最近は不動産に詳しい人でなくても「居抜き」といって意味が通じるようになってきました。
特に飲食業界では、一部の高級店を除けば出店・開業をする選択肢の一つとしてすっかり地位を確立しつつあります。
さて、飲食店の居抜き物件を扱う不動産会社のWEBサイトには物件を購入する人に向けた記事は数多くあるのに対し、閉店にあたり居抜きのままお店を残したいと考える人に向けた記事があまりにも少ないと感じています。
賃貸物件で飲食店を閉める際には多くのハードルがあるにも拘わらずキチンとしたノウハウが語られないままその日を迎えています。それゆえマーケットに出てくる居抜き物件数は10年前の黎明期からさほど変わっていないのが現実です。
ここでは、「お店を閉めたい」と考えている飲食店経営者が飲食店を閉めるさいに居抜き物件として残すための方法を整理したいと思います。
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飲食店の居抜きとは経営不振で閉店とは限らない
勘違いされやすいのが、居抜き物件はお店がうまくゆかずに閉めた店舗のイメージがありますが、決してそうではありません。例えば、より立地の良い場所に移転をする際やお店の規模を大きくしたり小さくするための移転時なども積極的に活用される手法です。
飲食店閉店時に居抜きと原状回復工事を分けるポイント
賃貸物件を借りる際、契約書には必ず原状回復条項が入っています。
簡単に言うと、借りた物件を返す時には、借りた時の状態にして返しなさいという取り決めです。例えば、飲食店として借りた物件で借りた時の状態がスケルトン(床・壁・天井の仕上げがなされていな状態)であったならば、折角造り込んだ内装や厨房、給排水設備すべてを壊して元の状態にし返すことを意味しています。
これって結構な費用がかかります。内装を壊したガラやゴミなどを捨てるだけでも産業廃棄物として2tトラック2台分は軽く出ます。捨てるだけで20万円程になります。
因みに、全てを壊すには坪当たり10万円近くかかりますので10坪程度の飲食店でも解体工事費は100万円程になります。
当然解体をしないで居抜きでの残せるならと考えたくなります。
2000年頃まで飲食店の居抜き物件がマーケットに出るのにはある理由がありました。それは滞納や倒産によりお店が閉店する場合がほとんどだったからです。これが居抜きに対する悪いイメージを生んでいます。
月額賃料の3~6ヶ月分を敷金の名目で大家さんに預けるのが一般的ですが、解約の理由が業績不振などの場合、滞納や解約予告期間(3ヶ月~6ヶ月)の家賃でその大半が無くなります。結果原状回復工事を行うだけのお金が残っておらず、壊されないままやむなく居抜き物件か内装残置物件(厨房機器やエアコンなど売れるものが撤去された状態)として貸し出されていたのです。
しかし最近は違います。そんな事情でなくても手順を踏んで交渉することで居抜きのまま解約が可能となります。
- 管理会社に相談する
- 大家さんに相談する
ポイントはこの2つに尽きます。しかし唐突に話を持ちかけたり、最初から居抜きを前提に相談するのは禁物です。逆に大家さんや管理会社との関係を悪くしてしまう可能性の方が高くなります。
飲食店を居抜きのまま閉店する交渉成功の秘訣とは
居抜きのまま解約をした方々にお話を伺うと共通点が見えてきます。
- 普段から大家さん(管理会社)とコミュニケーションがとれている
- 閉店の相談をする前に、飲食店舗を引き継いでくれる人を見つけてから交渉している
第一に、普段のお付き合いがこういう時にモノを言います。ゴミの出し方などルールを守っていたか、臭いや煙といったことで近隣とのトラブルに素早く対応してきたか、家賃の滞納などなかったか、季節のご挨拶はマメにしてきたかなどがポイントとなります。最後は人が判断することですから普段から心証を良くしておかなければ、契約書に従って粛々とやって下さいといわれてしまいます。
第二に、大家さんにとってのデメリットを避ける。
今の時代、スケルトンより居抜きの方が早くテナントが見つかるんですよと店子が叫んでみても、所詮原状回復工事逃れにしか聞こえません。貸す側からすれば、スケルトンの方が物販など広くテナントを誘致できると考えるものです。事実居抜きで店舗を残したとすると一業種にしか貸さないのと同じことですから大家さんが心配になるのもよく理解できます。
その解決策は、今の借家人つまりご自身と入れ替わりに飲食店を引き継いでくれる人を見つけてから交渉に臨むことが重要なポイントなのです。
大家さんからすれば、店を経営する人が変わるだけで、家賃が毎月入ってくることに変わりない訳ですからさしたる問題ではありません。そればかりか礼金などの臨時収入が入る分逆に喜ばれる時さえあります。
ただ気を付けたいのは、重飲食と呼ばれる焼肉、中華、カレーなどの業種はNGが出やすいのでなるべく今と同じ業態か、煙や臭いのきつくない業種の方を探すのが無難でしょう。
飲食店閉店時の「居抜き」とは店舗売却でもある
居抜きで飲食店を閉店する意味は2つあります。
一つは、そのまま残置つまり置いてゆくということです。これは原状回復をしないと言うことですが、厳密に言えば原状回復義務を次の方に引継ぐことなのです。だからお店を無償で明け渡すことができるのです。
二つ目は居抜きで店舗を閉め、次の人に引き継ぐ際に金銭の授受があるケースです。綺麗に使用されていた場合やお店の立地がよく視認性が高い場所にある居抜き物件は高く売れる可能性があります。ご自身のお店にどれほどの価値があるのか、飲食店の居抜き店舗を専門に買い取る不動産会社などに一度相談をしてみるといいでしょう。
居抜きで飲食店をやりたい方を見つける方法
では、実際にお店を引き継いでくれそうな人はどうやって探すのでしょうか。居抜きで飲食店を閉店させた方々は一様に友人に声をかけると口を揃えます。昔同じ職場で働いていた仲間やその友人、調理学校からの友達と様々ですが、厨房を実際に使ってみたり、ジックリ街の様子なども調べることが出来るのでトラブルも少ないと聞きます。
どうしても見つからない時は先程の飲食店舗の居抜きを物件を専門に仲介をする不動産会社を利用する方法があります。ただ実際にはトラブルも多く、本人に相談なく勝手にWEB上に空き物件として公開されてしまったり、そのことが原因で管理会社に募集が見つかってしまい居抜きでの解約は認めないとダメ出しをされたと言うケースを何度となく見てきました。もし相談するにしてもそのようなことをしない会社かどうか事前に確認をしてから詳細を明かすようにしましょう。
飲食店の居抜き物件が増えない理由に、大家さんや管理会社の知識不足があげられます。どちらも未経験のことに対する警戒心が高い上に、契約書に書いてあることを曲げて借手に有利な便宜を図る訳ですから短期間に決着させようとすれば面倒がられて交渉に応じてくれないものです。少なくとも上記のような準備をしたうえで1ヶ月以上の時間をかけてじっくり先方のペースで交渉に望まれることをお薦めします。
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