独立、開業で現在飲食店居抜き物件を探している、もしくは探そうとなさっている方今回は必見です。
不動産の表示には不動産会社や貸主である大家さんの事情や都合が反映されており、端的に言えば多少盛り込んだ条件が付けられていることがよくあります。
その理由として、大家さんや管理会社が、借りたいと申込んできたお客様を断る理由を募集段階で表示していると言えば分かりやすいかもしれません。
建物の構造や築年数、それに周辺の環境など一概に決めつけることは出来ませんが、何年も物件を扱っていますといくつかのパターンが存在することに気づきます。今回はこのパターンを中心に重飲食不可の壁を実際どのように突破してゆけば良いのかお話をしたいと思います。
Contents
飲食店物件で「重飲食」の定義とはなにか
「重飲食」という言葉の意味を知る必要があります。
もともと日本語に「軽」がつく言葉は多く存在しました。軽作業、軽自動車、軽音楽等々。それに対し重作業、重自動車、重音楽とは言いません。だからこそ重飲食を知るには軽飲食とは何かを知る必要があります。
軽飲食とは、一般的に喫茶店、カフェの業態を指します。店サポ内で別の飲食業界ニュース「飲食店舗 業態シリーズ【 カフェ 】」の中でも書きましたが、食品衛生法の分類からするとカフェ=飲食店営業、喫茶店=喫茶店営業と規定されています。
ただ店名がどうであれ、モーニングやランチを行っていてカレーやピラフなど食事を出す喫茶店は、 保健所に「飲食店業」として届け出をしています。
こうしてみると軽飲食とは、あくまでもコーヒーやお茶などが主であり、調理した飲食物は従の業態であると整理できます。では、それ以外は重飲食と呼ぶのかと言えばどうやらそうでもなさそうです。
一部の大手不動産ポータルサイトでは、喫茶店、カフェ以外は全て重飲食として表示すると断っているところがありますが、一般的な不動産感覚では簡単に割り切れません。
業界的には、重飲食と言えば中華料理、焼肉、カレーが代表格ですが、焼き鳥、鰻屋、トンカツ、ラーメン、洋食、イタリアンなどの専門店も重飲食と呼ばれています。これらの業種の共通点は、火と油を潤沢に使用することで大量の煙と強い臭いを発生させます。
ではなぜそのことが重飲食と総称され大家さんや管理会社から目の敵にされるのでしょうか。
飲食店舗物件、設備上のリスクは誰のリスク?
油を使い料理をするということは、当然排煙にも油分が多く含まれます。ダクトからの油垂れでダクトファンや外壁が汚れます。
調理の際出た余分な油に加え、調理器具や食器を洗う際に出る油汚れなどそのまま排水溝に流してしまうとたちまち油分が管内に堆積し、排水口の詰りを引き起こします。詰まるだけならいいのですがあふれた汚水が直下階に漏れるといった事故はよく起きます。
水の次は火です。
近年都内焼肉店2店舗で起こった火事の原因が同じ理由でした。焼肉店では、煙を吸いだすシュノーケルの様なダクトを肉を焼く網の上に設置していることが多いのですが、その中にたまっていた油に肉を焼いた火が引火して火事になったものでした。
さて、飲食店舗の管理会社といっても普段は駅前の不動産屋で、契約書作成やら空き室の鍵開けをしている方々です。彼らにとっては、ともかく面倒なことが起こらないことが一番です。
従って、物件を募集に出す際に、面倒が起こりそうな業態は色々と難癖をつけて避けようとします。結果、重飲食不可で募集を出そうと大家さんに提案することになるのです。
本来、大家さんに取って重飲食に貸出した方が「高い家賃が取れる」(物件数が少ない分貸出価格が高い)のに、彼らの都合で制限がつけられ募集に出されるというのが現実です。
参考記事
飲食店物件でよくある近隣トラブルが問題に
考えられる近隣トラブルで最初に出てくるのはズバリ、「臭い、煙」です。
程度の差はあれ、強烈なカレーの臭い、イタリアンの唐辛子とニンニクを炒める臭い、ラーメンとりわけ豚骨と呼ばれる種類のスープを作る獣(けもの)臭、焼き鳥の炭焼きの煙、ステーキ店の脂が焼ける煙、鰻屋の煙、その他洋食屋もトンカツ屋も中華も近隣では窓を開けると流れてくる臭いにクレームが出ます。
この臭い、煙の感じ方は情緒的な問題だけに、人により個人差があります。作る側と迷惑を被る側に決定的な感性の違いがある為一度問題になると解決まで長期化する恐れがあります。
お店は事業として大家さんから許可を得て開業している手前おいそれとは引き下がれません。一方近隣も毎日の生活の中で不快感を抱えて暮らすことはストレスとなります。当然、管理をしている不動産会社が板挟みになり大変苦労することになります。
