店舗物件では、どのようなプロセスを経て売却価格が決定されるのかみてみましょう。
居抜き物件売却価格の決め手となる3つの重要要素
仮に、スケルトン(床、壁、天井、電気・給排水設備の無い躯体がむき出しになった状態)で物件を借りて、一から工事をする場合工事代金は1,000万円~2,000万円ほどかかります。このような飲食店を売りに出す場合、営業年数にかかわりなく数百万円の売値を希望されるケースがよくあります。しかし、これは後ほどお話しする「好立地パターン」を除けば、まず売却できないかもしくは売却までに相当な期間を要することとなるでしょう。
では、飲食店舗の買い取りをされる売却価格は何によって構成されているのでしょうか。
主要な要素は3つ。
- 立地
- 規模(部屋型)
- 清潔感
「何だ、厨房機器や内装に値段がつくのではないのか」と言われそうですが、それらは確かに価格を決める要素の1つではありますが、価格を大きく左右するものではありません。
居抜き店舗売却のポイント① : 立地
ナショナルチェーンが「駅前立地にどうしてもお店を出したい」というとき、20坪ほどの飲食店の内装に1,000万円近い買取り金額を提示することがあります。賃料を吊り上げて借りるとランニングコストがアップすることを嫌う彼らは、居抜き店舗の造作代として多額のお金を支出します。その金額はお店を作る内装費のようなものですから帳簿上は資産として残せるためです。つまり、その場所が欲しい人が多いほど飲食店の売却価格は高くなるというメカニズムが働きます。売却価格が高額でも売れるケースはほぼこの好立地パターンです。
居抜き店舗売却のポイント② : 規模
個人の方で30坪や40坪といったサイズのお店を始める方は少数派です。ご自身が厨房に立たれるのであれば、アルバイトを1~2人雇って切り盛りできるせいぜい10坪から15坪程度の規模です。事実、このサイズの需要(人気)が一番あります。
また、同じ大きさでも部屋の形の良し悪しが売却価格に影響してきます。変則的な形だと、思うように席数が取れないことがあります。規模が小さいだけに1席、2席が増えるか増えないかは死活問題です。例えば、間口が狭くて奥に長い部屋型よりは、間口の広い物件の方が好まれる分値段も高くなります。
居抜き店舗売却のポイント③ : 清潔感
少々あいまいな表現に聞こえるかもしれませんが、お店をこれから開こうと思っている方にとって、最初のイメージは大変重要です。
10年以上営業してこられたお店でも、毎日客席や厨房を磨き、掃除をしてこられたお店は古さを全く感じさせないものです。そんなお店をいくつも見てきましたが、やはり早く、あまり値下げ交渉も入らないまま売却の商談が成立していきます。
店舗売却に契約書は必要か、その中身とは
これは、飲食店舗を居抜きで買う方にも売る方にも重要なポイントです。これまで契約書を取り交わしておかなかったが為にトラブルになった事例が数多くあります。では具体的にどのようなことを取り決めておけばよいのか見てみましょう。
- 引き渡し日の確定
- 引渡物品の確認
- 引渡状態の確認
- 引き渡し後の取り決め
- トラブルの際の解決
店舗を譲り受け新たに飲食店を始める側からすると、工事を入れる日程や人を雇い入れる日程などこの引き渡し日が重要となります。また賃貸借物件である場合は、どこで賃料の支払い義務を切り替えるのか重要なポイントになります。
引渡しに際し約束していた厨房機器や椅子テーブルの数など契約書にしるしておけば引渡当日言った言わないのトラブルにはなりません。
とりわけ三番目の「引渡し状態」が一番のトラブルになることが多いのです。ゴミや調味料などは売り手が処分すべきですが残っていることが往々にしてあります。
店舗売却で買手が困るポイントの一つが「引渡し後のトラブル」です。引渡し後すぐに何かが壊れて動かなくなることがあります。居抜きの売買で基本的な考えとして、引き渡し日を境に所有権が移りますので、それ以降は何があろうと買主の負担となります。最初から壊れていたのではとあらぬ疑惑を招かない為にも事前に動作確認を必ずしておきましょう。
店舗売却時の税金はどうなる(仕訳・消費税)
会社組織で飲食店を開業する際に、店舗を作った費用を償却資産として帳簿に記載し、税務署に届けていることがほとんどです。飲食店舗の売却となると内装・設備などの固定資産と厨房などの動産に分かれます。それぞれの耐用年数が法律できまっており簿価の残額と売却価格で最終的には除却といって帳簿から消すことになります。
