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2017年4月 飲食店舗 ガス自由化 を考える

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2017年4月  飲食店舗 ガス自由化 を考える

2016年4月から電力小売全面自由化となります。

経済産業省が2015年8月から受付を開始した一般家庭に電気を売ることが出来る小売電気事業者は、2016年2月時点で169社、一般電気事業者つまり俗にいう電力会社以外の電力供給者である特定規模電気事業者が802社となっています。

さて、電力自由化に遅れること1年。ガスも小売自由化されることが決定しています。これまで地域独占であった都市ガスに市場競争の原理が持ち込まれようとしています。

電気が自由化になる際、電力会社が全国で10社しかなかったのに比べ、一般ガス事業者は全国に200社以上あります。この一般ガス事業者とは、ガスの製造(造る)、導管(送る)、小売(売る)をトータルで行っている会社のことですが、今回の自由化とは3つの分野それぞれに、これから参入してくる新規の事業者と既存のガス事業者が同じ条件で競争して行くことを意味しています。

都市ガスの今

そもそも都市ガスの金額はどのように決まっているのでしょうか?

「総括原価方式」と言って、LNGなどの天然ガスの原価に熱調と呼ばれるカロリーコントロール費、その他導管維持にかかるコスト、設備の減価償却費などのすべてのコストにガス会社の利益を乗せた金額を、経済産業省が認可をして決まっています。

庶民の感覚だと、為替相場の下落や景気の後退局面ではすぐに値上げをする割に、円高、好景気の局面での値下げは非常に慎重な姿勢に思えてなりません。

さて、全国で都市ガスの恩恵に浴している割合つまり普及率はというと、なんと「54%」にすぎません。電気がほぼ100%であるのに対し、導管網はそもそも半分の家庭にしか届いてないのです。

では残りはどうしているのか?もちろんプロパンガスです。だったら何も自由化を急ぐ必要はないのではないかと思うのが常識的な感覚です。ここには深い大人の事情が隠されているのです。

飲食店舗のガス機器から見た ガス容量 の検証

 ガス自由化 で先行する海外から見えてくるもの

1980年代英国は、国営ガス会社の民営化を行い、併せてガスの小売自由化も進めてきました。2002年以降価格規制の撤廃が行われ現在では、ガス小売販売事業者の50%以上が新規参入企業となっているとのことです。

また、この新規参入業者の顔ぶれで面白い傾向があるようです。もともと地域に基盤を持っている電気事業者、日本でいう全国にある電力会社10社の様な会社が勢力をもっているようです。たぶん日本でも同じことが起こると予想されます。

考えてみて下さい。全国を10社でカバーしている電力会社と全国の50%のみを200社でカバーしているガス会社が競争したらどうなると思いますか?明らかにガス会社が不利です。イギリスの例を見るまでもなく価格面での体力も断然電力会社が勝っています。

更に電力会社が有利な理由が存在します。彼らは火力発電所を所有し、日々電気を作り続けています。その燃料となるのが一部天然ガスなのです。従って彼らはガスの備蓄設備を自前で持っていることになります。これを導管業として都市部へ接続したならばたちまちガス会社に早変わりです。

このように、遅かれ早かれ200社は淘汰の波をまともに受け、合従連衡へと進まざるを得ません。

本来電気の自由化だけでも良かったはずですが、自分たちの売上をガス会社がセット料金で奪ってゆくことに我慢が出来ない電力各社が、電気もガスも監督する経済産業省を動かしたのではないかと推測できます。

ガス会社の生き残り

都市近郊では普及率の向上がポイントになりそうです。まだまだ全国に50%近い都市ガス難民が存在するのですから、彼らをうまく取り込みながら、価格の下落分を数で補ってゆくしか手はないと思います。

また、現時点で一般ガス事業者が200社を超えていますので、各社でアライアンスを組んで大手電力会社に対抗するのは一つの解決策です。

大きな課題が一つあります。各ガス会社間の導管が分断(電気の様に繋がっていない)されており、電気の自由化のように自由化即融通とはいきません。これを会社間でうまくつなぎ合わせ、シナジーが出るようにすれば競争力は出ます。逆の言い方をすると、地方には新規参入してくる事業者が現われない可能性もあります。要はコスト見合いで参入するエリアの戸数によっては、採算が合わないからです。過疎、限界集落と呼ばれる地域には厳しい現実となりそうです。

更には、東京ガスや大阪ガスの様な業界大手が価格や体力で対抗できる規模まで中小を合併して行くことも予想されます。

 ガス自由化 まであと3ヶ月

現実的にはまだまだ解決しなければならない問題があります。

料金を請求するガスメーターの大半を人が検針しています。非常にコストも人員もかかります。このメーターをスマートメーターと呼ばれる自動検針機能が付いたものに切り替えて行くのですが、東京ガスでようやく2020年と言っています。

このあたりのオペレーションやメーター切り替え工事にかかる費用は、どのように負担案分して行くのでしょうか。課題山積です。

冒頭にお話しした、電気自由化に伴い新規参入してきた企業の顔ぶれですが、ガス会社では東京ガス、大阪ガス。エネルギー系では昭和シェル、JX日鉱日石エネルギー。商社系では三菱商事、三井物産、住友商事、伊藤忠商事。その他KDDI、東急電鉄、ローソンと業界や業種は多種多様です。

きっと彼らは昨年4月らの電力自由化の次を見据えてプランを練っていることでしょう。しかし昨年の今頃に比べガスの自由化が盛り上がっていないことが気がかりです。

静かに進むガス自由化ですが、会社によっては電話事業者のように解約の縛りがあるかもしれません。よく契約書を読み込んでから決断なさってください。

設備 知っ得【 飲食店開業 ガス設備 編】

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