ゴールデンウィークが近くなると大手航空会社のCMは「〇日休めば〇連休」というコピーが踊ります。早期予約割引の宣伝ですがコロナが明けた今年は一層力がはいることででしょう。
ところでこの宣伝、一見するとライバル会社に先駆けて早くお客様の囲い込みをしようというふうに見えるのですが、そこには深い戦略が隠されています。
その戦略とはレベニューマネジメントと呼ばれる需要予測管理の方法を使ったもです。この考え方を参考に ゴールデンウィーク に飲食店舗で使えるレベニューマネジメントの運用方法と従来の手法を組み合わせた対策を考えて見たいと思います。
Contents
レベニューマネジメントとはなにか
分かりやすいように飛行機の予約になぞらえて簡単に説明します。
飛行機の料金がワンプライスのみであったらと仮定した場合、
1.高くても快適に過ごせる空間で移動できるならもっとお金を出してもいい
2.もっと飛行料金が安ければ国内旅行でも飛行機を使いたい
この二つの客層が「飛行機を利用しない=利益を損失している」と想像できます。
逆に言えばニーズがあるのに取り切れていないというのは、売り上げを伸ばす余地があるということになります。
そこで、この早期予約割引の様な手法は、早く予約する代わりに飛行機代を安くするというインセンティブを利用者に示すことで、これまで旅行を控えていた潜在顧客や新幹線などを利用していた潜在顧客を獲得することを可能にするものなのです。
同じようにシートの間隔やサイズを変えてゆったりできるシートを用意し、高い料金を設定することで狭い空間での長旅を敬遠する客層を取り込んでいるのです。
もう一つの側面として、需要のピーク時とオフピークの需給差があります。ピークにあわせて設備投資をしてしまうとオフピーク時に設備が余って遊んでしまいます。投資効率は当然落ちます。
このとき、ピーク時の需要に対応することが出来る設備を有している場合と同等の利益を、現有設備で稼ぎ出せるとしたらどうでしょうか?
この考え方は、ハイシーズン料金と言って、年末年始やゴールデンウィーク、それにお盆の頃に設定される特別料金がそれにあたります。ピーク時の需要で最大稼ぎ出せるであろう想定額を、現有の設備(シート数)で割った金額がハイシーズンの特別料金に匹敵すると考えれば分かりやすいかと思います。
飲食店へ応用するとこうなります
オフィス街にある飲食店舗を想定してみましょう。 ゴールデンウィーク はお休みの会社が多く期間中はオフィスワーカーもまばらです。
そこで、休日の谷間にあたる平日は、
・ランチなどは通常の値段設定に比べ思い切った価格設定をしてみる
今まで来店しなかった新しい顧客獲得につながることも期待でき一石二鳥です。飛行機会社でいう早割と同じ発想です。もっとも事前の告知が重要ですが。
休日も稼働させたいというのであれば
・バイキング形式や普段提供していないお酒の試飲会などのイベントを打つ
・周辺に出来たタワーマンション向けケータリングサービス
ひところに比べ、会社ごと全休をする会社は減ったように感じます。それ以上に ゴールデンウィーク に出社している部署や社員の方は思ったよりいるものです。その方々向けにイベントを仕掛けるのもレベニューマネジメントです。
例えばこんな感じで
試飲会のような催しはお酒に重点を置くことで食事類を軽くすることが可能です。通常の従業員数が揃わなくても十分切り盛りが出来ると思います。この場合、参加費が高くても利き酒をする銘柄次第(幻のお酒〇〇や東京で滅多に飲めないお酒〇〇種類)では十分お客様を呼ぶことが出来ると思います。
逆に思い切って低価格にして、日ごろご利用いただいている感謝のイベントでもよいと思います。個人的には「希少価値」×「高額」の方が休日に出かけるモチベーションにはなりうると思っています。
一方のケータリングですが、最近増えたタワーマンションがターゲットです。そもそも外出よりもケータリングを好む傾向が指摘されている通称タワマン族の皆さんへは、休日の外出から帰って疲れているからこそケータリングという図式が成立します。
和でも洋でも中でもなんでもOKです。最近は小さなお子様がいらっしゃるタワマン族向けにスイーツなども狙い目です。少々単価が高めでもゴールデンウィークということでご理解いただけるはずです。
事前にフライヤーを作成し、ポスティングをしておきましょう。場合によっては、お店を閉めてケータリングに集中した方が売り上げが伸びるかもしれません。港区界隈にとどまらず月島や豊洲お台場に武蔵小杉あたりはこの時期絶対に狙い目です。
アライアンスを組む(共同戦略)
街コン(婚活)
街カンパニー略して街コンパ、街コンと呼ばれるイベントです。直訳すれば街ぐるみです。業態によっては1店舗で頑張ってもなかなか人が集まってこないことが考えられます。これを街ぐるみで共通チケットなどを販売し、そのイベントの趣旨に沿った特別メニューにワンドリンクなどをつけて開催し、何件もハシゴをしてもらい楽しんでもらうものです。
一時程開催されなくなりましたが、開催対象を20代の若年層から、最近流行りのシニア婚活にに変え60代前後をターゲットにした取り組みが令和の街コンです。
開催後に、余ったチケットが余ったとしても、またお店に来れば金券として使えることで固定客につながる工夫となります。
フェスの開催
フェスティバルを略した言葉です。つまりお祭りです。街コンが実際の飲食店へお客様に来ていただくのに対し、フェスは公園や広場に参加する飲食店が一堂に会し行う催しです。
お客様は移動する手間が省ける分、長い時間滞在します。街コンが夜のイメージであるのに対しフェスは昼間のイベントです。子供たちも一緒に楽しめると考えることが出来ます。座ってゆっくり食べられるというのは大きな魅力です。
例えば、能登半島応援フェスと銘打って、能登の海産物や金沢牛などをそろえて開始するのもわかりやすく家族で利用しやすいと思います。
宣伝方法はどうする
飲食店舗周辺の方をターゲットにするならタワーマンションと同じくフライヤーの様な紙媒体が安価で有効です。
街コンやフェスとなると、来場くださるお客様の商圏が広くなる分、紙媒体では不十分です。そのイベント専用のサイトをFaceBookやTwitterを立ち上げ、拡散してもらう必要があります。
また、地域のWEB新聞などにも情報を提供し、記事として拡散していただく協力要請は重要です。十分な準備期間と告知期間が大きなポイントとなりますし、最初からすべてを明かすのではなく、参加をする店舗や料理の内容、サプライズ系は時間と共に徐々に明かしてゆく手法が一般的です。
もちろんイベント途中の写真や動画のアップも、当日拡散する情報から訪れる方に向けて重要なコンテンツです。
~まとめ~
ゴールデンウィークだと言って飲食店舗が単体でイベントの告知をしてもなかなか広がりません。日ごろの広報活動が物を言います。
その代表格がLine@です。既に活用されている飲食店舗も多いかと思いますが、友達申請の許可をしてもらえばその日からダイレクトにお店のお得情報がスマートフォンに届けられます。実際に霞が関にある高級中華料理店から実際に送られてきた友達限定サービスでは、生ビール、甕だし紹興酒、ハイボールが2時間飲み放題で「777円」といったぐあいです。
また、グーグルなどを活用したリスティング広告です。価格も出せる範囲で設定できますからこちらもお勧めです。
宴会の予約が入っていない日や連休の谷間などに携帯電話に届くオファーなど新しい手法を駆使しながら ゴールデンウィーク を繁忙期に変えることは十分可能ではないでしょうか。