飲食店 突然の閉店 原状回復工事をして解約する費用を考える

飲食店 突然の閉店 原状回復工事をして解約する費用を考える

飲食店を開く物件を借りる際に賃貸借契約を結びます。月々の賃料や敷金の額に意識が行きがちです。一般的な契約期間2年か3年に一度の更新契約時以外はあまり契約書の存在を気にすることもないでしょう。ところがいざ解約となるとそうは言ってはいられません。改めて契約書を読み返してこんなことが書いてあったのかと改めて気づく点がいくつもあるといいます。今回は普段気にすることのない賃貸借契約書に書かれている通りに閉店をした場合いったいいくら位の費用がかかるのか見てみたいと思います。

閉店時の取り決め

大きく3つのポイントがあります。

1.解約予告期間

2.原状回復工事

3.敷金償却

まず、解約予告期間から見て行きましょう。飲食店の賃貸借契約が普通借家契約であれば2年ないし3年という期間を定めて契約する場合がほとんどです。この定めた期間は貸します借りますと約束をした訳ですから借りた方はその期間家賃を払わなければなりません。これを借りた側の都合で期間途中に解約をしなければならなくなった場合、残った期間の賃料は免除する代わりに一定期間は賃料を払いなさいという特約事項が一般的に言う解約予告期間を呼ばれているものなのです。飲食店など事業用に供される不動産の解約予告期間は短いもので2ヶ月長いもので8ヶ月前に解約する旨の通知を書面でしなさいと書いてあります。解約予告が長いものでも救済措置が書かれている契約が多く存在します。「次のテナントが決まり、賃料が発生した時点で前契約者の賃料を打ち切る」というものです。逆になかには、次のテナントが入居するしないに拘わらず解約予告期間に相当する家賃は払いなさいと書いてあるケースがあります。居抜きで次の方にお店を引き継ぐ場合、解約予告期間は関係なくなりますので費用は発生しないと言えるのですが、契約書通りに解約予告期間に相当する賃料を支払うとなると最大8ヶ月もの支払いが発生することになります。

契約知っ得 【 原状回復 義務 】

次に原状回復工事です。この条項は住宅やオフィスなども含め賃貸借契約のほとんどに書いてあります。民法に借りたものは借りた時の状態にして返しなさいという規定があるからなのですが、昨今住宅でトラブルの多い経年劣化などによる大家さん負担というものは飲食店などの事業用不動産には適用になりません。ですので、借りる時に契約書に書いてある原状とは何かを確認せずに借りてしまうと最悪の場合造作や設備など全てを撤去しなければならないばかりかダクトなどを固定する為に壁に開けた穴まで補修しなければならないことがあります。小規模の飲食店でも坪当たり7万円~10万円ほど費用がかかります。ダクトが屋上まで延びていたり厨房の防水層を掘削工事で壊す必要がある場合など、時間も人工も廃棄も値段がかさみます。総額でも150万前後は覚悟する必要があります。もちろんですが面積が増えればその分工事費用は比例して高くなりますが、逆に工事単価は若干下がると思われます。

三番目の敷金(保証金)の償却についてですが、契約書に記載されている金額が契約時に預け入れている敷金から差し引かれます。一般的には月額賃料の1ヶ月から3ヶ月程度です。では、改めて敷金の償却とは何かと思われることでしょう。本来賃貸借契約ではスペースを借りるにあたり月々の賃料で良いはずですが、借りている間に原状回復工事の対象にならない部分の劣化や損傷部分に対する補償と解されています。なかには原状回復工事分をこの償却で補うという考え方もありますが、事業用の場合は前者の理解が妥当だと思います。つまり月額20万円の飲食店で償却費は60万円、3ヶ月相当額がかかる場合があると言うことになります。

この3点で見た賃借面積が概ね15坪前後で賃料が月額20万円、解約予告期間が8ヶ月、敷金償却3ヶ月という場合の最大支払金額は以下の通りとなります。

・解約予告期間の賃料(最大)・・・160万円

 ・原状回復工事(内容により)・・・150万円

 ・敷金償却(3ヶ月)    ・・・ 60万円

   合   計          370万円

不慮の事故や入院、介護などの突発的な事象により店を離れなくてはならなくなった際にかかる費用です。もし預けている敷金や保証金で賄えるのであればいいのですが、それを上回ることになると大きな出費となります。

飲食店閉店 テナント、大家さんの注意点とは

まだある不確定費用

実際にあった話です。原状回復工事を大家さん(管理会社指定)の業者で行うと通知があったのですが、契約書には明確に書いてありません。少しでも安く原状回復工事を済ませたい借主はご自身の知り合いの工事会社でやれないか交渉をしたのです。結果任せて頂くことになったところまでは良かったのですが、工事が完了して引き渡しをする際に管理会社から指摘を受けます。カウンターを支えていたボルトを撤去せずにカットをしたままにしていた為別途撤去費用として20万円程敷金から引かれてしまったというものです。専門知識がある者が立ち会わなかったので言われるままにしてしまったと借主さんは言うのですが、意外とこの手の話はよく聞きます。一つには管理会社が自分たちの利益を原状回復工事で見込んでいたのに取れなかったので最後にイチャモンを付けてくるケースです。こういった場合は原状回復を請け負った工事業者を必ず立ち会わせるようにしましょう。

預けたお金がいつまでたっても帰ってこない

契約書には、賃貸借契約上で借手の債務を担保するために敷金が預ける旨の記述があります。この敷金返還時期を巡ってトラブルになることがよくあります。原状回復工事や償却、公共料金などの債権債務が確定した後に返還額が確定するのですが、契約書によっては「解約後6ヶ月」や「次のテナントが決まり次第」などいくつかのパターンがあります。一般的には次のテナントが解約予告期間中に決定し、家賃が発生しているようなら契約書の返還期間に関わらず1ヶ月程で返還に応じてくれるものですが、中には契約書を盾に返還を頑なに先延ばしする大家さん、管理会社が存在します。契約を結ぶ時点で敷金返還の実務について必ず伺いましょう。できればメモを残して置かれることをお薦めします。

契約事項とはいえ飲食店の閉店、解約はお金がかかることがお分かり頂けたと思います。街場の不動産会社や仲介会社んなどは、契約書はそのように書いていますが実務は別ですから心配ないですよといって契約を急かせます。でも最初に確認していないことは解約する段になってそんなことは言っていないと反故にされる可能性が十分あります。契約書とは、契約期間中に争い事が起こらないよう予想されるトラブルを予めどのように対処するのかということをお互い確認して約束をするためのものです。それが第三者の言葉だけで覆ることはないと思ってください。もう一度言います。賃貸借契約は締結時が最大のポイントです。シッカリと読み込んで内容を確認してから記名、捺印をするようにしてください。

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