Summaryーまとめー
- バー/BAR業態を居抜きで買う立場で気をつけるポイント
- バー/BAR業態を居抜きで売る立場で気をつけるポイント
一口に居抜き店舗といっても個体差があり、その店舗がどのような業種で使用されてきたのかで大きく異なります。
居抜き店舗はどれも同じだろうと思われるかもしれませんが、ポイントを確認せず見た目や立地の良さに目を奪われ、契約してしまってからでは取り返しがつきません。
もちろん場所が何物にも代えがたいと言うことで決断さなるのであれば何の問題もないのですが、それでも目をつぶるリスクが何なのかわかっている必要はあります。
今回は、バー / BAR業態の居抜き物件について買う立場、売る立場それぞれに注意すべきポイントを分かりやすく現場感覚でお伝えしようと思います。
Contents
バー/BAR業態を居抜きで買う立場で気をつけるポイント
シンク・L5・煽り扉
このポイントは保健所対策で必用となるシンクの数、L5=従業員の手洗い設備と厨房と客席を仕切る為に取り付けられる煽り扉についてです。
小さなバーやスナックなどカウンターに一人で入り接客する業態などの場合、本格的な料理をしないので本来保健所の営業許可に必要な2槽シンクがないことがあります。
とは言え1槽シンクではダメかと言うとそうではなく、食洗器を備え付けていればOKとなります。
同様に従業員が厨房内で手を洗う設備、一般的にL5と呼ばれる水道蛇口と手洗いボウルが必要になります。昭和の時代、銀座や赤坂であったケースですが、L5自体は取り付けてあるのですが、ただの飾りで、水道にも繋がっておらず排水にも繋がっていないと言うものでした。
保健所は厨房と客席の境に必ず扉を設けることを求めてきます。そこで俗に言うウエスタン扉つまり煽り扉がつくことが多いのですが、営業が始まってしまうと取り外してしまう方が結構おられます。
もしこの煽り扉やL5がないと気付いたらどこかに置いてないか聞いてみましょう。なければ工事費がかかります。
余談ですが、東京都ではL5がなくても、シンクにリキッドタイプのポンプ式石鹸サーバーをつけることで検査は通ります。
換 気
バー立地と言えば地下にあることが結構あります。また地上階でも2階以上の窓のない作りがほとんどです。ここで問題となってくるのが換気設備や排煙設備との関係です。
受動喫煙法との兼ね合いはありますが、従来のたばこにせよ電子たばこにせよ店内に煙や臭いがこもらないよう換気を行う必要があります。ところが、開口部の少ないバー業態は空気を吸い出す機能は備えていてもOA=外気を取り込む機能が弱いことがあります。
これにより何が起こるのかと言うと、換気扇を回した瞬間に入口のドアが開きにくくなります。つまり店内が負圧状態となり扉を開けるのに力がいることになります。例えば女性一人で開けられなかったり、隙間から入り込む空気でヒューと風切り音が出ます。実際に換気扇を回して確認しましょう。
用途地域の確認(重要)
日本は都市計画によってあらゆる土地ごとに利用法が制限されていることをご存知でしょうか。その一つが用途地域と呼ばれるものがあります。
各行政のHPに最近は出ているので確認願いたいのですが、バーなど深夜まで営業をする業態は営業出来る場所に制限があります。
住宅系用途地域と言って住専、住居地区は深夜12時以降の営業は認められていません。認められているのは商業系の地域です。
都内、それも港区あたりでよく起こるのが、表通りから10mまでは商業地域で10m以上離れると住居系地域という場所でのトラブルです。
実際にあったケースでは、表通りに面するビルの地下でバーをやっていて、2件目を一本裏通りの建物に借りたケースでした。つまり一本裏通りは住居系の用途地域なので12時以降はお酒を出せない場所だったのです。
また、郊外の表通りは注意が必要です。商業地域と住居系の用途地域が混在しています。予めネットか地域の都市計画課に行き確認することをお薦めします。
バー/BAR業態を居抜きで売る立場で気をつけるポイント
エアコン
先程も書きましたが開口部の少ないバー、換気能力の弱いバーなどは湿気がこもりやすくなります。この湿気は生臭いにおいを発生させます。実際にお店を引き継ぐつもりで内見に来られたお客様にあまりいい印象を与えません。実際にお客様が来られる30分以上前からエアコンを回して除湿しましょう。
入口扉・入口導入経路
難しく書いていますが、専用階段の壁面であったり入口の扉であったり、普段は夜にしか目にしない場所も昼の光ともなれば違う見え方をします。この部分は、居抜きでお譲りすると決めた時点で掃除やタッチアップなどをして綺麗にしておきましょう。
室 内 灯
お店のタイプにもよりますが、室内を極力暗くしてテーブルだけ明るくするライティングに、あまりメリハリを聞かせず照度を全体的に抑えるライティングなど様々です。
この照明で気をつけたいポイントは、球切れと種類の違う(色の違う)ものを使用している場合です。
とてもチープに見えてしまいます。意外とカウンターの足元を照らすフットライトが切れていることが多く残念です。ここは細心の注意が必要です。
掃 除
バー業態では、壁にうず高くディスプレイされているボトルが上段へ行くほど埃を被っていることがあります。直接居抜きで造作を売る際の価格には関係しませんが、買った人が新しいお店をイメージする際に非常にマイナスになります。
またちょっとした料理を出すバーのコンロ、レンジフード廻りがあまり手入れがされていないことが何故か多いのですが、狭い上に清掃が行き届いていないと、お買いになる方はお金がかかると判断し値下げ交渉の材料になります。普段からこまめに掃除を心がけて下さい。
バー業態程夜と昼とで物件から受ける印象が異なる物件はありません。居抜きで造作をお買いになる方は、もしまだお店が営業中なら一度お客様として訪れてみると本当の姿が分かると思います。是非足を運んでみてください。