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飲食店のメニュー開発と問題点そしてその未来を現役シェフに聞きました

飲食店-メニュー-未来

StockSnap @ Pixabay

毎年のように料理や飲食店の運営スタイルに流行が生まれます。一時期のエージングビーフやローストビーフ、最近ではタピオカミルクティー、マリトッソ、果ては唐揚げまで幅広く流行が生まれています。海外からの進出もあれば地方からのオリジナルメニューが東京に進出してくるケースもあります。

コロナ以前、何百円均一を売りにする居酒屋が流行ったかと思えば高級食材を使った料理やステーキを立ったままで食べさせるものや、BARという表示で「バル」と読ませる洋風居酒屋が流行りました。これらは、雑誌で紹介される人気店をコピーしたり、一捻り加えて似てはいるものの別物感を演出するお店まで様々です。

意外と新しいスタイルというのは、初めてお店をオープンされる方のアイデアよりも、数店舗経営されている法人が新業態としてチャレンジするなかから生まれてくるものが多いように思います。

これに対し料理は、料理人により生み出されるもので本来個別性が高いはずなのですが、瞬く間にトレンドになって行くのにはある理由が存在するようです。今回は、料理人が密かに行っているメニュー開発の実態について現役シェフにお話を伺いました。

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現役シェフTさんにインタビュー

北海道から東京に出て来られて料理の修行を続けていらっしゃるTさん、ご専門はイタリアンです。料理のトレンドや新しいメニュー開発についての取り組みを伺ってみました。

Q.どのような形で勉強されていますか?

A.毎日忙しく、そのなかで情報を取り入れると言ってもなかなか大変なのが現実です。ただ、料理人の専門誌である「料理通信」は参考にかかさず読んでいるそうです。

店サポ:そういえば、別の料理人からも料理通信を定期購読しているという話は伺ったことがあります。

Q.他に参考にされることはありますか

A.他店に客としてお邪魔して実際に食べるということをよくします。

ただ食べるだけでも刺激を受けますのでいろいろと気づきがあるのですが、何かを参考にさせて頂きたいと思う時は、予め紹介をしてもらってからお邪魔するようにしています。カウンターなどお店の料理人とコミュニケーションがとれる席がある場合はそこで食事をしながらお話を伺います。厨房に入ってらっしゃる時はタイミングを見て声をかけさせていただいてます。

Q.レシピをそんなに簡単におしてくれるものなのですか?

A.だからこそ紹介をもらってからお邪魔しています。それと共通の知り合いがいることが分かっている場合は、特別に紹介をもらわずともお邪魔して話を聞いてきます。もっと言うとこの飲食業界では、料理のコツやちょっとした隠し味など聞かれたらそっと教えるというのが暗黙の了解みたいなところがあって、実際自分の店を訪ねて来てくれた料理人がいれば何でも教えますよ。

店サポ:どうやら流行の料理が急速に伝播する仕組みの一端が見えた様な気がします。

最近気になることってありますか

ところで最近気になることがあると話されていました。

以前に比べ料理人のレベルが落ちて来たと感じる時があるそうです。それを感じるのが食材の使い方だといいます。例えばこのウクライナ・ロシアの影響で春先から野菜が高騰しており、どのお店も材料のやり繰りに知恵を絞っているというのに、何の工夫もせず以前のまま調理しているお店が結構あるというのです。

彼曰く、スープの出汁をとる野菜の量を減らしてみたり、付け合わせやサラダを構成する野菜の量を減らしてみたり明らかに店側で量を減らしていることが分かるお店が存在すると言います。

本来なら価格の影響の少ない野菜や根菜などを取り入れてボリューム出すだとかメニューそのものを変えてレベルを落とすことなくお客様に満足いただける内容を維持するのが料理人の務めだと力説されていました。

またこうも話されていました。その日に安く手に入る食材をみて料理を考える料理人が少なくなっていると。その一端は、良くも悪くも食材を卸す会社から料理の手間を省く様々な食品が提案され、あるのもは温めるだけで完成したり、あるものはフライヤーに時間通り入れるだけだったり、またあるものは解凍するだけでお客様に提供できるからだと言います。

確かに、食材の仕入れの手間や廃棄する部分が無くなる分コスト的にも安定します。なにより調理の時間が大幅に減る為少人数での飲食店運営を可能にしています。ただ、悪く言えばファミリーレストランで食べるようなどこに行っても同じ味となるこの調理方法に飲食業界の危機を感じると力説されていたのが印象的でした。

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今後の飲食業界ある一番の不安とは

現在の飲食業界における料金体系ではいいものは造れないというのです。海外でも修行経験のある彼は、日本の料理は安すぎるというのです。パリでもニューヨークでもランチは円安になる前でも円換算で1,500円~2,000円ぐらいが当たり前なのに日本ではその半額でしかない。そればかりか、更に価格を下げることを前面に打ち出すナショナルチェーン店が日本の食文化を破壊すると言い切っています。

仮に今まで通りの価格でしかお客様が来てくれないとするなら、いい人材が集まる業界にならないというのです。これは、収入が増えて行かないことが原因だと言います。

一握りの高級店は別として一般的な飲食店はナショナルチェーンから価格の主導権を取り戻し利益を生む業界にリセットしたいと意気込まれていました。

~まとめ~

以前とあるファミリーレストランが株高を背景に値上げに転じたという飲食業界にとって明るいニュースがありました。今その流れは、コロナ禍もありもとのデフレ状態に返りつつあります。令和元年の消費税増税、その後のコロナ禍による外出や営業時間制限など小規模の飲食店はなかなか価格に転嫁できない時期が続いています。

ただ、令和4年の6月は食料品や調味料など値上げラッシュとなります。ここは便乗値上げではなく正当な価格転嫁として業界あげて値上げを敢行し、いずれ価格が落ち着いてもその水準を維持できるよう政府に景気対策を期待したいものです。

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