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冷夏でも売れる飲食店メニューの工夫
7月には酷暑を覚悟した関東は、台風一過を期に一転冷夏の様相を呈しています。お盆の週は1週間もぐずついた天気が続き気温も25℃前後の予想が出ています。かきいれどきのプールや海の家では早くも悲鳴が上がりこの夏の先行きに不安を抱いているようです。
さて、週の後半からはお盆休みが明け、通常に戻りますが今までのような真夏仕様の飲食店でいいのでしょうか。タダでさえお盆にお金を使いサイフの紐が固くなる8月、この冷夏では仕事が終わっても冷えたビールを一杯という気にならないと予想できます。
今回は、久しぶりに訪れた冷夏を乗り切るメニューについて入店から退店までの時間と共に考えて見たいと思います。一つでもこれはというヒントになれば幸いです。
空調の温度管理
真夏によく空調の効いたお店はありがたいものです。でも今まで通りの温度管理でお店はいいのでしょうか。ポイントがいくつかあります。
外気温度マイナス5℃
空調の基本設定は外気マイナス5℃というのが一般的な考え方です。これは、お店に入った瞬間涼しいと人が感じる温度差と言われています。ですから外気が35℃あるような日は空調の設定温度は30℃でも十分涼しいと思えるのです。ここを店内で働いている方の体感温度(動いている分体温が高くなりやすい)に合わせてしまうとお客さんにとってはちょっと効きすぎる温度になってしまいます。
ノースリーブのお客様
次に冷夏で気を付けたいのが服装による温度設定です。男性は半袖、女性がノースリーブ(肩が露出している袖なし服)のお客様が多い日に上記のような設定をしてしまうと明らかに寒く感じるといいます。そもそも外気が25℃を下回っているのにそこからマイナス5℃はやり過ぎです。また、お店の作りによって空調の効き具合は異なりますのでここの解決策は、入店から30分程たったお客様に温度設定について快適かどうか伺ってみるのが一番正確でしょう。特に女性は敏感です。真夏でもひざ掛けを用意するホスピタリティーは持ち合わせていたいのもです。
ドライ設定の効果的な使用法
冷夏にはドライが快適です。冷夏であっても変わらないのが高い湿度です。実は体感温度を上げている張本人がこの湿度なのです。つまり、湿度を取り除けばあまり温度を下げなくても快適に過ごせるのです。その方が飲み物のオーダーが増えるというものです。ここで気をつけたいのが空調機の機能により異なるドライ設定があるこということです。除湿をするということは空調機内で室内の温度を一旦冷却して湿度を取り除きます。この後、温度が下がったまま噴き出す空調機と噴き出す前に元の温度に加熱してから噴き出す空調機と2つの種類があるのですが、後者の場合ですと室温があまり下がらないのでクーラーの方が快適だと思います。
温かいお通し
冷夏には温かいお通しで冷えた体をいたわる心遣いが喜ばれます。例えばスープのようなものや、温野菜のような優しい味付けなどが、暑い日のビネガーやお酢が効いたものより冷夏には打ってつけです。
ビールで一工夫
海外に行くとビールの考え方に違いがあることに気が付きます。言ってみれば、日本の常識世界の非常識という部分がビールなのです。簡単に説明します。日本の大手ビール会社は全て下面発酵方式をとっていて冷やして飲む比較的日持ちのしないビールが主流ですが、海外では上面発酵方式と言って常温に近い温度で発酵させ日持ちのするエールというビールが主流です。飲み方にも大きな違いがあります。下面発酵のビールは冷やして一気にゴクゴクと飲むのに対し、上面発酵のビールは一口づつ味わって飲むのが一般的です。最近クラフトビールブームでこの上面発酵のビールが増え始めています。また、ホップの香り豊かなフレーバービールとも呼ばれビール離れが囁かれる中女性に人気です。つまり、冷夏には必要以上に冷やしたビールよりもちょっと冷やした香り豊かなビールの提案が旬ということです。
温かいタオル製オシボリを見直す
最近タオル製のオシボリを出す飲食店が少なくなりました。すべてコストが原因です。ビニールに入っているウエットティッシュだったりなにも出さなかったりお店の考え方の違いが出ます。夏の昼間は良く冷えたオシボリで顔や首筋を拭いて生き返ると感じる瞬間があるものですが、冷夏の夜はそうはなりません。ここは敢えて温かいおしぼりを出す方が熱を発散した後の冷えた体に気持ちいいものです。
冷夏仕様のメニューを考える
半袖やノースリーブで過ごすオフィスは意外と体が冷えるものです。それが証拠に、夏場のコンビニではおでんが人気商品です。ストレートに冷えた体に心地いいからです。このあたりが大きなヒントです。
お粥・雑炊
夏は冷たい飲み物に空調と外気の温度差で自律神経が機能しなくなり胃腸の不具合を訴える方が増えます。空調で冷えたからだと胃腸をいたわってくれるのはお粥か雑炊しかありません。実際にこの二つを食べたいと思ってもなかなか食べさせるお店が少ないことに気が付きます。シンプルなだけに和であれば少々値の張る梅干しや鰹節を合わせたり、中華であれば食べられるラー油、洋であればリゾットやボルシチやポトフにご飯を入れた様なトマトベースの雑炊などランチには最適です。
鍋
夜にはお一人サイズの鍋をラインナップに加えてみませんか。個食が進む中、1人分のリキッドや固形のスープの素が手軽に手に入る時代となり、以前に比べ手間がかからなくなっています。冷えた体とビールによく合うメニューです。ポイントは一人分からオーダー可能ということと、鍋の好みがわかれても対応が可能というところが若い女性などにうける部分です。
温かいお茶
コースで飲食店を利用する際、デザートの後に温かいお茶を出してくれる飲食店があります。最後に温かいお茶でホッコリ出来るのはお店のホスピタリティーを感じる部分です。和や中の飲食店は勿論、洋のお店でも喜んで頂けるサービスだと思います。温かい飲み物で始まり温かい飲み物で〆るまさに冷夏仕様のサービスです。
冷夏のメニューの考え方は、暑い夏と違い体に熱がこもっていないのに露出の多い服装や空調で逆に冷えてしまった身体をいたわることにポイントをおくべきです。また、夏場に人気の汗をかかせる香辛料の効いた料理は、疲れた胃腸を更に酷使することとなります。つまり、温める、癒すということが冷夏のメニュー作りのキーワードだと言えるでしょう。