脱サラ 。それまで所属してきた組織から離れることを意味します。
その組織に所属した長さに比例して地位は高くなり、仲間の数、取引先のお知り合いなども多くなるものです。組織を離れ脱サラするさい、夢を語り祝福されて旅立つときの高揚感はたまらないものがあると言います。
そうなれば、オープンの暁には祝福を頂いた皆さんに来ていただくというのがお約束になってきます。組織だけではありません。家族には当然了解をとっているでしょうし、場合によってはご一緒にお店の切り盛りをなさるかもしれません。
もっと言えば、日本の賃貸借契約では、連帯保証人を必要としますので、ご両親やご兄弟に 脱サラ を告げ、飲食店のオープンに向け連帯保証人をお願いすることもあるでしょう。
お解りでしょうか、 脱サラ しての飲食店開業とは準備段階から大きなプレッシャーを背負いながらのスタートなのです。
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脱サラで失敗する共通点①:相談相手がいない
準備段階で頭の整理をしたい時や、迷った時の話相手は絶対に必要です。気づきや閃きといったこと以上に、精神衛生上大切なのです。
これまでは、組織の中にいていつでも会話や相談が出来たのに突然すべてを一人で決めなければならなくなります。ただでさえ不安がよぎるのに 脱サラ して周りに話せる相手がいなとなると滅入ることもあると言います。
近くに飲食業界にいらっしゃる方がいてアドバイザー兼相談相手というのが理想ですが、そういった知り合いは一切いないという方でも心配はいりません、 脱サラ で飲食店を始められた方々を数多く見てこられた税理士や会計士の皆さんがその代役を引き受けてくれます。
とっかかりは、創業資金の借入相談から始まり、日々の売上集計の依頼です。ここは、必要経費と割り切って会計を任せるほうが結果安上がり(安全)です。
脱サラで失敗する共通点②:初期投資にお金をかけすぎる
冒頭に申し上げた各方面からの見えないプレッシャーは意外な形となって表れてきます。本来料理で勝負をするとところを、見た目から入ってしまいます。結果お店造りについ力が入ってしまいます。
昨今脱サラ の前提になっている居抜き店舗は、新築の状態から年月を経て飲食店舗としての味が出てくるものです。しかし、主が変わり一部手を加えた途端にそれまでのバランスが崩れ何処もかしこも気になりだすのです。
そうなると言われてみれば確かにそうだねと言ったレベルでも、見えないプレッシャーのかかる本人には見過ごせないところとなり追加で手を入れてしまいます。
その結果、折角安く手に入れたお店にも拘わらず「結局、新築と同じぐらいお金が掛かったよ」というお決まりのセリフが飛び出す始末です。
最初に計画した以上のお金は内装にかけない勇気を持ちましょう。どうしても気になるときは、半年後だとか1年後だとか時期を遅らせて工事することをお薦めします。なぜなら、貴重な運転資金をオープン前に使ってしまっては、お客様がつく前に立ち行かなくなるからです。
脱サラで失敗する共通点③:お客様本位になっていない
脱サラ で始める飲食店舗は、ある意味店主のコダワリの塊のようなものです。そのコダワリを理解してくれる方々がお客様として来店されリピーターとなりお店の売上に貢献してくれるからです。とはいえ、そのお客様がつくまで運転資金が続けばの話ですが。
例えば、銀座の中央通りで立ち飲みの焼き鳥屋をやるだとか下町の駅前で高級フレンチをやる。どうでしょう?どちらもミスマッチに感じます。これならどうでしょうか。オフィス街で昼のランチをやらずに、深夜3時4時まで深夜営業をするバルや住宅街で食べ物は一切出さずにカウンターだけでコーヒーのみの営業をする純喫茶など。
趣味でやれるなら何も申し上げませんが、利益を出して借入資金の返済や生活費を捻出しようと言うのであればいささか問題です。コダワリの為に1から10まで経営資源を投下するのは極めて危険です。利益を稼ぐ部分を用意しなければ必ず破たんします。
オフィス街であればランチやお弁当を積極的にやりましょう。また、最近のサラリーマンは夜が早いものですから、18時から19時代にお客様を呼び込むハッピーアワーのようなコンテンツはコダワリを捨ててでも必要です。
同じように、住宅街の昼下がりはは近所の奥様方がターゲットです。こだわりのスイーツとゆったりと談笑が出来る空間、テーブル席で利益を出しましょう。
脱サラで失敗する共通点④: 料理に没頭してしまう
閉店を検討なさっているお店にお邪魔したさい、いつお邪魔してもご主人は何か料理をしていらっしゃいます。この傾向は、 脱サラ 組だけでなく、根っからの職人気質の方にも当てはまります。
伺ってみると、仕込みだよとの返事なのですが、どうやら食材の状態やら気分でちょっとした工夫を凝らしながら試行錯誤を繰り返してらっしゃいます。
食材の切り方を変えてみた、調理時間を変えてみた、調味料のバランスや種類を変えてみた、付け合わせを変えてみた etc. その努力には頭が下がります。
料理以外の仕入れ管理、現金管理、アルバイトなどのスタッフ管理などを誰かがやってくれていればいいのですが、 脱サラ というのは全てをご主人一人が切り盛りしなければ最初は回ってゆかないものです。
問題は、料理に没頭するあまり料理以外がなおざりになり、無駄な発注や食材の無駄な廃棄、アルバイトのシフトが間違っていてお客様に満足なサービスが出来ないことなどが度々起こってしまうことにあります。
経営の効率化やお客様サービスに目が届かないことでリピーターが増えず利益も残って行きません。ご主人が間違いに気づくころには運転資金が尽きる手前ということがほとんどです。
脱サラで失敗する共通点⑤:宣伝方法を考えていない
実は、一番多い共通点かもしれません。
経営がうまくいっていないお店のご主人は皆同じフレーズを口にされます。「一度でも食べに来てくれたらファンになってくれるのに」と。ここは先にお話ししたコダワリの塊に根差す部分でもあります。
外に掲げている看板は高級店を思わせるような凝った造りやネーミングなのですが、そもそも店名すら読めない、一体どんなお店なのかよくわからない、人通りが多い大通りから一本入っているのにひっそりと開店している、新しいお店だからネットで調べて食べに行こうにもネット上には何も情報が出てこない。
今どき宣伝をしないでも客が来てくれるお店は有名料理人の独立ぐらいです。
簡単に言えば、視覚による認知、ネットによる確認(料理、金額)、チラシ配りや周辺企業への挨拶回りなど最低限のこともやらずにお客様が来てくれるはずがありません。
そのうち、そのうちと言っていつかお客様が押し寄せて来てくれるだろうと甘い考えでいるとついにその時はやってきます。そう時運転資金が尽きるタイミングです。そこから手を打ち始めても手遅れです。
宣伝とは、オープン前から計画的に考えておくべきで、売上の数字如何でどの手を打てばよいのかシミュレーションしておきましょう。
まとめ
これから脱サラして飲食店を始めようと考えているなら今回のコラムを読んで自分は絶対にそうはならないと思われたことでしょう。しかし開店と共に同じ道に迷いこまれる方は多数いらっしゃいます。
確かに脱サラでは経営者であるご自身がやらなければならないことが山ほどあります。逆に言えばやってはいけないことを最初に書き出しておいて道標にするのもまた必要な作業です。
何事も段取り八分といいます。長い時間をかけてという意味ではなく、やるべきことやらざるべきことの整理と優先順位の整理が成功と失敗を分けるようです。是非参考になさってください。
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