飲食店 廃業の実態 費用から閉店、移転のタイミングを考える

飲食店 廃業の実態 費用から閉店、移転のタイミングを考える

これまでいくつも飲食店の閉店・移転に関わって参りましたが、その閉店や移転の理由をまとめてみますと概ね3つに集約されます。「売上不振」、「健康障害」、「介護」というのがそれです。癌が見つかり急に入院を余儀なくされるケースや加療の必要が生じて厨房に立てなくなるなど突然閉店をしなければならないなど健康上の問題は急を要する場合が殆どです。また、身内に介護の必要が発生する場合も同様です。離れて暮らす親御さんが突然倒れて入院したためすぐに帰らなければならなくなったという場合も突然やってきます。それに比べ売上不振での閉店や移転は前の二つに比べ多少時間に余裕があります。今回は不可抗力による飲食店の閉店・移転ではなく売上不振で閉店や移転を迫られるケースについてなにから手を付けなければいけないのか順を追って考えてみたいと思います。

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まずやるべき3つの事

じわり忍び寄る売上不振の影、ボディーブローの様に徐々に飲食店の体力を奪ってゆきます。この場合突然閉店、移転を決意するということは稀です。手元にある運転資金、月末の家賃や食材の支払い、来月の見込みなどをながめながら日々どうにかして乗り切ろうと考えているはずです。だからこそ今までやってこなかった宣伝をはじめたり流行のメニューを取り入れたり、テイクアウトを始めるなど考えられる手はすべて打つでしょう。運よくお店の売上が上向けばしめたものですが、売上不振が顕在化してから手をうつのでは大抵の場合遅すぎることが多く、結果が出る前に運転資金が尽きる場合がほとんどです。結果不動産会社に連絡をして解約の手続きをとなるのですが早まらないでください。その前にやるべきことが2つあります。

1.賃貸借契約書を読み返す

ここで重要なのは、解約予告期間のチェックと敷金の返還のタイミング、敷金返却時の償却額そして原状回復義務の有無です。まず解約予告期間についてですが、ほとんどの場合書面による通知と書かれているはずです。書式はなんでもかまわないのですが問題はその期間にあります。この解約予告期間というのは、「解約をします」と書面で通知してもその日から契約書に書かれた期間は家賃を払い続けなければならない期間の事です。すぐに辞められるわけではないのです。長いもので6ヶ月、短いもので1ヶ月とバラつきがありますが3ヶ月~5ヶ月ぐらいが一般的なようです。この条文一つとっても家賃を支払う為にすぐにお店を辞める訳にはいかないと気付かれることでしょう。次に賃貸借契約時に大家さんに預けた敷金の返還のタイミングを確認しましょう。「契約終了後速やかに返還」と書かれている契約書は良心的です。なかには「物件明渡し後6ヶ月以内に返還」と書かれたものもあります。一般的には明渡し後債権債務の精算を行い1ヶ月以内に返還というものが多いでしょう。3つ目はその敷金返還時に大家さんが受け取る償却額です。つまり預けたお金が全額帰ってくるのではなく、一般的には月額賃料の1~3ヶ月分が差し引かれて帰ってきます。これを忘れていると全額帰ってくると思っていたら大変な誤算だったと嘆くことになります。それ以上に解約時の負担となるのが原状回復工事と呼ばれる工事費用です。もしスケルトン(床、壁、天井、設備をすべて撤去した状態)に戻すことになればちょっとした規模の飲食店でも50万円や100万円の費用がかかります。相当な負担となります。

2.借入残高とリース残高のチェック

現在いったいいくら借入金が残っているのか、リースを組んでお店を始めた残債がいくらあるのか正確に把握する必要があります。銀行や公庫の場合、金消契約つまり金銭消費貸借契約締結時に返済完了までの月々の返済額と毎月の残額を記した書類が交付されているはずです。もし見つからない場合は借入先の金融機関に再交付をお願いしましょう。リースも同様です。但し、会社によっては問合せ後数週間待たないと書面が送られてこない場合があります。ここでも時間を読み違えないようご注意ください。

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閉店、移転のタイミングを考える

材料がそろったところで閉店、移転のタイミングをどのように考えればいいのか見てみましょう。まず、敷金が戻ってくる額とタイミングを確認します。仮に敷金が100万円預けてあり償却が賃料の2ヶ月分で20万円だとすると戻ってくるのは80万円ということになります。解約予告期間が3ヶ月だと仮定し、返却のタイミングが明渡し後1ヶ月とするならば、今日解約予告の通知をしてもお金が帰ってくるのは4ヶ月先と言うことになります。もしそのお金で借入金の返済やリースの残債の精算を考えているのであれば返還までの4ヶ月間は今まで通り支払いが発生することを忘れないでください。そこに原状回復工事代がいくら必要になるのかによって更に手元に残る金額は少なくなります。これでお店を閉めるにもスケジュールが必要だと言うことがよくお分かり頂けたと思います。

居抜きで人に譲る(売却)という選択

帰ってくる敷金で借入金やリースの残債が清算できればよいのですが、どうしても払いきれないケースも出てきます。この場合選択肢は2つです。閉店後も別の収入を得ながら支払いを続ける方法と飲食店の造作、厨房機器、設備一式を居抜き店舗として第三者に売却する方法があります。この居抜き店舗売買、いくつものメリットがあります。まず、売却することでお金が入ってきます。立地や営業年数によりますが最近の傾向では100万円前後が最も多く取引されているようですが、中には200万を超えるものもあれば数十万円というものまで幅広く取引されています。また売却をする訳ですから原状回復義務も次の方に引き継がれますからここでの費用は発生しません。敷金が戻るタイミングも早くなります。賃貸借契約書に書かれている解約予告期間はこの場合無関係になります。というのも、居抜きで店舗を売却するというのは賃貸借契約上でいう名義変更になるから、任意に決めた日を境に契約が切り替わるとことを意味します。ですから半月後でも1ヶ月後でもいつでも次の方に切り替えることが出来ます。大家さんにも新しくお店を引き継ぐ方から敷金が入りますので比較的すぐに返還の手続きが可能ということになります。但し、初めから大家さんに居抜きで売却をしたいと言うと断られてしまう場合がありますので次にお店をやる方が見つかってから一緒に伺って名義変更のお願いをした方が安全です。

これまで契約書通りに手続きをされてこられた皆さんにとってはもっと早く知っていればということになるでしょう。また冒頭に書いた通り解約予告期間があるので取り急ぎ大家さんや不動産会社に連絡をとってしまうと解約日までのタイマーにスイッチをいれることとなります。解約を出した後で居抜きでの売却を思い立っても時間切れになってしまうことになるかもしれません。だからこそ早まらないで頂きたいと書いたのです。

お店をオープンした時の事を思い出してください。シッカリとスケジュールを組んでスタートされたハズです。それと同様に閉店する時も十分なスケジュールが必用なのです。

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