
2018年頃、飲食店の定額制は「月額で毎日ラーメン」「一定期間ドリンク飲み放題」など、強いお得感で注目を集めました。
あれから8年。結局、定額制は飲食店に定着したのでしょうか。
2026年現在のサービスを調べると、コーヒーショップだけでなく、中華居酒屋、牡蠣料理店、高級フレンチなどでも続いています。ただし、生き残っているのは単純な「何でも使い放題」ではありません。対象商品、利用回数、時間帯を決め、来店時の追加注文まで考えられた定額制です。
この8年ででた答えは、定額制は万人向けの集客方法ではなかったということと、常連客とその候補が増え、また空いている時間帯をなんとか埋めたい飲食店には、再来店と毎月の基礎売上をつくる有効な方法だということが見えてきたことです。
居酒屋やレストランで続く定額制とは
名古屋の中華居酒屋「暁 千種駅本店」では、月額8,000円で、生ビール、ハイボール、日本酒など約60種類を毎日2時間飲み放題にするプランを提供しています。料理は別注文で、利用時には1人1,500円以上の注文が条件です。
店側は会費だけで採算を取るのではなく、来店のたびに料理売上を得られます。ドリンクを来店のきっかけにして、利益は料理を含む会計全体で考える設計です。
長野県松本市の「万事屋」には、月額500円で600円以下のドリンクが1営業日1杯無料になるコース、月額3,000円のライト飲み放題、月額22,000円の牡蠣食べ放題があります。安価な入口と、利用上限を設けた高額コースを分けています。
六本木のフレンチ「Provision」は、会員を含む4名まで利用できる月額55,000円と88,000円のプランを提供しています。ほぼすべての飲食代を月額に含める本格的な会員制ですが、これは客数を広く集めるより、店の世界観と濃い顧客関係を売る方法です。
一方、HATTO COFFEEは月額3,500円、平日のみ、1日最大2杯まで。業態は違っても、続いている定額制には「対象」「回数」「利用時間」が明確という共通点があります。
定額制が向く店、向かない店はあるのか
これは明確に存在します。
向いているのは、週に何度か来るお客様が見え始め、午後のカフェタイムや平日夜など、空席を埋めたい時間帯が分かっている店です。
反対に、開業直後で客層が分からない店、ピーク時に満席になる店、原価が日によって大きく変わる商品を主力にする店には向きません。
利用されなかった会費を利益として当てにするのも危険です。使わなければ、お客様は翌月に解約します。定額制の目的は「使われないこと」ではなく、来店回数を増やし、対象外の商品も注文してもらうことです。
月額定額料金の具体的な考え方
例えば通常450円、材料・容器代が120円のドリンクを、月2,500円、月8回まで提供するとします。
8回利用された場合、材料・容器代は960円。会費から残る1,540円より、決済手数料、システム料、追加人件費を引きます。そこへフードなど追加注文の粗利を足し、通常客の注文を奪う分を引いて判断します。
居酒屋なら「ドリンク定額+料理は通常注文」、定食店なら「月4回まで小鉢無料」、ラーメン店なら「トッピング定額+麺は通常会計」のように、原価の低い商品を来店理由に使う方が始めやすいでしょう。
小さな飲食店で始めるとしたら
店サポの提案としては、最初から無制限・自動更新にせず、20人限定程度の回数券か1か月券から始めるます。
①空いている曜日と時間を決める
②原価と提供時間が安定した商品を一つ選ぶ
③利用回数と販売人数に上限を設ける
④利用回数、追加注文額、継続希望を記録する
管理には、月額券と回数券を発行できる「Sub.」や、定額会員機能を提供するfavyなどがあります。
オンラインで自動更新の契約を受け付ける場合は、最終確認画面に利用期間・回数、料金、支払時期、自動更新、解約方法や期限などを分かりやすく表示する必要があります。 ※消費者庁の事業者向け案内 は確認してください。
~まとめ~ 「お得」だけでは続かない定額制へ
これまでの飲食店の定額制は、「何度も来店するほど得になる」という分かりやすさが中心でした。
しかし、同じ商品を繰り返し提供するだけでは、お客様が飽きたり、利用がピーク時間に集中したりする問題も起こります。
そこで、これからは、「選べる楽しさ」と「利用時間をずらす仕組み」を加えた定額制の提案です。
例えばラーメン店なら、味玉、海苔、ねぎ、メンマ、チャーシューの5品から、来店ごとに2品を選べるようにします。定食店なら小鉢、居酒屋ならドリンクとおつまみ、カフェならトッピングやサイズ変更へ応用できます。
毎回違う組み合わせを選べれば、単一商品の無料券より飽きにくくなります。基本となる料理は通常通り注文してもらうため、来店のたびに売上も立ちます。
併せて、電車のオフピーク割引のように、「平日13時以降」「月曜から木曜の17~19時」など利用時間を限定する方法も有効です。
混雑する時間の通常客を定額会員へ置き換えるのではなく、空席が目立つ時間へ来店を動かす。これなら、厨房や客席の余力を売上に変えられます。
2026年の定額制、店サポが出した結論は、同じ商品を安く繰り返し提供する仕組みではありません。お客様には選ぶ楽しさを、店には来てほしい時間に来店してもらう仕組みをつくることがポイントなのです。





