
台風が近づくと、「予約も入っているし、営業できるところまで営業しよう」と考えたくなります。しかし、初めて店を持った店主ほど先に決めておきたいのは、営業を続ける方法ではなく、いつ営業をやめるかです。
一日の売上は取り戻せても、従業員やお客様の事故、飛ばされた看板による被害、浸水した食材への信用は簡単には取り戻せません。2026年8月現在、台風対策は次の6点を営業前に確認しておくことが基本です。
~台風接近前の6つのチェックポイント~
1.店の水害リスクと避難先を確認する
国土交通省のハザードマップポータルサイトで、店舗住所の洪水、内水氾濫、高潮、土砂災害の可能性を確認しましょう。避難先と安全な経路は、店主だけでなく従業員とも共有します。
地下、半地下、周囲より低い場所にある店は、雨が強くなってから荷物を運び始めても間に合いません。
2.「臨時休業を決める時刻」を先に決める
2026年5月29日から、大雨などの防災気象情報は5段階の警戒レベルに合わせた名称へ変わりました。警戒レベル4の避難指示は、危険な場所から全員が避難する段階です。その時点で営業を続けるのでは遅すぎます。
前日までに、気象庁の情報、自治体の避難情報、鉄道の計画運休を確認し、「何時の情報で、誰が休業を決めるか」を決めてください。
予報円は台風の大きさではなく、中心が入る確率約70%の範囲です。中心線だけを見て「店から外れた」と判断しないことも大切です。
3.予約客と従業員へ早めに連絡する
予約客には前日までに、営業の可否や変更の可能性を連絡します。仕入れ量も予約状況に合わせて減らしましょう。
従業員には出勤させてから帰宅を考えるのではなく、安全に帰れる時間から逆算して出勤中止や早仕舞いを決めます。SNS、Googleビジネスプロフィール、店頭掲示の更新担当も決めておくと慌てません。
万が一ですが、ケガを負わせてしまった場合の補償に備えましょう。
4.店外の「飛ぶ物」と排水口を片付ける
置き看板、のぼり、メニュー台、傘立て、植木鉢、空のゴミ容器は店内へ移します。
固定看板や袖看板にぐらつきや腐食があっても、風が強くなってから自分で外してはいけません。平常時に建物管理者や専門業者へ相談しましょう。
店の前の排水口やグレーチングは、管理範囲を確認したうえで落ち葉やごみを除きます。路上作業は雨風が強まる前に終えることが鉄則です。
5.浸水と停電から厨房を守る
止水板や土のう・水のうを準備し、床置きの食材、段ボール、電源タップ、小型機器は高い場所へ移します。
冷蔵庫・冷凍庫には温度計を置き、停電時は扉をむやみに開けず、停電時刻と庫内温度を記録してください。
厚生労働省は、停電で温度が上がった冷蔵・冷凍食品や、水に浸かって傷んだ食品は廃棄するよう案内しています。「見た目や匂いが平気」は安全確認にはなりません。
雨が降るとお店の前を水が流れていきます。その先に排水枡やグレーチング(アルミ格子の側溝蓋)があってそこに流れ込み下水溝へと排水されます。
6.浸水後は、すぐに営業を再開しない
水が引いても、電気、ガス、水道が安全に使えるかを確認し、厨房、機器、食器を十分に清掃・洗浄・消毒します。
食品営業施設が浸水した場合は、営業再開前に最寄りの保健所へ相談してください。写真、被害品、廃棄品、修理費の記録は、保険請求や貸主への報告にも役立ちます。
~まとめ~ 台風対策は「営業するため」ではなく「安全に休み、早く再開するため」
これからは、店の電話の横に「台風時の判断表」を1枚置きましょう。休業を決める人、連絡先、避難先、店外から片付ける物、食材の移動先を書くだけでも、当日の迷いは減ります。
台風の日に帰宅困難者を見込んで長時間営業することは、集客策ではあっても防災策ではありません。無理をしない判断こそが、従業員、お客様、そして開業したばかりの大切な店を守ります。





