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国交省飲食店の路上支援を延長と発表
2020年6月から国土交通省が進めてきた、新型コロナウイルスで甚大な影響を受けている飲食店に対し、「3密」を避け、新しい生活様式の定着にむけて道路占有の許可基準を緩和し、テイクアウトの提供や屋外テラスとしての道路占有とその使用料を免除に関し新たな発表がありました。
もともと2020年11月末までの時限措置が延長延長で、2022年9月30日まで更に伸びたのです。このチャンスを生かして、これからウイズコロナを飲食店が乗り切る切り札としてオープンテラスで一工夫してみるのも集客につながるいい取り組みではないかと思います。
飲食店でオープンテラスが似合う業種とは
オープンテラスと聞いて一番に思い浮かべるのがパリのカフェです。コーヒーに新聞、おしゃべりに待ち合わせと広く市民権を得ています。都内でも数多くのオープンテラスが存在します。大きなヘビーコットンのパラソルで直射日光をコントロールしているお店もあれば、オーニングといってせり出し式の庇タイプのもので調節しているお店もあります。どちらもコンパクトに収納が可能です。一方、普段は締め切られている通りに面したガラス面も、アコーディオンタイプのサッシであれば、全面開口のオープンテラスに早変わりです。
このオープンテラスはなにもカフェの専売特許ではありません。バルやピッツェリア、イタリアンに純和風の居酒屋等どれも十分OKです。なにより普段閉ざされていた部分が解放されることで店内が外からよく見えるようになります。その意味では間口の広い飲食店向きではあります。もちろん間口が狭くても問題ないのですが効果は限定的となります。
飲食店がオープンテラス化するためには
JRのガード下や上野あたりの私道に面した飲食店の活用例をご紹介します。
昼間は普通に通路となっているエリアに接しているお店なのですが、夜になると様変わりです。その隣接した通路にテーブルと椅子を並べ、10席程しかない小さなお店が2倍の20席程にふえます。ガード下ですから雨の日でもOKです。
もう一方は、前面の私道にオーニングを出してテーブルと椅子を並べています。この方式でも小雨程度なら客席として十分機能します。また、東銀座にあるその店は、夜になると店内から大きな樽が出てきて立ち飲みに早変わりです。元々カウンターだけの立ち飲みスタイルでしたが、樽をだすことでさらに収容力が5~10人程度アップです。
ただし気を付けて頂きたいことが多々あります。まず公道に出すのは問題があります。私道や公開空地のようなスペースも勝手にテーブルや椅子を出すと管理しているところから撤去のクレームが来ます。事前に確認してから行動に移されることをお薦めします。
余談ですが、赤坂のあるお店のご主人が公道に面したテラスのテーブルを1日1cm外に出して、どこまで出すと怒られるか挑戦してるんだと言ってました。
飲食店オープンテラス活用法3業態
飲食店の業態でオープンテラスが映える3業態をご紹介します。
1.ペット指定席
なんといってもオープンテラスの定番はペット同伴です。青山絵画館近くにオープンしたハンバーガーショップの様に犬用のクッキーをメニューに加えてみるのも面白いです。二子玉川にあるドッグカフェのテラスなどは犬と人間が上手く共存できる空間になっています。
2.喫煙席
某コーヒー店でも喫煙者は外の席で飲むのが定番になってます。ガス室の様にタバコの煙が鬱蒼と立ち込める喫煙室よりはよほど快適かもしれません。
3.夏でも冬でもアイデア次第で
日差しが強い日中や不快指数が高くなり出すとオープンテラスは人気がなくなります。最近は安価で手に入るようになったミスト発生装置を取り付け体感温度を下げる工夫も重要なポイントです。
また、冬場に活躍する厚手の透明ビニルでカーテンを施し冷房効率UPさせるのも手ですが、夏のオープンテラスは開放感が重要なポイントですから、暑さに耐えられなくなった時点でサービス終了というのもありです。
飲食店としてオープンテラスが出来る物件の見分け方
お店の軒先や周囲にスペースがあって椅子やテーブルが出せる環境があればそれに越したことはないのですが、なかなかそのような環境は手に入りません。しかし少しお金をかけて手を加えることで見違えるような仕上がりになります。これから物件を探して飲食店を開業予定の方に是非参考にして欲しいと思います。
「店舗物件のほとんどは前面開口部をすべて取り払うことが出来る」
まれにマンションの1階部分などで開口部の制限がある場合を除き、大抵の場合は、正面入り口まわりは、全て取り払うことが可能です。もちろん事前に管理会社や大家さんの許可を頂いてからですが。お店をオープンしてからですと大掛かりな工事となり、店を1週間ほど閉めなければならない場合もありますが、新たにオープンさせる際は何の問題もなく取り掛かれます。
あるイタリアンの例ですが、お店のファサードをイタリアの田舎風にこだわり、外から中が全く見えない作りにしていました。なかなか新規のお客様が増えないとご相談を受けた際に、前面を思い切ってアコーディオンサッシにしてオープンなお店にしてはどうかとご提案しました。実際に改装工事をなさった後ですが、いままで通り過ぎていたOLさんたちが女子会で利用していただけるようになり、新規の女性客が一気に増えたと喜ばれていました。
もし、新規開業で日本政策金融公庫から設備費として借り入れるとしても、自己資金1割で融資してくれます。総借入額が300万までは支店の判断で審査がおりますので短期間で結果が出ます。仮に、工事費に100万円掛かるとして、自己資金は10万円あればOKということです。返済期間を6年、金利2%で借りたとすれば、月々の支払いは1万5,000円程です。
こんなに安く借りられるのかと思った方はもう少し奮発して、オーニング=可動式の庇と床の手直しも同時に検討してみてはどうでしょうか。特に床は材質によってお店のイメージが一変します。和、洋を問わない木のフローリング、明るく高級感を出したいのならテラコッタや人工大理石などが有効です。
~まとめ~飲食店はオープンテラスの活用でウイズコロナを乗り切る
夜、通りから見える店内は何にもまして最高の宣伝効果を生みます。そこに集うお客様の年齢層や注文をしている料理など一瞬で分かります。若い人達が騒ぐ店だと思われていたのが、あそこなら落ち着いていてくつろげそうだと分かれば新しい客層の方が来店されます。いつ通りかかっても席が一杯となれば、人気の店だと認知され一度行ってみようというモチベーションになります。だからではありませんが、お客様はテラスの外側から順にご案内すれば、傍から見ればいつも満席です。これも一つのテクニックです。
お店開口部のオープンテラス化は看板と同じぐらいかそれ以上の重要な要素です。前面道路が無料で使えるうちに是非検討してみて下さい。