初めての飲食店を開業された方から、開店後半年もしないうちに相談を受けることがあります。ほとんどの場合、思っていた程お客様が来ない、利益が上がらないと言うもので、希望に満ちていた開店前とは大違いです。
業種や立地に違いはあれども、営業不振の本質は似たもので、いくつか共通のポイントがあげられます。
もっとも、賃料が高く最初から苦戦が予想されるお店についてはなかなかアドバイスしづらいのですが、美味しい料理、ご主人のやる気があるお店であれば挽回の余地は十分残っています。
今回は、5つの質問を投げかけることで生まれる気づきをもとに繁盛店へのV字回復を目指して頂きたいと思います。
お店がオープンする際は、友人、知人宛に開店のお知らせを送り沢山の方に来ていただいたことだと思います。また、道行く人にチラシを配ったり、店頭に持ち帰り用のメニューをおいたり、ずいぶんと工夫をしたと思います。
開店当初は物目づらしさもあって周辺の方が足を運んでくれます。ここで運よくリピート客がつかめれば問題はないのですが、1ヶ月を過ぎたあたりから日を追うごとに来客数に陰りが出てきます。
このところ客の入りが少ないかなと思いながらも、開店当初の賑わいが頭にある分、明日は来るかな、週末はどうかなと期待をしてつい食材をつい多く仕入れてしまいます。
そんな心配も日々お客様の対応で気を紛らわしているうちに売上以上の仕入れがたたって運転資金に黄色信号がともり始めます。
つまり。この調子でいくと何ヶ月後はマズイということが予想出来るところまで来てしまったということです。
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Q1.飲食店の開店後宣伝をどれだけ行いましたか?
さて、そんな状況下で、開店後に行った宣伝は何ですか?と問いかけると、たいていは特別なことはしていないと答えが返ってきます。
それはどうしてですかと続けて聞くと一様に、考えてはいたけれど具体的に思いつかなかったのでズルズルと今に至っているという返事がほとんどです。
そもそも事業計画があればそのような結果にはならなかったことでしょう。3ヶ月目の売上予測、半年後の売上予測が開店時にあれば、その時点で立ち止まってメニュー、宣伝など検証することができます。
もっと言えば、開店前に予想売上に達していない場合どのような宣伝をすべきか予め決めておけば慌てることなく事態の改善ができるのです。
とは言え、少しでも売り上げや客足に疑問があるようなら、スグに行動です、外に出てアピールしましょう。
Q2.ターゲットのお客様はどのような方々と決めましたか?
「どの様な人に来ていただきたいですか。性別、年齢など具体的に教えてください」とお聞きしますと、「どなたにでも美味しくお酒を楽しんで頂けるお店を目指しています」といった答えが返ってきます。
なにもそれがいけないとは申しません。ただ、万人受けするお店よりは特定層に的を絞った方がリピートしていただきやすいというのはハッキリしています。なぜなら万人受けするお店に来るお客さんは、新しいお店が出来るとすぐそちらに流れてしまうからです。
では、具体的にはどのようなことが売上改善につながるのでしょうか。
飲食店の決め手はなんといても料理とお酒の種類です。女性をターゲットにするのか男性をターゲットにするのか年代はどうするのかある程度想定します。そこに居心地をプラス出来れば特定層に刺さるアピールが可能となります。
なかでも音楽は大きな要素となります。狙った年齢層、性別にストレートに届きます。インテリアも大きな訴求ポイントになります。
今一度自分たちが思い描くターゲットがどこで、なにを用意(メニュー、内装、ディスプレイ、音楽、照度)すべきか考えなおしてみましょう。
Q3.飲食店の開店時からメニューは変えましたか?
もしくは、メニューの入れ替えはしましたかです。
別の聞き方をすれば、売れているメニューと売れていないメニューをちゃんと把握していますか?という質問になります。
業種、業態、お店のサイズにより提供できるメニューの数、お酒の種類には自ずと限りが出てきます。
食材のストックや料理を提供する為の仕込みなどを考えると、欲張ったメニュー構成は、無駄な仕入れ、無駄になる仕込みが出て経営を圧迫します。
理想で言えば、店側が用意しているメニュー全てが均等に売れてくれればよいのですが、飲食店ではそうはいきません。
売れないメニューを探し出し、売れるメニューに差し替えて行かないとすぐに飽きられてしまいます。
また、季節の食材を生かした限定メニューや話題性のあるものを使った料理など時事性も大事な要素としてメニューに採り入れましょう。
リピート客は定番料理と新作料理の両方を楽しみたいからこそリピートとしてくれることを忘れてはいけません。
Q4.どのお酒も計量してお出ししてますか?
小さな飲食店で意外と見過ごされているのが「お酒の計量」です。どのようなことかと言えば、原価管理の事です。
例えば、720ml1本6,500円のボトルがあったとしましょう。シングルで40mlなら18杯作ることが出来ます。仮に1杯800円とすると売価で14,400円になります。
この計量を目分量で行っていると、18杯が17杯、16杯に減ってしまいます。そんな小さなことと思われるかもしれませんが、月に10本、年間120本となると事情は変わってきます。
1本あたり1杯800円のロスが、年間では96,000円にもなります。ロスが2杯ならその倍です。どうですか?お酒の種類が増えるほどロスは広がります。
こうなると気前よくというレベルではありません。必ずメジャーカップを使いましょう。「塵も積もれば大損」となります。
Q5.食材のロスを把握していますか?
先程のお酒同様食材もロスを出さずに提供できていますか。
そもそもメニューの原価管理が出来ているかどうかがスタートです。いい手本がファミレスなどのチェーン店です。といってもセンターキッチンで作られた半完成品の事ではありません。一皿当たりのポーションつまり分量にムラがないと言う意味でいい手本です。
ここのチェックは、在庫の材料でまかなえる皿数が注文で出て、閉店時に予定通りの食材が残っているか毎日棚卸しがルーティンとして行われているかどうかです。
残念ながら出来ていないお店が多く見受けられます。つい作り過ぎた、間違った数量の仕入れをしてしまったなど感覚で料理・仕入れを続けることで知らず知らずのうちにロスが発生し、売上から利益を奪っていくのです。
もし、そこそこお客様が入っていて、売上があるのに利益が出ないと言う飲食店の場合はここを疑ってください。必ず原因が見つかります。
~まとめ~
今回、敢えて聞かない質問もあります。
- 利益を出す為に食材の量を変えたりしていませんか?
- アルバイトなど人材の削減をしていませんか?
- 利益を出す為に食材の構成を変えていませんか?
- 仕入を抑える為に極端にメニューを絞っていませんか?
もしこの質問に該当する様であればリピーターなど本来安定した利益をもたらしてくれるであろうお客様にすぐわかってしまいます。
もしそうなれば折角のリピーターはお店を訪れてくれなくなることでしょう。決して安易に解決策を求めないでください。間違いなく客数を減らし利益が上がらなくなります。