まとめ―Summary―
- ランチタイムで待てる時間は、空席待ち10分、オーダーから料理提供まで10分
- ファミレスでは、オーダーから料理提供まで10分~15分
- 一般的な飲食店では平均23分
- 料理を出すのが遅いと追加注文は減り、リピーターも失う
- 待ち時間を伝える、Zの法則による視線誘導などが有効
Contents
日本人が待てる限界は何分?
日本人は、我慢強く待つことができる民族だと言われています。確かに、有事の際に暴動や混乱を起こすことなく整然と並ぶ姿は、日本人が持つDNAのなせる業だと思います。
そんな日本人でも待てない時間がいくつか存在します。
例えば、ほぼ毎日お世話になっているエレベーター。呼出ボタンを押してから遅いと感じるまでの許容時間を考えたことがありますか。
あるアンケートによれば待つ時間について、30秒で約3割、1分で約5割の方が待つ限界と言っています。高層ビルが増えている東京ではチョット短い気もしますが、全国平均ではこれぐらいが許容範囲なのです。
同じように、飲食店で空席を待つ時間や、オーダーしてから料理が運ばれてくるまでの時間はどのあたりまでが許容範囲なのか、もしその時間を気にせず営業を続けたらどうなるのか考えてみたいと思います。
いくつかのアンケート結果が出ていますので、順番に見て行きたいと思います。
ランチタイムで待てる時間は何分?
ランチタイムのお昼休みは限られた1時間が勝負です。行き帰りの所要時間を考え、ローテーションの中から食べたいランチの候補を絞り、少し早めの時間帯なのかチョット出遅れているのかなどいろいろと考え合わせてお店をチョイスします。当然ですが、空席待ちでお店の外に並ぶのは日常茶飯事です。
さて、そんなビジネス街のランチでの待たされ事情はどうでしょうか。
- 空席を待つ許容時間・・・10分 (85%)
- オーダーから料理が出てくるまでの許容時間 ・・・ 10分 (46%)
オーダーしてから料理が出るまでの時間が15分となると、75%の方が限界時間だと言っています。片道5分、往復で10分、お店の空席待ちで10分、料理をオーダーしてから料理が出るまで15分もかかるとすると、それだけで35分もかかります。食べる時間を考えるとこのへんがギリギリのところです。
ファミリーレストランで待てる時間は何分?
ファミレスといえば、オーダーしてから比較的早く料理が運ばれてくるイメージがあります。
- オーダーから料理が出てくるまでの許容時間・・・10分~15分
これは、オリコンモニターリサーチ調べです。
あるファミレスのマニュアルには、15分以上料理をお待たせした際には、「お待たせして申し訳ございません」と丁寧な謝罪をするように書いてあるそうです。
そのファミレスは許容の限界を15分と見たのでしょう。ここには1つカラクリがあります。一般的に、注文をしてから料理を待つ場合と席に通される前に待つ場合では、待てる時間に差があり、席に通される前の方が長く待てます。
だから、ファミレスでは、厨房が混み合う時間帯はわざと席に誘導せずに入口で待たせるオペレーションを行っています。
一般的な飲食店で待てる時間は何分?
食堂や居酒屋、洋食に中華、昼も夜も併せての数字です。1万7,000人近いアンケートの結果を見ますと、
- 「10分」と答えた方 全体の35%
- 「20分」と答えた方 全体の70%以上
オリコンモニターリサーチでも「平均23分」と言う結果が出ています。
オーダーから料理が出てくるまでの時間が意味するもの
これまで見てきた許容時間とは、「まぁそこまでは大目に見てあげよう」という時間のことです。逆に言えば、それを越えると文句の一つも言いたくなる時間だと言うことです。だからこそ、ファミレスのマニュアルには謝罪の言葉が入っています。
もし、お客様のオーダーに対して、すぐさま料理を出すことができていたならどうでしょうか。追加注文が確実に取れます。これに対し、オーダーから料理が出るまでに時間がかかると、お客様はその料理が出てくるまで追加注文はしないでしょう。
お客様が同じ時間だけお店に滞在した場合の注文数は格段に変わってくることになります。つまりお店の売上にひびくということなのです。
それ以上に、料理が出てくるのが遅い店は間違いなくリピート客を失います。よほど美味しいローストビーフ丼やラーメンを出す一部の飲食店以外は、別のお店にお客様をとられてしまうことでしょう。
それでも時間がかかるなら対策を考える
とはいえ、やむをえずオーダーから料理が出るまでに時間がかかってしまうこともありえます。
その場合は、対策を考えねばなりません。
オーダーをいただく際に待ち時間を伝える
対策の1つめは、オーダーをいただく際に「お待たせする時間」を伝えるやり方です。
仮に、Aという料理とBという料理があったとしましょう。Aは提供に〇〇分かかり、Bは比較的すぐに提供できるという情報が分かっていれば、お客様は、Bを注文して待たずに済ませるか、多少待ってでもAを注文するかを選択することができます。
ランチであれば10分、夜の料理であれば15分以上提供にかかる料理は、その旨をお客様に伝え、早く提供できる代替品を選んでいただくか、納得してお待ちいただくかを選択していただきましょう。
Z(ゼット)の法則で飲食店のメニューにひと工夫
対策の2つめは、メニューブックに工夫を加えるやり方です。これには「Z(ゼット)の法則」を活用します。
人間が1枚の紙面や見える範囲に並ぶ選択肢を選ぶ場合、視線は必ず左上からスタートして右横に移動し、その後再び下方の左端に戻って再度右側に移動します。視線の軌道がちょうどアルファベットの「Z」(ゼット)の形になるところから、この習性を「Z(ゼット)の法則」と呼びます。
飲食店のメニューでは、収益率が一番高い料理やおすすめの自慢料理を最上段左端に持ってきます。「Z」の視線移動の最初で、目につきやすいからです。ラーメン屋さんの券売機で迷ったときは、最上段左端のメニューを選べば間違いなしと言われるのはこのためです。
今回のテーマで言えば、メニューブックの左端や上部にオーダーから早く提供できるメニューを並べておけば、お客様が選ぶのは時間のかからない物が中心となり、待たずに気持ちよく食べて、飲んでいただけるということになります。
最後に~リトルの法則で待ち時間を伝える~
ランチ時に列ができるほど来店いただけるのは嬉しいものです。しかし、何もしないで放置していると、徐々に列は短くなり、そのうち無くなってしまいます。
よく外に並んでいるお客様から入店前にオーダーをとり、他所のお店にとられない工夫をしている飲食店がありますが、そこでもう一工夫です。
遊園地などで見かける「ここから待ち時間〇〇分」をお待ちのお客様からオーダーをとるときに伝えることができれば、お客様はイライラしないで済みます。
その待ち時間を割り出す法則が「リトルの法則」なのです。
リトルの法則
【自分の前に並んでいる行列の人数】÷【1分間で自分の後ろに並んだ人の数】=【待ち時間】
例えば、自分の前に10名並んでいたとします。1分間に2人自分の後に並んだとしましょう。
「10人÷2人=5分」 つまり待ち時間は「5分」ということになります。
ちょっとした情報ですが、見当のつかない時間ほどイライラするものはありません。分かっていればストレスが半減します。ぜひ役立ててみて下さい。