コロナウイルスの出現により、働き方が大きく変化してきました。テレワークなど10年前倒しとなったという説もあります。それだけではありません、これまで雇用されることが当たり前だった社会に独立・起業という大きな流れも生まれています。
歓送迎会、コンパなど機会あるごとに居酒屋に集まっては酒を酌み交わすコミュニケーションも今ではすっかり影を潜め、郊外のこじんまりとしたお店で少人数で料理とお酒を酌み交わすことの方が一般的となりつつあります。
ウーバーや出前館といったケータリング会社の台頭で、飲食スペースを持たないゴーストキッチンなる業態も現れています。
飲食店で独立、起業を目指す方にとって、今が一番選択肢が多い時期ではないでしょうか。
今回は、飲食店の開業準備のヒントを書いてみたいと思います。
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スタートラインに立てるのか確認する
日本政策金融公庫や保証協会からの融資を受けようと考えている方や、店舗の造作費用、厨房機器などでリースを利用しようとしている人は、会社をお辞めになる前に、自分自身の信用情報を確認しておかれることをお薦めします。それはなにか?ズバリ、個人信用情報開示報告書を取り寄せることです。
情報取得先: 株式会社シー・アイ・シー
※1件につき@1,000円の手数料が必要です。
ここには、月々のローンやカードの返済額及び返済状況が全て出てきます。どこからローンを借りているのか、どの会社のクレジットカードを持っているのか、またカードの新規申請をいつしたのだとか一目瞭然です。滞納や不払いなどの記録も過去の分まで出てきます。
これらの中に、俗に言うブラックリスト記録があるとどこからもお金は借りられません。以前はクレジットカードに関する滞納がおもなものでしたが、最近では携帯電話の支払い状況などで信用力を審査されることがあるようです。お気をつけ下さい。
融資を申請してから不安になるより、自分がお金をきちんと借りられるのかどうか、会社を辞める(脱サラする)前に確認しましょう。まずは先に安心したところで、後は準備をするだけです。
飲食店開業融資への近道
脱サラでは、確実に融資が受けられる方法はないものかと考えるものです。税理士、税理士法人の中に創業融資に実績のある事務所はネットで調べても結構な数が出てきます。ここと組めば融資実行の確率はグンと上がると言われています。
なぜなら税理士のなかには金融公庫から請託を受けて一次審査を肩代わりしている方が大勢いるからです。つまり、個人で申込むよりも審査時間が短いばかりか、その税理士が作った事業計画であればほぼ審査は通貨するとも聞きます。
通常、物件の借入申込のタイミングで、公庫にも申込みを行えば通常3週間から1ヶ月かかるります。それを税理士と組めば10日前後、早いと3日での回答実績もあると聞きます。ここは少々コストをかけてでも手堅く取りに行くことをお薦めします。
お店のコンセプトづくりは重要
成功への近道はまずコンセプト作りからです。
- どの業種で(カフェ、BAR、居酒屋、クレープ、お好み焼き etc.)
- 誰を対象に (ビジネスマン、OL、近隣住民、学生、テイクアウト etc.)
- どんな商品(料理)(三元豚を使ったカツ、秋田郷土料理、自家焙煎コーヒーetc.)
- どう提供する(東京で入手困難な地酒と共に、高級磁器で飲む、昭和のレトロetc)
- どこから仕入れて(商社・自分で開拓・地元のお店・産地直送etc.)
