知らないでは済まされない 飲食店「受動喫煙防止」対策 いよいよ罰則法制化へ

知らないでは済まされない 飲食店「受動喫煙防止」対策 いよいよ罰則法制化へ

2016年10月厚生労働省は、健康増進法や労働安全衛生法などの改正案か新法案を国会に提出する準備をしていることを明らかにしました。

医療機関や学校などの教育機関はもとより、飲食店は「喫煙室」以外は禁煙を義務化、これに反すれば罰則を設けるというものです。突然そんな風に言われてもというのが率直な感想ではないでしょうか。

これまで、健康増進法の第25条に沿って全面禁煙か分煙が進められてきました。ただこの法律には罰則規定がなく努力とされてきたのが実状です。

今回改めて厚生労働省が推進する受動喫煙防止の背景にあることと、今後どのようになってゆくのか今回は考えて見たいと思います。

禁煙。日本の取り組み

毎月22日は「禁煙の日」というのをご存知でしょうか。

これは2005年にWHO(世界保健機関)が策定した「たばこ規制枠組条約」(FCTC)を日本政府が批准したところからスタートしています。

・受動喫煙防止

・たばこ税引き上げ

・たばこ広告、販売促進の包括的禁止

などが含まれており、この頃からTVでたばこの宣伝が無くなったと言えば記憶にある方もいらっしゃると思います。実はこの時点では日本は批准19番目の国として世界的にみても先頭集団にいたのです。

その後、2015年に国内では健康増進法が制定され、その25条には以下の様にうたわれています。

「学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」

これを読む限りでは、あくまでも努力目標であり2005年のFCTCにある屋内施設100%禁煙の方針からは後退している感じさえ受けます。

日本の特殊事情

この後退の裏に二つの理由があると言われています。

一つには、日本でたばこを生産する唯一の企業日本たばこ産業株式会社(JT)の存在です。今でこそ株式会社ですが、もともとたばこ専売公社という国有企業でした。現在も筆頭株主は財務大臣です。自社の保有株と併せると未だに国が40%以上の株を保有しています。つまり、たばこが売れなくなって企業価値が毀損してしまうことを政府は極力避けたいと考えているようです。

もう一つがたばこの葉を生産するたばこ農家への政治的配慮です。JTが安定してたばこの葉を買い上げる代わりに選挙の際の大きな票田となっています。ゆえに自民党はもちろん民主党ですら事業仕分けの際たばこを禁煙義務化で切ることが出来なかったと言われています。

繁盛する飲食店舗の共通点 その5【オープンテラス】

突如動き出した厚生労働省の背景

ズバリ2020年に東京オリンピック・パラリンピック開催が決まったことによるものです。なぜと思われるかもしれません。実は、2010年にWHO世界保健機関とIOC国際オリンピック委員会は「タバコのない五輪」の推進で合意しているからなのです。

では過去2大会はどうだったのでしょうか。2012年のロンドン、2016年のブラジルともにたばこの煙を他人に吸わせない受動喫煙防止が法律で決まっており、レストランやBARも含めた飲食店など屋内での喫煙は全面禁止となっていてこれに違反すると罰則もありました。

日本が2015年に健康増進法でお茶を濁している間に2014年には世界49ヶ国で公共の屋内での全面禁煙が法律化され、日本は一気に周回遅れとなってしまったのです。

この「公共の屋内」という表現が誤解されやすいのですが、学校や役所ということではなくレストランや居酒屋など多数の人が利用する場所の事を指します。また、日本の様に分煙ではなく、完全禁煙が大前提なのです。

飲食店 今一番気になる受動喫煙防止法 修正案の行方

世界最低レベルのレッテル

厚生労働省が2016年にまとめた「たばこ白書」には、日本の受動喫煙対策をして「世界最低レベル」と厳しく批判しています。

またその白書の中で、たばことの因果関係を国立ガンセンターの数字を用いて発表しているところによると、脳卒中・歯周病・糖尿病・心筋梗塞・妊婦の喫煙による乳幼児の突然死など国内で毎年12~13万人がタバコに起因する病気がもとで死亡していると報告しています。

知っ得 外国人観光客はコワクない。簡単攻略法

具体的な規制や罰則とは

厚生労働省は、禁煙などの受動喫煙対策などを罰則付きで以下の様に考えています。

・医療機関、小中高校・・・敷地内全面禁煙

・運動施設、官公庁・・・建物内全面禁煙

・飲食店、ホテル、駅・・・原則建物内禁煙、喫煙室の設置は認める

施設によって禁煙の範囲を分けています。

罰則の規程ですが、現時点では明確に打ち出されていません。自治体が歩きタバコに課した罰則のように罰金による過料となるのではと言われています。つまり営業停止までは出来ないのではとの見方です。

飲食店の対策

一連の報道に対し日本フードサービス協会などは一律の規制に反対する声明を出しています。とはいえ相手がWHOとIOCですから日本が国際社会のなかで後れを取る選択をするとは考えられません。早ければ来年にも法案が国会を通過する可能性があります。

大型の居酒屋、ファミリーレストランなどある一定の席数を有する飲食店舗は間違いなく網掛けの対象になります。喫煙室の場所や厨房機器メーカーが提案している組み立て式の喫煙室の検討を今から始めないといざ運用開始となった際に数ヶ月待ちという事態になりかねません。

東京都の分煙助成金

東京都では、小規模飲食店の分煙支援の為に助成金を用意しています。

・補助対象経費の5分の4(80%)まで補助

・1施設につき300万円まで

・返済義務なし

外国人旅行者の受入れに向けた宿泊・飲食施設の分煙環境整備補助金

http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/tourism/kakusyu/syukuhaku/

使い勝手のよさそうな助成金です。この機会に検討しておかれるのも手だと思います。

1964年の東京オリンピックの際都内からコンクリート製のゴミ箱が姿を消しました。当時ゴミ都市という不名誉な呼ばれ方をしていた東京、ゴミは家の中には置かず道路にあるコンクリート製ゴミ箱にどんどん投げ入れていました。

東京の街並みに点在する周辺に悪臭を放つゴミ箱を一掃するために大量のゴミ収集車とポリバケツを用意したと記録があります。当時の都民にとってゴミを家の中に留め置く習慣がなかっただけに大きな戸惑いがあったと聞きます。

今回のオリンピックでは飲食店全面禁煙という大ナタを前回同様振るおうとしています。次に消えるのはどうやら灰皿のようです。

日本の飲食店舗を取り巻く事情で一番のネックはその規模の小ささではないでしょうか。5坪や10坪の小さな飲食店で喫煙室はただでさえ少ない客席を削って作るなど考えられませんし、女性が接待するカウンターだけのスナックやある程度規模があるといっても高級クラブで喫煙室というのも考えづらいものがあります。

かといって屋内がダメだから屋外に出てたばこという訳にも行きません。最終的に、今回の法案が日本全国を対象にした内容となりそうなところがさらに波紋を大きくするのではないかと予想されます。

何れにせよ、どこまで真剣に運用を考えてくるのか今後の厚生労働省の発表に注意をしたいと思います。

知らないと損する飲食店舗 内装工事 見積書の見方

物件情報

お店をはじめよう 業種を決める ライフスタイル 相談する 開業情報 お金

  • このエントリーをはてなブックマークに追加