簿価の残額以下で売却することになればマイナスが生じます。逆であれば利益が出ますのでそれぞれに仕訳ることとなりますが、ここで注意をして頂きたいのが消費税の考え方です。簿価と販売価格の差額に10%を乗じるのではなくあくまでも販売金額に消費税はかかってきます。お間違いなく。
店舗売却価格相場の現状
飲食店舗の売却価格が、内装や厨房機器の値段だけで決まるものではないことをご理解いただけたと思います。さて、次は最終的に価格決定をする要素はなになのか考えてみます。
飲食店舗の居抜きと呼ばれるスタイルが、今ほどポピュラーでなかった2010年前後は、物件も少なくマーケットは今と違い売り手市場でした。買い手の方もスケルトンから造ること考えると半額で収まるならと、20坪前後のお店に400万、500万円というお金を払ったものです。
その後、居抜き物件情報が世の中に出回るようになり、居抜き物件を紹介する専門のポータルサイトや、居抜き店舗を専業にする不動産会社が増えるにつれ、徐々にその価格は下がってゆきました。
では、現在の店舗売却の相場はなにに影響をうけているのでしょうか。
実は、自己資金や借入金額と密接な関係にあります。
初めて飲食店で独立、開業をされる方の平均的な開業予算は500万円~600万円が一般的です。ではその中身を見てみましょう。
<シミュレーション>
開業予算:500万円~600万円
物件条件:15坪、賃料30万円/月
- 敷 金 150万円
- 礼 金 60万円
- 手数料 30万円
- 運転資金100万円
- 改装費 100万円
合 計 440万円 ⇒ 予算の残額60万円~160万円
残額に相当するのが店舗を買い入れる金額となります。
都内飲食店で一番物件数が多いのが10坪前後から25坪ぐらいまでです。このサイズを求める人たちが出せる金額(60万円~160万円)にマーケットに出てくる居抜き店舗の売却価格が近づいてきたと考えるのが自然です。
店舗売却困った時のおたすけ
もしこれまで続けてきた飲食店舗を友人や誰かの紹介で知り合った方にお譲りするということは十分考えられます。いくつものサイトを調べて居抜き店舗の店舗売却をご自身でなさろうというのも思い入れがあるだけに努力のし甲斐があることでしょう。ただ、不動産の領域であるこの取引はそうはいってもわからないことだらけです。本業の不動産会社でも飲食店の居抜き店舗を扱ったことがないところも沢山あります。
そこで手続きなどノウハウを提供頂き手数料を支払って契約書などの取りまとめをお願いするのも手だと思います。ネットで「飲食店・居抜き」と打つだけで相当数件数が出てきます。キャッチコピーに「高く売れます」とか「すぐに売れます」とか、お金を前面に出しているような不動産会社を避けて検討してみてはいかがでしょうか。
今後の飲食店舗の売却相場は上がる?下がる?
令和4年5月現在建築、不動産マーケットであることが囁かれています。ウッドショックと言われる木材不足、中国や東南アジアからの半導体やコンデンサの供給がコロナで止まり、照明や空調機など制御する部品が揃わず品薄状態となっています。
これにより、スケルトンから飲食店を造る場合、発注から完成までどれだけの時間がかかるかわからないという状況になっています。このことが、改装だけで済む居抜き店舗の人気を一層引き立てています。引き合いが増えれば当然価格は上昇します。最近でも自由が丘辺りの居抜き物件で400万円という取引が成立したと聞きます。
もう一つの要素が金利です。低金利が続く間は飲食店舗の売却価格は今よりもそうは下がらないでしょう。逆に、金利が上昇して独立、開業をする人が借入額を抑えるようになると、売却額は下がるものと思われます。
まとめ
これまであまり語られてこなかった飲食店舗の売却金額の決定基準‥。自分が経営している飲食店舗は実際いくらで売れるのか?という疑問への明確な回答を持っておくことは非常に重要です。
居抜きでの売却金額を決める際は、好立地であること・10-15坪等の需要が見込める規模感であること・古さを感じさせない清潔感が重要な要素になることがわかります。居抜きでの売却を考えられてる飲食店のオーナー様は上記の条件を踏まえて交渉されることをお勧めします。
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