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飲食店 独立・開業に必要なのは、資格1申請1届出2
飲食店を開業する場合、最低限以下の4点が必要です。
- 食品衛生責任者(資格)
- 食品営業許可申請(申請)
- 防火管理者選任届(届出)
- 防火対象設備使用開始届(届出)
「資格1申請1届出2」と覚えましょう。
次に申請、届出のタイミングを順番に確認します。
飲食店開業に必要な資格 : 食品衛生責任者(資格)
飲食店の開業に必要な資格は国家資格の調理師免許ではなく「食品衛生責任者」なのです。
食品衛生法施行条例には下記の規定があります。
営業者は、許可施設ごとに自ら食品衛生に関する責任者となるか、又は当該施設における従事者のうちから食品衛生責任者1名を定めて置かなければならない。
つまり、お店に一人食品衛生責任者を置きなさいとだけ書かれています。逆に言えばその届け出が適法になされていれば、飲食店は食品衛生責任者が不在でもアルバイトばかりでも営業出来るということです。
さて、この資格はどのようにすれば取れるのでしょうか。
「食品衛生責任者」になるには
東京都の場合
(渋谷区神宮2-6-1 TEL:03-3405-0770)
の主催する講習会を1日(9:30~4:30)受講しなければなりません。
講習には費用が12,000円(税込)かかります。
受験資格は、17才以上(但し高校生は不可)であれば受けられます。
外国籍の方でも在留カード、外国人登録書があれば受講可能です。
蛇足ながら、前出の調理師免許を持っている人はこの講習が免除となります。
この講習会、東京都では週に2~3回、8~10の会場で開かれておりますので最寄りの会場を予め予約して参加することになります。
所定の書式に記入し郵送で予約するか直接神宮の本部まで行く必要があります。ですから、思い立って直ぐに参加とはいきませんので、余裕を見て申し込んでください。
コロナウイルスの感染予防対策で、eラーニング型養成講習会が始まりパソコン、タブレット、スマートフォンでもリモートで講習が受けられるようになっています。料金は変わらず、30日間で6時間の講習を受ける必要がありますが、便利になりました。
さて、この講習が終了すると食品衛生責任者手帳(養成講習会受講修了証)が交付されます。これでやっと営業許可の申請が可能となります。
飲食店開業に必要な届出 : 食品営業許可申請
飲食店を新規に開業する場合の営業許可申請書は、WEBから入手することが出来ますが、内容を見て書き方がわからないことも多いようです。できれば、先に下書きしたものを持って、開業予定の店舗があるエリアを管轄している保健所に行きましょう。
各保健所で、書き方など諸注意が書かれた紙が用意されていることもあります。事前に訪ねてみるのもよいでしょう。
ここで注意しなければいけないのが申請を行うタイミングです。
必ず、「厨房や内装工事の前」に申請を行ってください。なぜならレイアウト次第では指導が入る可能性があるからです。もし内装も厨房も全て出来上がってから指導が入るとせっかく造った内装を壊すことになりますので工事前に申請をお願いします。
提出書類
- 営業許可申請書
- 営業許可の大要
- 配置図
- 食品衛生責任者手帳
を提出し、保健所の立ち入り検査が終了すれば晴れて許可が下ります。
但し、「店舗完成の10日ほど前まで」となっています。「営業開始の10日前」ではないので気を付けてください。
兼任は出来ない
食品衛生責任者は常勤でなければならない為、複数店舗の兼任は出来ないようになっています。転勤や担当エリア替え、独立の際に以前に登録したままになっていて指摘を受けるケースがありますので事前に確認と変更手続きが必要です。
「配置図」はどの程度のものが必要か
配置図、レイアウト図と聞いて、すぐに図面をプロにお願いしなければと慌てる方がいらっしゃいますが、私の見てきた方々はフリーハンドとまでは言いませんが、定規であまり縦横の縮尺も気にせず書いた図面で許可をもらっているケースが結構ありました。
