あまりにもやることが多い飲食店の開店準備。オープンまで日々忙殺されるといいます。やっとの思いで迎えたオープン日。今度は人手がないとオーダーをさばききれないことに気付くそうです。
そこで急いでアルバイトを募集するのですがコロナ以降すぐには見つかりません。当然です。以前のように、「アルバイト急募!委細面談」の張り紙を店先に貼っても今の時代なかなかアルバイトさんは来てくれません。
次に考えるのがアルバイト求人雑誌への募集広告です。こちらは前払いのところもあれば、成功報酬型のところもあります。やっとの思いで来てくれたアルバイトが今度は3日で辞めると言い出したなど苦労話にいとまがありません。
ウイズコロナに突入した今、アルバイトさん達がお店側に対して抱いている思いをひも解きながらアルバイトが定着してくれる対策を考えて見たいと思います。
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うれしい誤算
こんなハズじゃなかった。
開店前から客席の回転数やら看板商品の出る数などさんざんシミュレーションをしてオープンにのぞまれたことだと思います。いざ蓋を開けてみると、ランチ時の1時間は予想以上に大変でお客様を待たせてしまい評判を落とす一歩手前だっただかと思えば、夜はオーダーをさばくことばかりに気を取られて、下膳や食器洗いまで手が回らないことで厨房の動きがとれなくなっただなどオープン時の苦労話としてよく伺う内容です。
当初の想定を超えるお客さんが来て下さったことによるうれしい誤算ではありますが、連日となると体がもたなくなります。結果体調を崩される方も数多くいらっしゃいます。こうなると本末転倒です。そうならない為に事前にアルバイトの募集は手を打っておきたいものです。
アルバイトの本音
マニュアルがないと何も出来ないと揶揄されるマニュアル世代とは今でいうZ世代。大学生などはまさにど真ん中です。
さて、その世代をどのように雇用して行くのかここが定着か否かの分かれ道となります。そんな現役アルバイトの声を拾ってみると以下のようです。
- 大手チェーン店のアルバイトで、研修センターで指導を受けた
- チェーン店の分厚いマニュアルがあって読んできてとだけ言われた
- マニュアルは一切なく口頭によるその都度指導だった
- 一通り説明を受けたら後は自分で考えてやってと言われた
- メニューを渡されて全て覚えるようにと言われたがそれ以外は何も教わらなかった
これらの声は、アルバイトを始めた際に彼らが感じた率直な感想をまとめたものです。
どうやらアルバイト先の規模によって差があるようです。アルバイトを大量に必要とする牛丼、ハンバーガー、居酒屋、ファミリーレストランチェーンなどは彼らの入れ替わりが激しく短期間に戦力に仕立てなければならない為、日々マニュアル作りに力を入れているようです。逆に言えばマニュアルあってこそのチェーン店舗展開なのです。
単体で経営をしているお店等はどうでしょうか。なかなかマニュアルを作るところまで手が回らないと思います。教えるといっても、お店の開店準備などあまり時間がとれないと言うのが現実でしょう。いきおい最低限の説明だけでスタートしがちです。労使ともに不慣れな中で、もし厨房の忙しさに紛れてつい「心無い一言」を駆け出しのアルバイト君に投げかけたとすればどうなるでしょう。すぐに心が折れて翌日から来てくれなくなる、それがZ世代です。
アルバイトの為に何を用意すべきか
いらっしゃいませの挨拶もさることながら、即戦力としてホールを受け持ってもらうにはメニューをまず覚えてもらう必要があります。お客様が発するオーダーの名前はもちろんのことそれがどのよう料理なのか、姿、形が分からなければ、出来上がった料理を客席に届けることすら出来ません。さらに、お客様から料理について質問を受けることが必ずあります。その都度厨房に聞いてきますと言っていられません。少なくとも大まかに理解しておく必要があります。
1.写真付きメニュー+簡単な料理解説
まずこれを作りましょう。できれば携帯出来るサイズが望ましいのですが。
これがあれば、「今日のおススメ」だけを日々開店前に確認すれば十分となります。
気が付かない、自分から動かないとアルバイトに対しフラストレーションを溜める方をお見受けします。実は彼らからするとやるべきことを説明されてないだけで、順序とコンビネーションを教えれば見違えるように働いてくれます。
2.業務フロー(オペレーション)をつくる
簡単に言えば、お客様が来店されてからお帰りになるまでにアルバイトがやらなければいけない仕事を書き出し、場面ごとにすべきことを決めておく指示書の事です。
例えば、来店時
・人数を聞く、禁煙・喫煙の別を聞く
↓
・お水、おしぼり、メニューを持って席に行き「今日のおススメ」を説明する
↓
・一度席を離れ、再度テーブルに行きオーダーをとる。その際必ず復唱する
↓
・(夏場、冷房が良く効いて場合)女性には、ひざ掛けの用意があると伝える
お客様がお店に入ってこられた場合を想定しただけでもいくつものポイントが出てきます。
ランチ時であれば、入り口でお待ち頂くこともあるでしょう。大きなテーブルでご相席をお願いすることもあるでしょう。いろいろなケースを想定してマニュアルを造り込めば、あとはそのシチュエーションごとのロールプレイング、つまり実際にオーナーがお客様役となって予行演習をすればよいのです。
同様に、配膳の方法、下膳の方法、途中追加オーダーを伺う方法、レジで清算をする方法などの業務フローを作成します。今回の様にアルバイトの仕事を分類してみれば教えるべきことは意外と少ないと言うことに気づかれると思います。
労使ともにフィードバックを行う
ご自身の経験をベースに作られる業務フローは必ずしも完ぺきとはいいがたいものです。実際それに沿った業務では疑問や働きづらさを感じるアルバイトもいるはずです。同様に、使う側からすると、なぜ簡単なことが出来ないのかと思うことでしょう。
実は、業務終了後や次回の業務開始前にフィードバック、つまりお互いに感じたことを話し合う時間が実は重要なのです。これにより、業務は改善されお互いがフラストレーションを貯めることなく仕事を続けることが出来ます。
とは言え、そんな時間は取れないと仰るなら、ノートを一冊用意して、アルバイトがその日感じたことや改善点を書かせることを習慣付ければ、お店のオーナーはそれに対しコメントをしてあげればよいのです。
~まとめ~
アルバイトを早々に辞める人達の多くは、仕事のハードさよりも「人間関係やコミュニケーションの取りづらさ」をあげます。あまりアルバイトだと意識せず、1人の人間として接してあげてください。何よりも事あるごとに声を掛けてあげる習慣がやっと見つかったアルバイトさんに長く働いてもらう秘訣なのです。くれぐれもお忘れなく。