ある日の居酒屋で、入店直後の女性同士の会話が聞こえてきました。
女子A:なんか床がベタベタしない?
女子B:入ってきた時の臭いもチョット気になったし。
どうやら彼女たちは汚れた床でパンプスが汚れるのではと心配し、お店の臭いが衣類や髪に付着することを心配しているようです。その後二人は落ち着く間もなく早々にお店をあとにしてゆきました。
皆さんも同じような経験ありませんか。梅雨の時期に出された生乾きのグラスが生臭く感じたり、掘りごたつの隅が濡れていて不愉快な気分になったり、近年お客様はことのほか清潔感には厳しくなっています。
そんな綺麗で当たり前の環境を少ない人数で作り出すのは大変なことですが、先程の女性の様に今後来店してくれなくなる(たぶん)ばかりか悪い口コミをうけることは是が非でも避けたいところです。今回は時間に余裕のある今だからこそウイズコロナに向けて効率よく清掃をし、清潔感を演出できる方法を考えて見たいと思います。
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飲食店の清掃はマニュアル作りからスタート
飲食店のチェーン店以外で清掃マニュアルを作成しているところは少ないと思います。シェフとアルバイト、ご主人とアルバイトというような少人数で経営する飲食店は特にそうでしょう。わざわざマニュアルを作らずとも口頭で内容が伝わるからです。小型飲食店の陥りやすい点はまさにそこにあります。なぜなら口頭ではどうしても伝わらない部分が存在するからです。
掃き掃除でも四角い角を丸く掃いてみたり、椅子を上げテーブルを移動させての掃き掃除を移動させずに終わらせてみたり、忙しくなるとどうしても甘えが出てしまいます。
掃き掃除一つとっても事細かに掃除方法を書いてあげた方が、やる側も分かりやすいものです。また白木のカウンターがあるようなお店では2度、3度の拭き上げ後に、ザラつく箇所が残って無いか手で触って確認した後にアルコール除菌を施すなどマニュアルで手順を示した方が時間の短縮と清掃の質を保つことが出来ます。
もう一つ、マニュアルを作るうえで重要な事があります。それは、清掃後のチェックです。よくマニュアルを作って終わりという方がいます。そこに書いてあるからその通りやってというタイプです。これではせっかく作ったマニュアルがその通り行われているかわかりません。特に慣れないうちは仕上りを確認してダメ出しをする、褒めるなどの評価をしないとマニュアルは機能しないことになります。
担当制とローテ―ションで格段の成果
広さがあり従業員が複数となる飲食店の場合であれば、掃除の持ち場を決めてローテーションをすることをお薦めします。これには二つの意図があります。
荒天や交通機関のマヒ等で従業員が集まらない場合でも普段からローテーションをしていればマニュアルの手順が解るので戸惑うことがありません。また、ローテーションをしながら相互に清掃の仕上がり具合をチェックすることが出来ます。
その中でちょっとしたテクニックや気をつける箇所などナレッジ(知識・知見)が生まれますます。それらを共有することで清掃の質が格段に上がります。是非試してください。
飲食店の清掃はいつ?タイミングを考える
飲食店の清掃というと開店前か閉店後というのが相場です。しかし冒頭の女性の様に営業中に汚れてしまうことも想定して清掃は行わなければなりません。営業中ではお客様が帰られた後、食器やコップを片付けるいわゆるバッシングのタイミングがその時です。
- 椅子やテーブルの下に忘れ物は無いか
- 食べ残しが落ちていたり、飲み物がこぼれていないか
万が一汚れがあっても営業中に掃除機をかける訳にはいきませんから雑巾で丁寧に除去しましょう。その上でテーブルを拭き上げ最後にアルコール除菌をして完了です。
さて、そのほかの清掃のタイミングはどうでしょうか。バッシング時以外で清掃を行う必要があるのはトイレです。このトイレ、どうしても繁盛店ほど利用頻度が高くなり汚れやすくなります。ただでさえ忙しいのにそこまで手が回らないと思われるかもしれませんが、時間を決めて清掃をしないと汚れやペーパータオルが散乱しかねません。もしそのトイレが男女共用だとすると余計に気を使って行う必要があります。
あるアンケートでは、トイレの綺麗な飲食店には8割以上の女性が好印象を抱くという結果が報告されています。逆もまた真なりです。
さて、このトイレですが清掃に入った従業員が使用している印象を与えない為にもまた清掃をマメにやっていることのアピールも含めて「清掃中」や「作業中」といった簡単なサインをドアにかけられるようにすればいいでしょう。
飲食店は常に不測の事態に備える
飲食店を経営しているといろいろなトラブルに見舞われます。テーブルで飲み物をこぼしてしまったり、酔客が飲み過ぎて嘔吐してしまったり予期せぬタイミングで起こるトラブルに対しても普段から清掃の手順が確認できるマニュアルを作成しておきましょう。
事態が起こってからどうするか考えていては手遅れです。予め手順を決めておけば効率よく短時間で清掃が完了します。また、予め手順を追ってシミュレーションすることで、掃除器具や洗浄剤などどのようなタイプのものが必用なのかわかります。こちらも買い揃えておきましょう。
~まとめ~
長く営業を続けて来られた繁盛店は往々にして清掃が行き届いているお店が多いものです。とりわけ厨房を見させていただくと厨房機器やステンレスで覆われている壁やダクトの部分は顔が映り込む程磨き込まれています。聞けば、清掃が趣味なのでとお答えになる経営者がほとんどです。続けて、どのように?と質問をすると、空いた時間を利用して清掃をしたり定休日の前の夜などに集中して清掃をしたりといった答えが返ってきます。どのお店もスタイルは異なりますが、その頻度の多さを上げておられます。
清掃の回数を重ねることで少ない力と時間に加え少ない洗浄剤で綺麗に仕上がるということなのです。効率よく清掃を行うコツの神髄はこのあたりにあるようです。