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【プロが分析】飲食店のカウンターは機能とライブパフォーマンスで繁盛する

飲食店-カウンター-繁盛

Photo by Assorti

木肌の白い無垢のカウンターは高級寿司店の顔です。かたや重い扉を開けると目の中に飛び込んでくる、重厚な カウンター と言えばオーセンティック(正統派)なBARの象徴です。一方、牛丼店に立ち食い蕎麦といえば庶民のカウンターの代名詞となります。

素材は違えど同じカウンター様式の飲食店でありながらそれぞれに違う強みを生かして今に至っています。

そこにはいくつが疑問もあります。なぜ高級鮨店は カウンターだけで高い客単価が稼げるのか?なぜ蕎麦屋はいっぺんに多くお客をさばけるのか?

飲食店における カウンターが持つ機能と魅力について徹底分析してみたいと思います。

Contents

 飲食店のカウンターその名前の起源は

1800年代のアメリカ、ゴールドラッシュに沸く西部の街で、酒場といえば樽からお酒を売るスタイルが一般的だったようです。店主がチョット目を離したすきに、内緒で一杯という輩が後を絶たず、樽と西部の荒くれ者を棒で隔てた仕切りがバー(BAR)と呼ばれ、今の業態の起源とされています。名前こそBARという呼び名が残っているものの、肝心の棒は形を変えテーブル様式となり今に受け継がれています。

これに対し、日本のカウンターの代名詞寿司店の場合はちょっと進化の内容が異なります。

江戸時代の寿司といえば今のようなスタイルではなく、屋台や桶に寿司を入れ売り歩いていたそうです。氷のない時代なので、煮魚や煮ダコに酢飯のようなものが主流だったそうです。

戦後になり状況が一変します。当時の政府は疫病を恐れ、屋台で生ものを出すことを禁じたのです。これでは暮らしていけないと寿司職人が考え出したのが、屋台ごと家の中引き込んで営業をするスタイルでした。この屋台形式が、今の寿司カウンター へと引き継がれていったのです。

余談ですが、牛丼の吉野家は1899年の創業歴史は古く、OK牧場で決闘があった1879年と同じ時代です。日本にもそんな昔からカウンターの歴史があったとは驚きです。

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飲食店に重要な機能としての カウンター

飲食店におけるカウンターの魅力はなんといってもその機能性の高さにあります。

カウンター内が狭いことでかえって余計な動きをしなくて済む最短の動線を生み、調理時間の短縮を生み出しました。結果いっぺんに多くのお客様に食事を提供することが可能となったのです。

それだけではありません。注文を聞く、料理を作る、食器を下げる、しまいにはお勘定の清算まで、すべてカウンターを挟んで済ませることが出来る究極のレイアウトなのです。

また業態によって変わるカウンターサイズにも秘密があります。

機能と回転数(来店客数÷収容人数)で勝負する牛丼店や立ち食い蕎麦屋の業態では、店舗当たりの収容人員を増やすために カウンター 幅は狭く設定されています。まさにどんぶりが乗る幅程度ギリギリに。

さらに、箸置きや薬味、紙ナプキンなどは場所をとり、収容人数を下げる可能性ありますので、30cm程高くした二段目のカウンターに置いてあります。これだと目の前におかれていて便利ですし、より多くの人が カウンター に立つことが可能となります。実に機能性を追求した作りとなっています。

逆に高級店の カウンター 幅は広く取られています。それはコース料理を想定していくつもの料理(皿)をのせるためです。ここが狭いと注文の数が確実に減るのです。

飲食店のカウンターは演出効果も抜群

牛丼店や蕎麦屋がカウンターの素材を耐久性やメンテナンスの利便性で選ぶとすれば、寿司店やオーセンティックBARがカウンター に使用する木材を選ぶ基準となると「杢目(もくめ・年輪が織りなす柄のこと)」や「色」、手触りといったものが重要視されます。

前者が素材を合板材や人工大理石であることに対し、後者はヒノキ、イチョウ、センといった広葉樹系の木肌が白く、きめの細かな木材は寿司屋で、ケヤキ、ウォールナットといった杢目が美しい木材などは、BARなどで使用されています。

磨きこまれた白く光る カウンター、ほんのり木材のいい香りがするカウンター、まるでピアノのような鏡面仕上げのBAR カウンター などは、スツールに座るやいなやつい触ってその感触を確かめてしまいます。まさに舞台装置と言うべき作りです。

蛇足ですが、寿司店は1階にあることが多いのですが、本格的なBARとなると地下1階や2階以上の上層階が多いものです。そこで問題が発生します。

こだわりの カウンターを誰しも1本ものの木材で作りたいとお思いになります。ところが地下や上層階では入口が狭く長い木材が入らないことが往々にしてあります。銀座の7階にあるBARでは5mもの一本物を、道を封鎖し、クレーンで外の窓から入れたと聞いたことがあります。お店を選ばれるうえで重要なポイントです。

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飲食店のカウンターはライブスペースとなる

ここからはカウンターが生み出す高客単価の秘密に迫りたいと思います。

大トロの握り一貫で8,000円、カクテルを1杯頼むとチャージ料も併せて4,000円程するお店が以前は数多くありました。

社用族が会社の経費を潤沢に使えた時代の話です。デフレが長引く今、随分とリーズナブルになったとはいえまだまだ高値の花と言えましょう。

ではなぜ牛丼1杯、掛け蕎麦1杯300円台の時代に高い客単価を維持できるのでしょうか?

それは、提供している料理に、 カウンター内の板前さんやバーテンダーさんの作り出す付加価値が含まれていて、その立ち振る舞い、会話も含めての金額だからです。

板前さんの包丁さばきや、寿司を握る姿に見入ってしまった経験がおありだと思います。バーテンダーさんがシェイカーを振り始めた音で会話がとまり、ついそちらを見てしまうなんてこともしばしばです。

カウンター席に座る醍醐味とは、彼らのライブパフォーマンスにあります。また、豊富な経験に加え、専門知識豊富な彼らとの会話も実に楽しみですし、お薦めのネタやカクテルなどはつい試してみたくなります。板前さん、マスターの話術=営業力と言えるでしょう。

 飲食店でカウンターを分析~まとめ~

このように見てくると、 カウンター に使用する木材の価格とカウンター自体の奥行幅が客単価と比例しているようです。

また、 カウンター の中に入っている料理人が カウンター に座るお客様に営業をするのかしないのかでも客単価に大きな違いが出ています。

席数が20席に満たない小さな 飲食店舗でカウンターを作る場合でも、 カウンター席の方とのコミュニケーションがとりやすい作りにすることはとても重要だと分かります。

もっと言えば、カウンター席から席が埋まってゆくお店が理想と言えます。銀座のお寿司屋さんはお店のご主人の前が特等席なのです。

どうやら、 カウンター席はその機能よりも、付加価値の方が重要だと気付くべきです。間違っても、ちょっとした物置場やビールサーバー置場、下膳の為のスペースなどに使用されないよう、よくお考え下さい。

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