まとめ-Summary-
- なにがしたいのか決める。(ゴールを決める)
- 繁盛店へのロードマップづくり。必要なスキルを身につける
- 看板メニューと価格帯を決める。
- ターゲットを定め立地を決める。
脱サラをして飲食店を始められる方には大きく2つのタイプがあります。
一つは定年後に趣味としてお店を持ち、お金を稼ぐと言うよりは、気の合った仲間やお客様とのんびりと時間を過ごしたいタイプ。
もう一つが、雇われの身から脱却したいことと併せてお金を稼ぐことが脱サラの主な理由というタイプです。
前者の場合、店に高価なオーディオを持ち込んだりプロジェクターを付けたりしてお客様がいない時間も含めて大切な空間となります。お客様は、家賃が賄える程度で結構と言い切る方もいらっしゃいます。どうやら忙しくて自分の時間を奪われるほうが苦痛のようです。
それにひきかえ後者はどうでしょうか。これまで貯めた貯金や公庫などからの融資、親兄弟からの支援等々これから生活費を稼ぎながら借入金を返済して行く道のりの始まりです。
言い方は良くないかもしれませんが同じ脱サラでも趣味の要素が強い方とこれからの人生を飲食店で切り開いてゆこうと言う方では当然準備も変わってきます。
どちらにせよ、脱サラで成功する飲食店の始め方について今回は4つのポイントから考えて見たいと思います。
Contents
1.脱サラで何をしたいのか整理
最初に、脱サラをしてどのようになりたいと考えていますか?就職のゴールが退職だとすると、脱サラのゴールをどこに据えるのかとても大切なことです。ともかく脱サラしたいという想いだけではダメです。まずここから整理をしてゆきましょう。
山登りに例えるなら、
- どの山に登るのか
- (山がきまれば)登るルートはどうするのか
- その登山にあった装備(準備)は何か
脱サラのゴールを決めていないと言うのは、ただ山に登るぞと言っているのと同様です。逆に、未経験者が突然エベレストに登ると決めてもこれまた無理があります。まず、身の程を知るためにも以下の3点で整理しましょう。
〇飲食店の業種と事業規模を決める
一人でやれそうな業種だからという理由で、ラーメン、カフェ、喫茶、Barなどをあげる方は数多くいらっしゃいます。しかし一人だからと言って簡単に始められるわけではありません。
山を登る際には登山計画があるように、脱サラには綿密な事業計画が必要です。あわせて開店までの工程表が必要です。
開店後はゴールまでの時間の中にいくつものチェックポイントを置き定期的に事業評価を繰り返します。時間とともにゴールが変化することも大いに考えられます。
このよに大まかなアウトラインがあって、それに沿って細かな作戦がさらに決まってゆくのです。
〇繁盛店を目指す作戦を決める
開業、そこからが本当のスタートです。
ゴールまでの期間、売上や宣伝に対して常に手を打っていかなければ到達できません。それどころかお店が1年と持たずに立ち行かなくなるかもしれません。
いつまでにどの地点まで到達していなければならないか、またその為にどのような手段を考えているのか明確にしておく必要があります。
ある方は、インターネットで集客を考えるかもしれません。またある方はお店の内装を凝ったものにして話題を集める方法をとるかもしれません。
規模拡大、売上増大の為にどのような手段をとるのか本来開業前に決める必要があります。
この話を脱サラしようと計画されている方にお話ししたところ、そんなことは始めて見ないと分からないじゃないかと一蹴されたことがあります。果たしてそうでしょうか。
考えて見てください、ルートを決めないで山に登れば間違いなく遭難です。なかには運よくゴールにたどり着ける方もいるでしょう。
その確率を飲食店舗の開店からの閉店までの確率に置き換えるならば、開店から1年未満で閉店する確率は36%、2年未満で閉店される方は実に51%もいらっしゃいます。ここに仲間入りすることになります。
スタートメニューに入れた料理のうち一定期間の売上で数多く出たものはどれなのか、出なかったものはどれなのか評価する必要があります。
当然人気のないメニューは入れ替えです。原価率の高いものはどれなのか、また食材でも廃棄する部分が少なくバリエーションがつくれるものはどれなのかなど利益率を考える時期を予め決めておくと迷いがなくなります。
同様に、売上アップの為により利益率の高いメニューを投入するタイミングや投入する料理のイメージなどは、最初に複数考えておき、状況を見て前倒しがいいのか先送りがいいのか判断しましょう。
もし、開店から一定期間経過した時点で想定した売上に達していない場合にどのような宣伝を展開するのかも想定しておくべきです。なぜなら、価格を大幅に下げたりなど思い切った宣伝策でも取らない限りすぐに効果は見込めません。
別の言い方をすれば、このままでは店がやって行けないと気が付いてから宣伝を始めても手遅れということです。
〇お店の規模、厨房設備は事前にシミュレーション
売上を稼ぐにあたっての席数はどうするのか、賃料の支払いはどうするのか、調理をする厨房設備は対応しているのかオーバースペックではないのかシミュレーションする必要があります。
実際に物件探しを開始すると優良物件などは、物件を内見した後でじっくりシミュレーションという訳にはいきません。素早く決断するには事前のシミュレーションが重要です。
立地やエリア、内装の良し悪しだけで物件を決めてしまい、冷静に考えたら厨房は狭いし機器は足りないし、席数も少ない割に家賃は高いしということになりかねません。
ある程度の幅を見ながら事前に想定したような物件を探されることをお薦めします。
2.業種と立地はどのように決めるのか
飲食業界で長年店舗開発やスタッフとして働いてこられた経験がある方は別として、脱サラとで言えば別の業界から独立、開業をする方も数多くいらっしゃいます。脱サラをしてどの業種で開業するのかを決めるには、いくつか考え方がありますが、その一つに以下の方法があります。
- メインになるメニュー、価格帯(客単価)を決める
- そのメニューを誰に対して売るのかを決める、
- ターゲットになるお客様が一番いそうな場所はどこかを考えて探す
ターゲットがOLやサラリーマンであればオフィス街ですし、土日も稼ぎたいと言うことなら人気の駅を狙うべきです。自分が馴染みのある街というのは、若干思い入れがあり判断を鈍らせる傾向にあります。ここは駅乗降客数、主要企業の有無、夜間人口、同じ業種の客単価にメニューなどを複数の街をロケハンして研究しておくことが物件探しと業態確定への近道です。
3.脱サラというチャレンジをチャンスに
脱サラというチャレンジは低金利のラストチャンスといえる時期です。だからと言って焦って始めても失敗リスクは高くなるばかりです。脱サラ、独立、開業をうたう本は数多く出版されています。そのほとんどが原価率の考え方や仕入れと販売などの係数管理に紙面を割いています。
逆に言えば物件探しのノウハウを書いたものはあまり見かけません。たぶん本の著者がフードコンサル出身の方がほとんどで不動産出身の方がその手の本は書かれないからだと思います。
傾向としてコンサル出身の方は人通りの多い立地を薦める傾向にあります。なぜなら、お店の看板や顔作りは目につきやすく宣伝をする手間が省けるからです。但し、その分賃料も高くなります。
これに対し、表通りから一本通りを入っている物件はリーズナブルに借りられます。あとは、どの様に宣伝すればお客様が認知して下さりリピーターとなってくれるかに知恵を絞るべきだと思います。
もし一つでも人気料理が提供できれば開業は半分成功したも同然です。
スタート地点とゴール地点、そしてそのルートを今一度整理しましょう。今まで気づかなかったものが必ず見えてくるばかりか成功のイメージまでも手にすることが出来ることでしょう。