飲食店 「お通し」で繁盛する店しない店の違い

飲食店 「お通し」で繁盛する店しない店の違い

名古屋圏で暮らした経験のある方ですとお分かり頂けることに、コーヒーを頼むとついてくるピーナッツがあります。アイスコーヒー(あちらではレーコーといいますが)を頼んだ場合でもついてきます。この不思議な風習は何でしょうか。名古屋が地元の新聞社によると、あるピーナッツ会社が製造手法の進歩から生産量が飛躍的に増したため、当時増え始めた喫茶店に売り込みをかけたそうです。他店との差別化を図りたい各店はこぞって採用し、あっという間に広まったサービスだということです。ではなぜ現在まで続いているのかというと、どのお店もコーヒーにピーナッツをつけている以上止められなくなっているというのが現状だそうです。

さて、同じような状況が居酒屋でもあります。お通しです。ただこちらは名古屋圏のピーナッツが無料なのと違い有料です。それも最初にお客さんの同意を得ることなくです。それはさておき、ピーナッツと違い各居酒屋の特徴が出せるこのお通し。繁盛店として差別化が出来る一品となっているのか考えて見たいと思います。

ここが違う!繁盛している飲食店 成功のコツ

そもそものお通しとは

冒頭のピーナッツは発祥がハッキリしていますが、お通しは諸説あります。まず有力なのがお客様が来店されて席までお通ししたという完了の印に出したものという、来店客をほったらかしにしない目印説と今ほど品数が豊富でなかった時代にその日作った煮物の味付けをお客様に確認頂く試供品だった説、来店頂いたお客様に感謝の気持ちを込めて出した一品というおもてなし説といろいろとありますが、今となっては定かではありません。

さて日本独自の文化であるお通し、繁盛店はどのように取り組んでいるのでしょうか。

お通しの種類

多分お店の数だけあろうかと思えるお通しの種類ですが敢えて大きく分けてその傾向を見てみたいと思います。

大きく2つに分けるとすれば、冷と温に分かれます。そもそも小鉢で供されることが多いお通しは、通常の料理と違い作り置きをして出すものがほとんどです。当然造ってから時間が経つことを考えると料理がわるくならない調理法を考えます。それ故お浸し、煮凝り、あえ物など一旦火を通した食材に味付けを施し料理が供されるまで冷蔵庫で保管というのがほとんどです。同様に酢をあしあしらったり浅漬けの様に塩による保存対策が一般的です。

一方温かいお通しを出すところは、蕪や大根などを出し汁で煮込んだ後冷蔵はせず常温で冷まし、あたたかなあんかけで提供するなど保存と味付けにひと手間をかけています。料理に時間をかけられない中でひと手間を工夫することが、間接的なおもてなしとなります。

儲ける工夫 飲食店メニュー 正しい「原価率」の考え方

毎日のお通しはどうしてる

ご自身のレパートリーからその日仕入れた食材で毎日のお通しを考える方がおられます。多分本来あるべき姿だろうと思いますが、人手が少なくメインの仕込みを考えるとお通しにあまり手間をかけられないというのが本音ではないでしょうか。いろいろと伺ってみますと、いくつかのレパートリーがあってローテーションをしているという方が大半でした。多い方で10種類程度でしたが季節ごとに5、6種類という回答がほとんどでした。次にそのお通しをどのように固定化したか伺ってみました。

1.原価管理

ほとんどのお店がお通しに原価をかけたくないので原価率が低くて美味しいものを提供したいとの回答です。なかには、消費期限が近い高級食材をお通しに使うことで一石二鳥の効果を狙うという方もおられました。確かに高級食材を惜しげもなくお通しで出されればお客様は最初の一口目で心を掴まれてしまいます。なんとも上手い方法です。

2.作り易さ

主力料理の仕込みの間に、お通しの仕込みを誰かに任せることが出来るようレシピをシッカリ作っているところが多いようです。ちゃんと分量、温度管理を行えばお店の味を守ることが出来ます。こちらもお店の知恵がうかがえます。

繁盛店のお通し事情を聴きました

まず、繁盛している飲食店は例外なくお通しが美味しいという回答が帰ってきます。発想としてお通しが必用だから用意するというのではなく、最初にお出しする料理で勝負をするつもりで取り組んでいるようです。それは、これから主力料理として育てて行く一品を試す機会として捉えていたり、創作料理でアイデアを試す場だったりとマーケティングと遊び心が入り混じったものになっています。

そういえば、フレンチで最初に出される一皿をアミューズといいます。ズバリお楽しみという意味です。おもてなしの精神という意味では非常に似た文化のようですが、どうやら日本食の「先附」に影響を受けたところから端を発しているようです。だからこそ、本家日本のお通しにもこの精神が必用だと強く感じます。

フランス料理にも影響を与えた日本のお通し。キーワードはおもてなし、楽しみなどこれから始まる宴席をより楽しい時間へ誘う仕掛けのようです。その仕掛けが思いもかけず美味しい料理だったり綺麗な盛り付けだったりするだけで最初に出される、最初に口にする料理だけに印象が強くその飲食店の良し悪しを決定つける力があるのかもしれません。これは認識を新たにする必要がありそうです。

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