飲食店 繁盛店は知っている「abc分析」で利益を出す【業界人が語る】

まとめ―Summary―
売上・利益向上のために

  • メニューそれぞれがどれだけ貢献しているか調べ、可視化することが有効
  • 売上や利益の80%を稼ぎ出す20%の商品・商材を探し出す分析方法がabc分析
  • abc分析は指標をかえて行う
  • 「ロングテール」を見落とさない

Barを訪れて分析をしてみると気がつく、繁盛店のポイント

赤坂のBarにお邪魔したときの事です。

壁一面を覆いつくすモルトウイスキーのボトルに圧倒されておりました。400種類もあろうかという数ですが、お店を経営して行く上でこんなに必要なのか疑問に思えたのです。

横浜の野毛には1種類のウイスキーしか出さないBarがあって、そこは壁一面が同じデザインのボトルで埋められています。その店を知っているだけに余計感じた次第です。

カウンター越しにこんな質問をしてみました。

「この中で一番出るモルトは何ですか?」

そのお店ではマッカランがよく出るとのことでした。

逆に1年に一度も出ないモルトもありますかと尋ねたところ、小さくうなずいてくれました。

商品なのかインテリアなのか、費用(コスト)で考える

考えてみれば、ボトルの数だけ仕入れの費用(コスト)がかかっている訳です。

それが売れずに、ただ置かれているだけだとしたらもったいない気がしたのです。

今回は、品数が自慢のお店がいいのか、売れ筋だけで勝負するのがいいのか、「abc分析」を使いながらメリット、デメリットを考えつつ、利益が残る方法を考えてみたいと思います

売れ筋商品の分析

飲食店を始める前に、事業計画を立てたでしょう。その中では、ターゲットとなる客層に客単価いくらくらいでどんなメニューがあうのか考えたはずです。

その後、お店がオープンし、販売と仕入れに追われる日々を送られることになったと思います。

開店からある程度時間が経ち、売上と収益が安定するころから始めていただきたいのが、1.1で触れたメニューの検証です。まず、なぜ検証が必要なのか考えてみましょう。

メニューを可視化して分析してみる

メニューの入れ替えサイクルが早いだとか、その日の食材の仕入れ次第でメニューを変えるのでなければ、通常は最初に決めたメニューを出し続けているはずです。

利益が残っていれば順調ということですが、なかなか売上が伸びないと頭を悩ましているかもしれません。

そんなときには、全てのメニューについて、それぞれが売上にどれだけ貢献しているか調べ、可視化つまり見える化をすることが有効です。よく注文の入るメニューもあれば、たまにしか出ないメニューもあるはずです。

何となくこれらが混在しているのが普通だと考えるものですが、そこに落とし穴が潜んでいる可能性があります。よくあるのがコダワリの品です。

他の店では出していないからこそ、この店の価値となるというようなメニューや、他のメニューと違いあまり注文が入らないがゆえに一から作ることになり、そのせいで他の注文に応える時間を取られてしまうというようなメニューです。

「毎日の事だから」と見過ごさないでください。月単位、年単位で考えた場合、大きなロスを生んでいる可能性があります。そのロスは、もっと利益が出たかもしれないという損失を指します。

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abc分析でそのロスを見つける

「abc分析」とは、聞きなれない分析方法かもしれません。

この分析方法が生まれた背景には、「パレートの法則」と呼ばれる経験に基づいた理論があります。これは「80:20の法則」とも呼ばれ、売上や利益の80%は、たった20%の商品・商材が稼ぎ出しているというものです。

この20%の商品を探し出す分析方法がabc分析なのです。

イタリアンレストランのメニューから考えてみるabc分析

まず、メニューのサンプルをもとに分析方法を見ていきましょう。

メニュー 売 上 構成比 構成比累計
1.ポモドーロ   250   32.0%   32.0%
2.ボンゴレ   188   24.1%   56.1%
3.ペペロンチーノ    90   11.5%   67.6%
4.カルボナーラ    60      7.7%   75,3%
5.蟹クリーム    55    7.0%   82.3%
6.スープパスタ    45    5.8%   88.1%
7.冷製パスタ    30    3.8%   91.9%
8.グラタン    25    3.2%   95.1%
9.ラザニア    20    2.5%   97.6%
10.パエリア    17    2.2%   97.8%
合 計   780  100.0%  100.0%

