日本政策金融公庫の創業融資は、2024年4月の制度改定により「新規開業・スタートアップ支援資金」として一本化されました。それに伴い借入は原則無担保・無保証となっています。

融資の内容にも変化がありました。創業に必要な「設備資金」(店舗の内装、車両、機械など)および「運転資金」(仕入、諸経費、人件費など)という内容で区別され、最大限度額は7,200万円うち運転資金は4,800円までと大幅にアップされています。

返済期間と据置期間にもかつての創業融資とは異なり、設備で20年、運転資金で10年以内とこちらも返済期間が長くなっています。特筆すべきは融資実行からの元本据置期間です。以前の1年据置から5年へとこちらもありがたい変更となっています。

これは、コロナで疲弊した経済を安定的に立ち直らせるために行っているもので、このタイミングこそが独立、開業されたい方にはまたとないチャンスの時といえるのです。

とはいえ、どのようにすれば融資が受けられるのか、書類を揃えて融資担当との面談はどうもと二の足を踏んでいる皆さんに改めて融資についてお話ししたいと思います。

  

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日本政策金融公庫から融資の前に3つの心得

 色々とテクニックで融資を勝ち取るサイトが散見されます。確かに何も知らないよりは多少テクニックに頼るのも大切です。しかし今回はこのテクニックの前に日本政策金融公庫に対し正攻法で挑む心得をまずは知ってもらいたいと思います。

  1. 起業、開業への強い想いが試される
  2. 事業計画書を自分で作っているか
  3. 融資審査の面談はご本人1人のみだと知ろう

事業内容に実効性があるのか質問され、融資を申請に来た席で「再度計画を練り直してきます。」と言って帰っていかれる方がいるそうです。それでも融資審査担当者から指摘を受けた箇所の実効性を証明する書面を別途作成したり、事業全体のボリュームを見直すことで持続可能な事業として認められることが多いと言います。

先にお話をしておきますと、融資審査をする担当者は審査が目的ではありますが、振るい落とすことが仕事ではありません。実は融資を申し出た方のサポーターの様な役割をすると言った方が実態に近いと思います。

具体的に言えば、融資の審査を行う際に申請者に代わって融資を引き出すべく説明代理をしてくれる人なのです。あまり大っぴらに言われていませんが、彼らも融資申請を通すノルマがあるようで、融資が通る確率や本数にご自身の評価がかかっているのです。

融資審査担当者が、試験官や面接官の様な存在ではなく味方なんだと考えるだけで日本政策金融公庫の敷居はグッと低くなります。 

1.起業、開業への強い想いが試される

融資審査担当が最も重視するポイントです。大きく二つの意味を持っています。

まず「他人のお金を借りてまでなぜその商売を始めたいのか」、その思いが問われます。

飲食店であればそれまでの経歴、経験がものをいうでしょう。お店の経営を任されていただとか、仕入れ管理、アルバイト管理を全てやって来たなどとアピールできればお店とお客さん次第でお金のやり繰りは出来る人だと理解してもらえるはずです。

例え全くの素人でも開業に向けた勉強や実店舗での修行など計画的に準備してきたことがアピールできることが重要です。

二つ目に「金銭感覚」を試されます。

どういうことかと言うと、借りたお金をキチンと返済できる人なのかどうなのかと言うことです。この部分は始まってみないと分からないと言われるかもしれませんが、金融公庫では自己資金をどのように準備してきたかで概ねわかるそうです。なかには親御さんやスポンサーから一度に自己資金の協力を受けられる方もいらっしゃるでしょう。本来はご自身で貯めたお金の記録つまり貯金通帳があなた自身の鏡となるのです。

これまで持ち続けてきた起業、独立という目標に対して気持ちを絶やさず努力し続けてきた証ですから何よりも強いアピールとなります。できれば、生活に使う口座と分けて融資を受ける為の自己資金をためる口座を一つ作ることをお薦めします。より目標が鮮明になりますし、急にお金に困ることがあっても手を付けずにいられます。

この二つのポイントが重要なだけに担当者は審査を通すために目に見えるものを要求します。つまり審査官を納得させるには言葉ではなく記録や実績なのです。日記でも活動記録でもなんでもいいので目標に向けた活動の一切を記録しておきましょう。実際融資を申請する時になってどの記録をどのようにアピールすべきか、融資審査担当者と話をして決めればいいでしょう。

 

2.事業計画書を自分で作っているか

実際にお店が商売として成り立ってゆくのかこの事業計画書で判断されます。事業計画書と聞いて拒絶反応を起こすのではなく、一つ一つ質問に答えて行くようなやり方で内容を埋めて行けば何とか形になります。もっと言えば、自分でわかるところまで申請用紙に書きいれて分からないところは融資審査担当に質問し相談しながら作ればいいのです。冒頭でも言いましたが、彼らはあなたのサポーターです。ある程度のヒントを必ずくれます。

日本政策金融公庫のデータベースには何千、何万もの申請と開業後の事業結果が記録されています。逆に言えば、事業計画を見るだけで成功の可否が分かります。つまり、同じ飲食の業態でも月々の家賃が高い場合や人件費が高い場合などは最初にこの内容で本当に大丈夫?と言われます。これらのアドバイスを聞き入れないと、審査に落ちることとなります。そればかりか一度審査に落ちてしまうとその後6ヶ月間は審査が受けられません。気を付けましょう。

3.融資審査の面談はご本人1人のみだと知ろう

日本政策金融公庫の融資に関するサイトは多く存在します。ただ、実際に融資を申し入れて初めて分かることの方が断然多いものです。

その一つがこの「面談は融資を受ける本人1人だけ」という部分です。当然ですが、融資審査と名前がついているので面接試験のように思いがちですが、融資審査担当=サポーターとの書類に関する受け答えそのものが面談なのです

特別な時間をとって誰か別の人が出てきて根ほり葉ほりやるわけではありません。融資を受ける申請者のひととなりや事業計画の実効性など全てを見極めたところで後はサポーターにお任せと言うことなのです。

楽をしようとかテクニックに振り回されるな!

かつてないほどの低金利時代から返済猶予モードに入った金融公庫ですが、お金を貸し付ける側の審査内容、精神はなんら変わりないと考えて下さい。Web上ではいかにすれば融資が受けられるかという極めて無責任な内容のものもあります。特に融資環境が大きく変わり始めた2016年以前に書かれた文章やコロナ禍に作られたものには気を付けましょう。

~まとめ~

念のため第三者の意見も聞いてみたいというのであれば日本政策金融公庫の事前審査を行っている会計事務所に相談するのが良いでしょう。喜んで相談に乗ってくれるます。なぜなら日本政策金融公庫から融資を希望する人を紹介してほしいと連絡が入っていたり、事前審査認定を受けている税理士法人だったりするのです。

かつて継続融資がメインだった日本政策金融公庫もこれからは本来の役目である新規開業を目指す事業者へ融資の舵をきっています。今は焦らずじっくりと計画を練って下さい。