繁盛する飲食店の原価管理とは その2

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繁盛する飲食店の原価管理とは その2

前回は、料理に使用する食材の原価の考え方にそれらを積み上げてできた料理の原価を考えました。また、実際に出来上がった料理がお客様に提供されたのちに原価計算通りに売り上げが確保できているか検証するところまでお話ししました。

月に一度月末に棚卸しをした際に得られる棚卸原価率と、机上でつみあげた理論原価率とでは必ず乖離が生まれます。この乖離を限りなく抑えることが、繁盛店への近道となるのですが、全てにおいて計数管理をしているナショナルチェーンでもない限り毎月一定幅のロスは生まれます。今回は、この二つの原価利率の乖離、一般的にはロスと呼ぶのですが、具体例をあげながらロスをミニマイズする方法を考えて見たいと思います。

マクドナルドの取り組み

ロスを生む原因を細かく見る前にナショナルチェーンの代表格、日本マクドナルドの取り組みについてお話します。

100円マックと呼ばれた低価格商品を出す前のマクドナルドは、お客様を待たせないこと、つまり開業時間内でさばくお客様の数で売上を伸ばすことを考えていました。当然売れ筋商品は作り置きをして注文が入ればすぐに販売できる体制をとっていました。しかし、一定時間過ぎた商品は味の質が下がる為廃棄をすることにしていたのはご存知だと思います。これをタイムオーバー(時間切れ)と呼びロスを生む大きな原因となっていました。また、サイドメニューなど主力商品ではないものでも注文が入ればすぐに提供しなければなりません。当然ですが、準備をしていても注文が入らない日があります。このように売れ残ったものはレフトオーバーと言ってやはり廃棄となる運命です。ここでもロスが生まれます。

ではこのロスを無くすために彼らは何を考えたのでしょうか。現在のお店で行われているように、注文が入ってから商品を作るようになり廃棄ロスを無くしたのです。その分だけ営業時間内にさばくお客様の数が減ることになるのですが、カウンターにメニューを置かないようにしたりだとか注文時間を短くする取り組みをして数を取り戻す工夫をしています。

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6つのロス

マクドナルドのようなタイムオーバーは一般的な飲食店では生まれません。レフトオーバーやもう一つロストオーバー(床に落としてしまう)と呼ばれるロスはどの飲食店でも起きていることだと思います。なかなか正体の掴みづらいロスの原因を今回は大きく6つのロスを上げて可視化してみたいと思います。

1.完成した料理で発生するロス

前回のブログでご紹介した中華料理店の様に、毎回同じ量を提供できず作り過ぎるオーバーポーションは大きなロスを生みます。塵も積もれば山となります。また、折角作った料理を落としてしまうことで廃棄となることをレフトオーバーと呼びロスの原因となります。このほかに、注文を間違えてとってしまった為に作ってしまった料理もロスを生みます。

これらは、主にホールで起こるロスです。アルバイトへの指導、教育がこのロスを減らしてくれます

2.仕込み段階で発生するロス

人気メニューは立て続けに注文が入ります。もちろんですが、その都度最初から作っていてはお客様を待たせてしまいます。どのお店も注文が入った時にすぐに調理できるよう予め半完成品の状態で仕込みをしています。ところが、通常の週末に見込んでいたお客様が悪天候で来られなかったり、発注ミスで多く注文してしまったことですべてがはけない日もあります。翌日に持ち越せないのであれば残念ながら廃棄となりロスを生みます。もっとも、仕込みという工程はロスを生まない知恵でもあります。鮮度が落ちた食材を生食用から漬け込んだり、揚げ物にしたりする工夫、まさにスーパーマーケットの惣菜コーナーが食品ロスを減らす為に存在するようなものです。2~3日廃棄ロスを延長させる知恵が生きる部分です。

3.在庫段階でのロス

賞味期限が過ぎてしまえばその食材は当然廃棄されます。これは大きなロスを生みます。もし毎日食材の棚卸しをしていればこういった在庫ロスは生まれません。なぜなら期限が到来する前に何かの形で料理に使ってしまおうと考えるのが飲食店の常識だからです。つまり期限が到来したことに気が付かなかったということは、見過ごしてしまったということに他ならないからです。野菜や缶詰類、乾物などの食材に思われがちなこの在庫ロス、一番ロスが出やすいのは、肉や魚など傷みやすい食材が大半です。鮮度がいい状態から仕込みに回すタイミングを毎日目視と臭いで確かめながら、仕入れた日を書き入れた容器で保存することでロスを少なくできると言います。

4.まかない料理でのロス

本来食材は売り物として仕入れたものです。現実には飲食店で働く皆さんはこの食材を使って賄いと呼ばれる食事をします。なにも悪いことだということではありません。冒頭でもお話しした様に、この賄いを含め適正なロス率に収まっていればいいのです。ここからはお店の考え方によりますが、賄いに使用する食材は、仕込みロス手前の食材や賞味期限の迫った食材を廃棄することなく利用することが一般的ではないかと思うのですが、つい普段使わないような食材が入った時など試食と称してこの賄いにあてることもあると聞きます。値段のはる食材はお客様用と覚えておいてください。

5.サービスで発生するロス

出された料理を前に、洋からしやレモンなどを頼むお客様がいらっしゃいます。なかなか有料ですと言いにくい品々です。お店としてもタダで提供するにしても原価がかかっています。メインの料理にこれらのサービス分を見込んで値付けをしているケースはフルコースのフランス料理ぐらいです。一般的にはこれらのサービスの分はロスとして数字となって表れます。考え方ですが、これらは適正ロスの一部として考えるべきです。

6.原因不明のロス

これまで上げた5つのロスで説明がつかないロスがあります。例えば、飲食店の関係者が食材を持ち帰ってしまうケースが多いと聞きます。これ以外にも、研究熱心な調理人が新メニューを考案する際に使用した分や新米の料理人が腕を磨くために試し作りをするなどで消費された分が結局ロスとなって数字に出ると言われています。つまり表に出にくいロスが存在するということです。

これまで見てきました理論原価率と棚卸原価率の違いによるロスは「1.5%未満」が理想とされています。但し、賄いや試作料理など考え方次第ではこれより多くなることも許容範囲内と言えます。また、このロスの話をすると、重箱の隅をつつくような話で不快に思う料理人の方がいると聞きますが、繁盛店で潤沢に利益が出ているからロスが多くてもいいという話ではありません。飲食店を経営するという観点では、食材や人の管理は重要な部分です。食材の賞味期限は食中毒防止にも役立ちます。仕入れから販売まで目に見える形で管理がなされ、原価率やロスについても経営と料理現場でコンセンサスがとれていることが一番大事なことだと思います。

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