居抜き店舗の場合、店内に飾ってある営業許可書の裏に図面が入っていたりするものです。
保健所は、実際にお店に立ち入りをして判断しますのであまり図面にはこだわってないということなのでしょう。
立ち入り検査時の指導とは
大きく3つの視点で見ているようです。
- 客席と厨房の縁が明確に切れているか
- 厨房の天井が張られていて且つ白やグレーで塗られているか
- L5などの手洗い設備がついているか
1.ではウエスタン扉の様なあおり扉が必ず必要となります。
2.の厨房の天井などは結構頻繁に指摘を受ける箇所です。
3.のL5などは銀座の様なソシアルクラブだとついているだけでOK(極端な例で、給水管も排水管も接続しないというところもありました。)
あと、1槽シンクがついている場合、ソープディスペンサーなどを取り付けるよう必ず指導されます。ただ強制ではないようですが。
経験豊かな工務店に相談すれば指摘を受けるポイントは明確になることでしょう。
万能ではない飲食店営業許可
この許可で出店できる業態は、
飲食店・お弁当販売・総菜販売・宅配ピザ・宅配寿司店等
人気のパティシエを目指して菓子店を始めるのなら「菓子製造許可」が必要です。実はパン屋さんも同じ許可が必要となります。
また、午前零時以降にお酒を出す飲食店を出すのなら、「深夜酒類提供飲食店営業届」を所轄の「警察署」に提出する必要があります。
こちらは、「営業開始の10日前まで」に出せばよいのですが、保健所への営業許可申請と違い、平面図にプラスして求積図(面積を算出する根拠となる図面)や照明・音響設備図に申請者の住民票まで必要になります。
個人で乗り切るのは大変だと思いますが、所轄の警察によく確認をしながら進めていけば大丈夫です。
但し、ラーメンやレストランなどお酒を提供することを目的にしていない飲食店については免除されています。
飲食店開業に必要な届出 : 防火管理者選任届と防火対象設備使用開始届
防火管理者選任届
人が集まる場所で「火」を使う場合、避けて通れないのが消防法です。ここで確認したい重要なポイントが一つあります。それは、お店の収容人数が30人以上か30人未満かで法律が分かれる部分です。
この30人という数字のカウントの仕方ですが、店舗内の席数に従業員数さらにアルバイトの数を加えて算出されます。席数が23席で従業員が2人、毎日来るアルバイトが2人で計27人と計算する訳ですが、そうはならないケースがあります。もし、日替わりで雇っているアルバイトの数が総勢で5人となれば総勢で30人というカウントになります。お気を付けください。
さて、30人を境に何が変わるのか見てみましょう。
お店の収容人数
30人未満・・・防火管理者の必要はなし
30人以上・・・防火管理者が必要
但し、
店舗の延べ床面積
300㎡未満・・・乙種防火管理者の届け出が必要
300㎡以上・・・甲種防火管理者の届け出が必要
この防火管理者の選任届は所轄の消防署に「営業開始日」までに届ける必要があります。
「防火管理者」になるには
開店するお店を管轄する消防署で防火管理者講習を受ける必要があります。予め電話で予約をして講習をするのですが、甲種防火管理者でまる2日、乙種防火管理者でまる1日の日程となります。
受講にはテキスト代として5,500円前後の費用がかかります。最後に簡単なテストもありますのでシッカリ受講しないと資格をくれません。
この講習を受けた後、「防火管理者選任届」と「防火管理者資格」を出せば完了です。
防火対象設備使用開始届
居抜き店舗であっても「防火対象設備使用開始届」を所轄の消防署に出す必要があります。
以前から居抜き店舗を扱う不動産会社さんは、必要ないと言うかもしれませんが、度重なる火災により尊い人命が奪われ平成15年以降厳しくなっております。
東京消防庁のホームページを見ますと、工事を行わなくても届け出が必要と書いてあります。届出の時期も「使用開始7日前まで」となっていますので、工事をなさるのであれば内装業者が届けるのかご自身で届けるのか確認が必要です。
なにも手を入れずに居抜きで開業される場合であっても、防火管理者の届出と同時期に所轄の消防署への届け出を済ませられることをお薦めします。