飲食店舗として不動産を借りようと検討した際に、想定しているガス器具に対して引き込まれているガスの容量が足りないと思われる場合があります。そのような時にはWEBで調べるという方法があるのですが、ガスメーターは10号は絶対必要などといろんなWEBサイトにアドバイスが出ています。本当でしょうか。
これまで、いくつもガス容量不足の現場を見てきました。
結論から言えば、飲食店を開業する際、客席数や提供料理も考えないうちにガスメーターの号数だけで過不足の判断するのは早計だということです。
例えば、3号メーターが設置されている飲食店舗であれば、一般的に小料理店やスナック程度しか出来ないと言われております。
また、6号メーターが設置されている飲食店舗であれば、小規模の居酒屋かイタリアンまでなら開業可能といわれています。
もし、中華や焼肉、席数が多い居酒屋などを計画されているならガス容量アップの為に工事代が高くつきそうだからとあきらめてしまうかもしれません。
既に、本サイト内の「飲食店舗物件の ガス容量不足 だった時に考えること」でその概要を書いておりますが、本編はその続編。実際に足りなくなった時の解決法を考えてみたいと思います。
Contents
飲食店の経営で物理的にガス容量が足りなくなったら
「飲食店舗物件の ガス容量不足 だった時に考えること」では、ガスに代わる電気製品を中心にお話をいたしました。
街の飲食店で声を聴きますと、ラーメン店やそば屋さんなどは大量にお湯を使用します。また、おつゆやスープの煮込みを長時間するなど業種によっては、やはりガス容量を望む声が多数あります。
今回は都市ガスの容量アップ工事ではなく、プロパンガスを併用して不足分を補うことを考えます。
①プロパンガスが都市ガスより高く感じる理由
プロパンガス業者の設定している料金というのは、業界団体や国の価格統制などの影響を受けてこなかった為に非常にバラつきがあります。
もっと言えば、好き勝手に値段設定していると言っても過言ではありません。
少し調べてみても基本料金は月額「1,800円」のところもあれば、「0円」という会社も存在します。1㎥の単価も「@500円以上」というところもあれば「@300円」というところもあります。
もし、携帯電話やガソリンスタンドで同じようなことが起こっていたなら世間は大混乱をきたすことでしょう。
実はプロパンガス料金の不透明さが利用者から高いと思われている一番の理由なのです。
②プロパンガスが都市ガスより高く感じる理由
さらにこの不透明さに拍車をかけているのが、プロパンガスを居室内に引き込む設備工事費の負担にあります。
都市ガスでは敷地境界線を境に工事の負担区分が明確に分かれていますが、プロパンガス業者はその工事代を無償と称して、工事を行い基本料金や使用したプロパンガスの従量金額に上乗せをするのが一般的です。
この上乗せ分は工事費が回収された後も延々と続き、プロパン業者の美味しい収入源となっています。さらには、基本料金や従量料金の高さから別のプロパン業者に乗り換えようとした際に法外な違約金を請求される根拠とされ、裁判にまで至る事例も数多くあります。このようなトラブルが残念なことにプロパンは高いという印象を強くしているのです。
プロパンガスの基礎を知ったうえで、飲食店でのプロパンガス利用法を考えることにします。
飲食店開業でプロパンガスをうまく利用するには
次に都市ガスとの違いを見てみましょう。
都市ガス1㎥の単価とプロパンガス1㎥の単価を単純に比較するのはちょっと乱暴です。なぜなら1㎥の熱量=カロリーが異なるからです。
分かりやすく言えば、1リットルの水を沸かすのに要する時間が異なりますので、使用する立米も異なるのです。
(1)従量単価の比較(1㎥)
都市ガス13A@125.92円 VS. プロパンガス@350円
2.7倍もの価格差があります
(2)熱量の比較(1㎥)
都市ガス45MJ VS. プロパンガス100MJ ( MJ=メガジュール )
プロパンガスの方が同じ体積でも2.2倍の熱量を持っています。
(1)と(2)を調整すると下記の通りです。
都市ガス125.92円×2.2倍=277.02円
仮にプロパンガス @350円 だとすると1.26倍です。
@300円まで価格を下げると1.08倍となりほぼ同水準になります。
価格交渉次第で都市ガスとプロパンガスは同じ金額で考えられます。
(3)プロパンガス利用で気をつけるポイント
ここで気を付けるポイントは、
契約当初は、従量単価を安く設定し、後で値上げをしてくる業者がいるという事実です。
値上げに際して合理的な理由を示すよう契約時に確認をしておく必要があるでしょう。
プロパンガスボンベの設置について
プロパンガスボンベの設置場所について、敷地一杯に建物が建っている都心の飲食店物件では悩ましい問題です。越境をしての設置は問題外として詳しく設置場所について見てみましょう。
「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則」の第18条にプロパンガスボンベの設置場所について定めがあります。
イ.充てん容器等(内容積が二十リットル以上のものに限る。以下イにおいて同じ。)には、当該容器を置く位置から二メートル以内にある火気をさえぎる措置を講 じ、かつ、屋外に置くこと。ただし、屋外に置くことが著しく困難な場合(告示で定める場合に限る。)において、充てん容器等及びこれらの附属品から漏えいした液化石油ガスが屋内に滞留しないような措置を講じ、かつ、漏えいした液化石油ガスが火気に触れないような措置を講じたときは、屋内に置くことができる。
要約すると次の通りです。
- 火気からは2メートを越える距離を置く
- 火気から2メートル以内は隔絶壁で仕切る
- 基本は屋外に置く
- 例外的に屋内にも置ける
設置場所について以前このようなことがありました。消防署の許可を得て10階の屋外ベランダにプロパンガスボンベを設置したことがあります。また、壁の一部に穴をあけ部屋内をブロックで囲い、外からプロパンガスボンベを設置する方法をとったこともあります。
意外と諦めていた場所でもおける可能性があります。あきらめる前に所轄の消防署に相談してみましょう。
~まとめ~飲食店のガス容量不足はプロパンガスとの併用で解決
最近は、プロパン業界の足並みがそろわないことをいいことに、思い切った値引きをする業者が登場しています。
もっとも後から値上げが待っているかもしれませんが。
また、消費者センターと称する団体がプロパン業者の紹介や価格保証等をうたっています。
いろんな声に惑わされずに、ご自身が飲食店舗を開業するエリアでデリバリーを行う業者に見積もりを取り、ご自身で、これまであげたポイントについて確認されることが一番だと思います。
納得のゆくまで交渉なさってください。必ずガス容量不足は良い形で解決になることでしょう。