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飲食店の売上増にはメニュー毎の見える化が必要不可欠~簡単な分析方法も紹介~

来店するたびに感心する老舗の飲食店があります。グループでお邪魔してもこちらが注文した料理、飲み物をすべて丸暗記する驚異の技=記憶術です。きっと初めての方は驚かれることでしょう。

ここまで徹底していなくとも注文をお客様から伺い、厨房に紙や声で伝達する光景は今でもよく見かけます。たまに短縮したメニューの呼び名に思わず笑いを覚えることもあります。

ところが、大手と呼ばれる飲食店には全くと言っていいほどこの光景がありません。敢えて言えば、ラーメン系や牛丼系のお店以外はです。

彼らは、注文をお客様から伺うという作業を専用の端末やタブレットを使い厨房に直接伝達しています。これにより多くのメニューを覚えることもなく正確に注文が取れるようになったのです。

さて、ここに至る大手の取り組みの理由とその背景を探りながらそのノウハウを小規模店舗にも応用し売上増に繋げられないか考えます。

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Contents

システム導入で効率すればいくつもの無駄を削減

そもそもどの部分が効率化されるのでしょうか。アルバイト達が毎日のように入れ替わる飲食店が数多くあります。働く仕組み作りではサービスをマニュアル化してないと教育だけでは追いつきません。

ましてや即戦力としてホールに立たせるにあたっては、仮に初心者ですからとお客様に許していただけない場合がほとんどです。特にメニュー数の多いファミレスなどは、1日や2日で覚えきれるメニュー量ではありません。

昭和の時代、家にメニューブックを持ち帰って徹夜で覚えた経験のある方もいらっしゃることでしょう。

伝達の無駄を削減

さて、端末を使う効果はそれだけにとどまりません。注文を受けてから厨房にその内容が伝達されるまでの時間が短くなります。たった何十秒の事だと思われるかもしれませんが、ここで簡単に計算してみましょう。

1日に来店されるお客様が100名だったとしましょう。一人当たり20秒ほどの短縮であっても累計で33分にもなります。これが365日となると200時間を超える計算となります。広い店内であれば余計です。

誤注文の無駄を削減

まだあります。発注ミスによる誤発注ロスを減らすことが出来ます。これは何かというと間違った注文を厨房に伝えてしまい折角作ったのに廃棄しなければならなくなるというロスです。

先程の時間短縮計算と同様1日に出るロスは微々たるものでも1年となれば大きなロスとなってしまいます。総ての誤発注を無くすことはムリでも人が注文をとる方式に比べ格段にそのロスは低減します。

駅前の革新的システム

ところで、駅前に必ずと言ってある立ち食いそば屋さんの仕組みが最も進んでいます。ご存知の様に入り口にある券売機で食べたい料理の食券を買います。つぎにその食券をカウンターで渡してから料理を作り始めるように見えますが、実は食券を買った時点で厨房内にはその情報が入る仕組みになっていて、お客様が食券を渡すまでの間に既に作り始めるということをやっているのです。だからランチ時の行列もあっという間になくなってしまい回転率が高まるという仕組みです。

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無線端末とPOSシステムの関係

無線端末を利用して生産性をあげる仕組みはまだまだあります。POSシステム(ポスシステム)との連動です。POSシステムと聞いてまず思い浮かべるのはスーパーマーケットやコンビニのレジではないでしょうか。商品のバーコードを次から次へと読み込み支払金額を集計するあのシステムです。

これは「Point Of Sales system」の頭文字を並べて呼ばれるものなのですが、日本では「販売時点情報管理」といいます。一般には、物品販売の売上実績を単品単位で集計する経営の実務手法と呼ばれています。

つまり、1日や1週間単位で売れた商品の集計をするのではなく、店頭で売れた時点で即座に集計することを意味しています。国内で2万店に近い店舗を持つセブンイレブンではすべての商品がリアルタイムで販売個数を把握することが出来ます。

一方飲食店ではどうでしょうか。仮に焼き鳥店だったとしましょう、1日に売れた串毎の集計が毎日出てきます。売れている串はなにか、注文の少ない串はなにか、時間や季節でその売上に変化はないのかなど仕入れ予想や値付けを左右するデータとなります。

同様に20も30もメニューを取り揃える飲食店ではもっと威力を発揮します。全てのメニュー売上をこのPOSシステムで管理したとしましょう。先程の焼き鳥店同様データが蓄積されます。

見える化したデータの簡単分析方法

このデータを次の様に一枚の表にプロットするとくっきりとある姿となって浮き上がってきます。

まず表を作成します。縦軸にメニュー毎の「粗利益額」、横軸にメニュー毎の「販売数」を指標に取ります。その表に2本のラインを今度は入れます。1本は粗利益額の中間点に横一本の線を入れ、もう1本は販売数の中間値のところに縦1本の線を入れます。一つの表は4つのエリアに区切られたことになります。

  • Aグループ・・・右上、粗利益も販売数も高いグループ
  • Bグループ・・・左上、粗利益は高いが販売数が少ないグループ
  • Cグループ・・・左下、粗利益が低く販売数も少ないグループ
  • Dグループ・・・右下、粗利益は低いが販売数は高いグループ

全てのデータはこの4つのどこかのグループに所属することになります。

さて、ここからが重要なポイントです。それぞれのグループについて適切なテコ入れをしなければ売り上げは伸びて行きません。

Aグループ・・・一番稼いでくれる主力商品群です。俗に言うキラーコンテンツです。タペストリーやポスターを作ってもっと宣伝しましょう。ひときわ目立つ工夫が重要です。

Bグループ・・・価格設定か一皿の給仕量に問題がある為に数が伸び悩んでいる可能性があります。ただ値段を下げて皿数を増やしたとしても利益は変わらないこともあります、価格据え置いた上でプラスαをしたり、宣伝強化をするかいっそのこと現状のまま据え置くかなど要検討メニューです。ここ次第で月の売上が変わってきます。

Cグループ・・・ハッキリ言ってメニューから外してしまう検討をしましょう。ただ、常連さんの好みのものでないかや別の料理との組み合わせで必用でないかなどはチェックしましょう。

Dグループ・・・ここは値上げをしてもいいグループです。とは言え単に値上げをするのは危険です。競合他社のリサーチをして負けないレベルを保つ繊細さや同じ料理でも素材や作り方を工夫することで利益を出すことを考えて下さい。つまりDグループをAグループに押し上げるイメージで取り組んで下さい。

~まとめ~

近くのうどん店がタブレットで注文を取る方式に変わりました。とうとうやったなと思い声をかけてみたのですが、システム導入とタブレットで100万円以上費用がかかったとの話でした。少々高い気はしますが、仕入れ管理や売上分析など経営分析が出来る仕組みも併せての値段だと聞いて納得しました。

ただ、小規模な飲食店だととても出せる金額ではありません。もしお金をかけずに売上分析にPOSシステムをやってみたいと言うのであればリクルートが無料でサービスしているエアレジで十分です。(端末となるタブレットは買う必要がありますが)無料ですから一度試して、気に入らなければやめればいいでしょうし、そこから本格的な販売分析をするのも手です。

感覚ではなく数字として売れる商品とそうでない商品、儲かる商品とそうでない商品が目の前に並びます。つまり見える化することで打つ手が必ず見つかる分析方法です。是非一度試されることをお薦めします。

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