- いくらで売る(ターゲットに対する客単価の設定)
- 集客・宣伝は(ターゲットと客単価が決まれば宣伝方法も決まってくる)
- 売上予想(最初の3ケ月・半年・1年後。曜日別、月別で季節に合わせて綿密に)
- 売り上げの分析方法(曜日、月、天気、時間帯別の売上、売れた商品分析)
- メニュー改善方法(第二、第三メニューの考案)
- 売上が予定に届かない場合の対策(追加宣伝方法等)を先に考えておく
どんな店舗を始めるにしてもこれがなければ何も始まりません。逆に言えばこのコンセプトさえシッカリつくりこめば、あとはそれを実現する為の具体策と、いつまでに終わらせればいいのか工程管理をするだけです。皆さんここが大雑把すぎる為に次々と現れる現実に翻弄され、繁盛の軌道に上手く乗れないのです。
飲食店のマネジメント
分業ではなくご自身ですべてを行うということは、大きく3つのマネジメントをこなす必要があります。
事 務
- 現金管理
- 帳簿管理
- 売上管理
- 仕入れ管理
- 契約管理
- 各種届出管理
- 係数管理
最初からすべてをやろうとすると気が滅入ってしまいます。例えば経験豊富な税理士さんや税理士法人さんをパートナーに選ぶのも一つの手です。
月々数万円で経営のポイントをアドバイスしてくれますし、確定申告もスムーズにできますので、ご主人はお店の経営に専念できます。
もし、公庫の借入段階から手堅く融資を引き出すことをお考えなら、店舗がオープンした後も経理管理をお願いしてみてはどうでしょうか。
最近は創業時の借入や、その後の経理だけではなく、お店が繁盛する為に各種のセミナーを開き、メニューのバージョンアップの手伝いやチラシに広告、さらには客を呼び寄せる看板のアドバイスまでやってくれるところもあります。
うまく使えば貴重なFLコストなど各コストのバランスやキャッシュフローのアドバイザーが得られるばかりかトレーナーとしてもお付き合いができると思います。 脱サラ する前に話を聞いてみても無駄にはならないと思います。
2.労 務
- 従業員、アルバイト(募集・面接・トレーニング)
- シフト管理
正社員なのかアルバイトなのか、それにより募集媒体が異なります。最近の採用はどちらも苦労されています。以前のように大学生さんが直ぐに応募してくる時代ではありません。
また、時給も上昇しています。大手でも人材不足で開店を遅らせることもあります。採用までの時間と時給設定は、よくメディアの方と相談をして広告を出さないと採用はままならないと言います。お気をつけ下さい。
採用の後でも、アルバイトは突発的に来られなくなることも想定して、オペレーションを事前に考えておきましょう。またシフトを組んでおくことで月の人件費を割出すことが出来ます。仮に人が予定通り集まったからといって安心するのは早計です。最初にたてたコストの枠内で働いて頂くようにしましょう。
脱サラ店舗のオープニングは全員が未経験者ということも多くあります。。友人や身内に手伝ってもらい、何度も開店前のシミュレーションをしてオペレーションを確認しておきましょう。
3.技 術
- メニュー
- 食材の発注
- 廃棄率管理
- 調理手順
- 仕込み準備
このマネジメントで一番重要なのが、買った食材を出来る限り使い切るつまり無駄な部分を無くすということです。
捨てる部分が多くなればそれだけ損が出ます。工夫をしながら材料の使い方を日々考えて進めてください。併せて、売れ筋の商品を早く把握し、売れ筋のバリエーションを増やすことで、コストと利益率を延ばす工夫をしましょう。
ただ、最初からメニューのバリエーションを欲張るとオーダーから提供まで時間がかかってしまい、客離れを生む可能性があります。事前のトレーニングでよく確認したいものです。
脱サラ のタイミング
退職金がでるので、 脱サラ(退職) をしてから準備を始められる方がいらっしゃいます。反対に仕事をつづけながら用意周到に準備し、公庫の借入が決まるタイミングで退職を決断される方もいらっしゃいます。どちらがいいというものではありません。実際にこのような 脱サラ 組がいらっしゃいます。参考にしてください。
A氏:
新卒で就職。8年の会社勤めのあと居酒屋の主人を夢見て 脱サラ を計画。ところが彼は直ぐにはその計画をスタートさせませんでした。会社を辞めた後、修行を兼ねて大手居酒屋チェーンに勤務、居酒屋のオペレーションや調理のノウハウを十分吸収してから店舗を立ち上げ、現在盛業中です。
B氏:
ビール会社に30年勤めた後退社、すぐに会社組織を立ち上げカフェの業態で業務を開始することに。それまでの貯金と退職金で10坪ほどの店舗を契約。200万ものローストマシーンを買い、退職から2ヶ月足らずでお店はオープン。現在こちらも盛業中です。
~まとめ~
最後に、不動産物件の選定時には注意が必用です。場所にこだわり過ぎると物件が出てきません。いい物件でも高い家賃や広すぎる物件は要注意です。経営を圧迫するもととなります。大半はこの見極めが出来ずに、運転資金が尽きてしまうケースがほとんどです。
人気の駅よりすこしマイナーな駅近くで探してみましょう。その際、夜お店の片付けが終わったあとの帰宅手段(徒歩、自転車、バイク、電車)を併せて考えましょう。大事な営業時間に関わるポイントです。