このようなケースが発生する為に設備の時と同様、最初から問題が起こりそうな業種を彼らの都合で排除しようと重飲食不可となるのです。
飲食店舗物件の重飲食不可の壁を乗り越える
では、臭いや煙をまき散らしている重飲食と呼ばれている業種がオフィスビルや高層住宅の低層階、地下街やフードコートに入っていないかと言えば、そうではありません。
ではなにが重飲食を可能にしているのでしょうか。それは排気設備と油を厨房で取り除くグリストラップなどの設備です。
飲食店舗が営業出来る物件ならどれもついていると思うかもしれませんがそうではありません。しかるべき設備が備わっていないにも関わらず、そのことを知らずに飲食店として使用してしまうことでトラブルが起きるのです。であるならば、それに対応する設備を施せば問題は起きようがないのです。
こんなことさえ分からない不動産仲介さんが世の中で幅を利かせている結果、大家さんも管理会社も「重飲食不可」なってしまうのです。逆に言えば、彼らが心配している部分を物理的に取り除く提案を持ち込めば、重飲食不可物件でもOKが出る可能性は十分ありますし、実際に承諾を勝ち得てきました。
飲食店の主な重飲食対策設備とは
- 排気ダクト+有圧扇(シロッコファン)
- グリスフィルタ
- アクアフィルタ
- 電気トリートメントシステム
- グリストラップ
- 排水管の定期清掃をテナントが行う
低層の建物に重飲食で入居しようとするなら、建物の屋根までダクトは覚悟しましょう。でも工事代が高いのではと心配する向きには実例を紹介します。
2階建ての2階にオープンしたカレー店のダクトを屋根まで設置して約30万円程でした。
3階建ての1階にオープンしたステーキハウスが屋上までダクトを設置して約80万円程。
どちらも足場代込みの金額です。
店内側のフードには有圧扇、屋上にシロッコファンなど外の風に左右されないものを設置する必要があります。その分のコストはプラスとなります。ですがこれで物件が借りられるなら安いと判断すべきです。
それ以外にも、8階建てのマンションの1階店舗で屋上までのダクト工事に数百万掛るような場合は別の対策があります。店内のフード内に油や匂い、煙の色を除去する機能を持ったフィルターを付けるという手があります。(グリスフィルタ、アクアフィルタ)
加えて、煙や匂いを電気処理して無色無臭に出来るトリートメントと呼ばれる装置もあります。(電気トリートメントシステム)
そんなにお金がかけられないと思われるのなら、リースを利用することで初期費用を低く抑える方法もあります。ただ、モノによってはランニングコストが月2~3万かかるものがありますので確認が必要です。
売上予測と比較してみてそこまでお金をかけるべき物件なのかどうかよく検討しましょう。
飲食店物件の大家さんは重飲食不可でないことが多い
管理会社が重飲食を認めないケースがほとんどと申し上げました。とは言えその管理会社を納得させないと大家さんに開業の声は届きません。
物理的に設備をしなければならない部分は設備を施すと宣言したうえで、更に大家さんが安心する材料を管理会社経由で提示すべきです。
例えば、豚骨ラーメン店で臭いの指摘を受けた時のことです、スープを別の場所で造ってお店に持ち込む方法を提案しOKが出た事例がありました。
イタリアンでもニンニクと唐辛子を炒めるメニューではなくパスタとサラダ、ジェラートがメインということで実際のメニューと完成した料理の写真を提示することでOKが出たケースもあります。
なぜここまでするのかというと、重飲食=汚れるというイメージが大家さんには強くあります。これを払しょくするには、ビジュアルに訴えかける資料がないとなかなか安心していただけないのです。
明るい店内に美味しそうな料理、それと設備が整えば、大家さんも管理会社もケチのつけようがありません。手間と時間をかければ、少々不満はあっても承諾してくれることでしょう。
ともかく諦めずに、どこに不安があるのかよく話をして、具体的な対策と熱意があれば道は開けます。
一気に管理会社や大家さんを説得する方法について書きましたが、飲食店を本業とされている方からすれば何度も経験することのない交渉です。となれば、そのあたりの経験が豊富な不動産会社をパートナーに選ばれることをお薦めします。
【PR】重飲食店不可の裏技相談ならアソルティの物件情報
アソルティは重飲食店不可の裏技交渉が可能な文献のことを知っています。
普通の不動産屋さんが面倒と考えている交渉可能な飲食店舗報を随時公開しています。