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飲食店の黒字化は4つの経営指標をチェックするだけ

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jarmoluk @ Pixabay

お店の支払いや売り上げの回収方法が多様化しており以前の様に手元にあるお金や口座にあるお金が正しくお店の売上を示すものであるのか、運転資金として使えるものかどうか判断が難しくなってきています。必要以上に神経質になることもありませんが、逆に何とかなるだろうと楽観的になり過ぎるのも危険です。月末に現金がショートした時点でアウトとなります。

飲食店を開業し経営するにあたり必ず押さえておくべき数字があります。例えば、損益計算書などで表されている数字がその代表格ですが、ただ数字を積算した結果として捉えるのではなく、日々目指す数字の結果としての通信簿だと思った方がいいでしょう。

日々の仕入れや売上のデータを記録する前に、自分たちが目指すべき数字がどれなのかが見えていないとただカンに頼っているだけの経営としか言えません。

今回は、日々の売上に直結した経営指標とその求め方、考え方について解説します。

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Contents

1.出を制する。2つのコスト管理

黒字化に必要な数字を求めるためには、飲食店を運営する為のコストを知る必要があります。つまり支払っているお金のことです。

このコストには2種類あって、毎月決まった額で出て行く固定費と売上の多い少ないに連動して毎月変わる変動費に分けることが出来ます。

固定費

売上高や営業日数に関係なく毎月同じ額だけかかるコストの事です。

大きいものでお店の家賃や管理費、それから厨房機器やエアコンなどの設備機器をリースで入れた場合のリース料、飲食店舗をオープンさせる際にかかった工事費や設備、厨房機器などの減価償却費などがそうです。

※減価償却費:設備や機器には法律で定められた耐用年数が決められており、原則その耐用年数を過ぎたものはお役御免となり新しいものへ置き換えることとなっています。しかし一度に多額のお金がかかるので毎年その資金を積み立てることが認められています。これを減価償却費といって、利益から経費として控除することができます。

変動費

固定費とは対照的に毎月額が増減するコストの事です。

例えば来店されるお客様が増えればその分だけ材料を仕入れますから材料費は増えます。同時に調理に必要なガスや水の量も増え水光熱費が増えます。

また、一般的には人件費は固定費として分類するのですが、飲食店の労働環境は繁忙期や閑散期、ランチタイムとディナータイムで複数の人材をシフト制や時間給によるアルバイトなどでコントロールすることが出来ます。それ故固定費ではなく変動費として今回は扱います。この後説明をする「FLコスト比率」を知る上でも人件費を変動費に組み入れておいた方が都合がいいと考えます。

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2.FLコスト比率を管理

飲食業界で語られる重要な指標の一つに「FLコスト比率」と言うものがあります。このFLコスト比率とは、Food(食材)のFとLabor(労働)のLそれぞれの頭文字をとっています。材料費と人件費の合計が売上高に対する比率で適正かどうかを表そうというものです。

2014年に日本政策金融公庫総合研究所が行った調査結果では以下の数値が出ています。

飲食店の売上高に対し、「材料費30%前後」「人件費35%前後」

もちろん飲食業で業種、業態や規模の異なる店舗の平均的な数字なのですが、ひとつの目安、考え方の拠りどころとしてみるには手軽で分かりやすい数字です。

この、対売上高で材料費と人件費を足した比率が65%以下が一つの経営指標なのです。ここでこれから飲食店を始める皆さんに是非理解をして頂きたいことがあります。

上記でご覧いただいたようにコスト(総費用)全体で見れば固定費+変動費です。仮に売上高が増加すればそれに伴い変動費も増加することがお分かり頂けたと思います。お店の利益は「売上-総費用」ですから固定費を下げないと利益は多く残せないと言うことになります。当然ですが、家賃やリース代、減価償却費を途中で下げることは不可能です。

そもそも出店する飲食店の家賃を出来るだけ抑えたり、設備や厨房機器などを無理してリースを組むことは極力抑えるべきだと言うことになります。

計画段階で利益の出る家賃や初期投資はいくらであるか逆算をするとよいでしょう。

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3.損益分岐点がどれだけなのか意識する

語感からあまり難しく考えないでください。飲食店が支払う総費用と同額になる売上高が損益分岐点です。この点を境に、その金額以上の売上が上がれば黒字と言うことになりますし、それ以下だと赤字と言う訳です。

損益分岐点売上高(円)=固定費÷(1-変動費÷売上高)

上記で書いた固定費、変動費、売上高の3つをつかって求めます。

サンプル:15坪(23席)  家賃月額25万円

売上高 200万円

固定費   35万円 (家賃+リース料+減価償却費)

変動費 130万円 (材料費+人件費)

35万÷(1-130万÷200万)= 100万円

この飲食店では収支の分かれ目は毎月100万円の売上がなければ赤字と言う結果が出ました。

4.目標売上高の設定、逆算の発想

上記の店舗で毎月40万円の利益を出すためにはどれくらいの売上が必要か考えて見ましょう。

目標売上高(円)=(固定費+目標利益)÷(1-(変動費÷売上高))

(35万+40万)÷(1-(130万÷200万))=214万円

毎月40万円の利益を出すためには214万円の売上が必要だと言うことが分かりました。現在の売上が200万円ですから、あと14万円をどうやって売上に上乗せすればよいのか考えればいいということになります。目標を数字で見える化すると言うのはこういうことなのです。

~まとめ~

今月は売上が多かったな。団体客の予約が多かったせいだ。今月は売上が伸びなかったな。台風や豪雨の影響だろう。などと分析をする飲食店経営者がいらっしゃるかもしれません。売上が上がっている時は別として、目標となる数字が先程の214万円だとすれば、月末の集計では遅すぎます。営業日単位で考えれば、月25日の営業日で割り戻すと1日あたり85,600円の売上が必要です。毎日その額に対するトレンド(1日ごとにプラスマイナスの積算比較)を見て行けば、月半ばで何か手を打たないと目標に達しないぞと分かる訳です。ここがわかるかわからないかが飲食店の経営を大きく左右するのです。

もう一つ大きな事実が浮かびあがります。お店の規模、客単価、賃料などその場所で飲食店を続けていいものかどうか結論が出ます。一定期間続けても黒字化しない場合は移転・撤退も一つの選択肢です。

これから飲食店を始める方は是非最初からこれらの数字を頼りに宣伝や広告など先手先手の営業計画を実行してください。

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