ABCの3グループに分ける

売上順に並べたメニュー表に2本の線を引きます。

1本めは、全体の構成比累計の70%のところ、ちょうど3のペペロンチーノと4のカルボナーラの間です。これをA線とします。
2本めは、全体の構成比累計の90%のところ、6のスープパスタと7の冷製パスタの間です。これをB線とします。

A線より上の売上トップグループをAグループ、A線とB線に挟まれたセカンドグループをBグループ、B線から下の売上グループをCグループとします。

さてここから見えることは何でしょうか。

① Aグループ3種類で、売上のほぼ7割を上げています。

② Aグループ+カルボナーラの4種類で、売上のほぼ8割を上げています。

③ Cグループが売上に占める割合(11.7%)は、ペペロンチーノ1品目(11.5%)とほぼ同じ。

④ Cグループは、A・Bグループに比べて提供に時間がかかるメニューばかり。

Cグループの扱い

ここで重要なのは、Cグループの扱いです。

まず、Cグループそれぞれのメニューの売上が低い理由を考える必要があります。味なのか、価格設定なのか、注文から料理が出てくるまでの時間が長いからなのか分析します。

もし、心当たりがあれば、まずはその部分を修正します。その後ようすを見て、売上に改善が見られないようであれば、思い切ってメニューから外すことを検討しましょう。

Bグループの扱い

次にBグループです。

このグループには、Aグループになる可能性のあるメニューが含まれていると考えて下さい。この場合、Aグループにある特徴がBグループに見いだせないか考えるのです。

Aグループの共通点は、オーソドックスな定番メニューです。Bグループではカルボナーラがやはり定番メニューです。同じ定番なのに、カルボナーラに何が足りないか考えることが重要です。そこが分かり、改善できれば、カルボナーラは十分Aグループになりえます。

CグループからAグループになる可能性は?

同様に、CグループからもAグループの特徴のあるメニューを探してみましょう。

今回で言えば、「7.冷製パスタ」に可能性があります。ポモドーロ、ボンゴレ、ペペロンチーノといった定番を冷製パスタに仕立て、麺の太さを変えてひと工夫するもよし、夏場など季節限定メニューとして出すのもよいアイデアだと思います。

飲食店に来られるお客様が、そのお店に期待していることの反映がAグループだと考えたとき、Aグループの良さを下位グループにも反映できればきっと人気が出るという考え方です。

飲食店 繁盛店は知っている 儲かる メニュー の考え方

abc分析は指標をかえて行う

飲食店では、abc分析を売上の構成比だけで行うのは少々危険です。

なぜなら、「売上が高い=利益が出ている」とは限らないからです。

3.1の分析では、原価率が反映されていません。3.1の場合で、仮にAグループの原価率が60%、Bグループの原価率が30%、Cグループの原価率が20%だとすると、Aグループが出す利益は全体の53%まで低下します。

また、看板メニューと呼ばれるものの中には、原価率をわざと高くし、お客様の呼び水として位置づけているのもがあります。そのようなメニューは全体の分析から外して検討するべきでしょう。

このような理由から、売上だけではなく、単体の利益に注文された数を掛け合わせた数字での比較や、価格設定を加味せず何皿出たかでabc分析をすることでも、違った事実が浮かびあがります。

売上に現れないキーメニューを知る

もう1つ、abc分析の盲点があります。それはロングテール理論です。

「ロングテール」とは、細く長く売れるメニューを指します。3.1のパスタ店で言えば、食後に出されるデザートのケーキや、本格的なコーヒーなどが「ロングテール」である可能性があります。
分析の中で、デザートについて、売上も低いし手間もかかるからやめてしまおうと決めたとします。しかし、お客様の多くがパスタを評価するのと同様に、このデザートを楽しみにしていたとしたらどうなるでしょう。じわじわとお客様が減り、気がつくころにはリピート客をすべて失いかねません。

ここの判断は十分に気を付ける必要があります。

そもそも、abc分析を行うためには、それぞれのメニューの売上を継続して記録する必要があります。

オーダーを紙でとっている場合、なかなか集計は面倒な作業です。ファミリーレストランで使っているような、無線式でオーダーをとる機械があれば自動集計してくれるので大変便利ですが、システム導入に相当な費用がかかり、小型の飲食店舗には不向きです。ただ、最近はアプリをダウンロードすることでスマホやタブレットを利用して自動集計ができるようになってきています。

もし、このabc分析に興味をお持ちになったのであれば、それらを利用してすぐに集計を始められることをおすすめします。

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