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飲食店の立地選びは業態・業種でこんなにも違う ~3つの例で検証~

飲食店-立地-業態

Photo credit : blieusong on VisualHunt

飲食店で開業を志す方の多くが、修行を積んだ街やそこによく似た街で物件を探されることが多いように思います。一方で、現在のお住まいから近い場所や同じ沿線を基準にされる方も多く見受けます。さらには駅からの距離や店先を通る通行量までこだわって場所を選ばれています。

そのような経験がない方でも出店の立地選びがわかるよう業態・業種で整理してみました。今回は、3つのタイプを例にとり検証してみたいと思います。

Contents

なにが飲食店の強み(集客力)なのかを分析する

まず、どこにお店を出すのかを検討する前に、その飲食店が集客できる強みの分析を行う必要があります。おおきく3つのパターンに整理することが出来ます。

  • 料理で客を呼ぶ
  • 料理以外で客を呼ぶ
  • 人通りが多い場所で客を呼ぶ

まず基本となる3つのパターンを検証してそれぞれの組み合わせも考えて見たいと思います。

【開業前に読む】間違いない飲食店の立地選び<失敗した店舗立地>を検証

1.料理のうまさで客を呼ぶ飲食店

言ってみれば飲食店としての王道です。飲食店の料理がお客様を呼ぶ一番の要素である場合を検証します。

大抵は、長年修行をしてこられた料理人の方が出店される場合で、既に固定客がついていらっしゃることが前提となります。

例えば、フランスで修業をされ有名店でシェフを任されていた方や長年師匠に仕えて腕を磨いてきた鮨職人などが代表例です。

この方々は、極端な話どこでお店を出してもお客様が追いかけてきます。ですから、わざわざ高い家賃を払って一等地に出店する必要はありません。もっとも、出店をするにあたりお店の開店資金を出資してもらえるような人達ですから、銀座や青山の一等地で開業というのもケースも数多く存在します。

具体例を2つ挙げると、

①有名店で働いてこられたイタリアンのシェフの場合、都心ではなく総武線沿線で尚且つ駅から9分も離れた小料理屋さんの居抜き物件を選ばれました。

上下階で12坪程、家賃も15万円以下です。こちらのお店は、オープン直後から1ヶ月先まで予約で一杯になるお店として有名料理雑誌にも取り上げられたほどです。

②築地で長らく板長として何店舗もある老舗の寿司職人をまとめてこられた方の場合では、定年を機に10坪以下でカウンターだけの寿司店を奥様とお始めになりました。

場所は赤坂なのですが人通りが切れるあたりで飲食店もまばらな立地の地下1階です。こちらも連日満席で、寿司を握るご主人の目の前は昔からの馴染みの方しか座れないほどの繁盛ぶりです。赤坂でも破格の賃料でやはり小料理店の居抜き物件に入居されています。

飲食店は、味が噂になれお客様は探してでもいらしてくれます。別の業態では、品川で話題になった行列の出来るラーメン店や高田馬場で話題になったローストビーフ丼などはSNSで拡散されることで人気を博したと言えるでしょう。

つまり、家賃の安い物件を選んで開店できたならば、少々原価が高い食材を利用しても利益が出るということです。結果、長くお店も続けていくことが出来るということなのです。

2.料理以外で客を呼ぶ飲食店

なんのことかと思われたかもしれません。具体例を並べると分かりやすいので書きますと、メイドカフェ、シガーバー、シーシャカフェ、ショーパブ、スポーツバー、ライブハウスなどが代表格です。どれも飲食店ではありながらお店を訪れる一番の目的が別にあって飲食は二の次となっています。なかには、消防法や風営法の関係で飲食店の体裁をとることで規制緩和を目的としたものまであります。

その他にも、ある特定の野球チームやサッカーチームを応援する為にお店に集まってくる居酒屋なども同じグループと言っていいでしょう。飲食店でありながら飲食以外の共通目的がお客様を呼ぶ重要な要素となっているところがポイントです。

目的がありますから少々ロケーションが悪くても大丈夫ですが、この手の飲食店は比較的席数が多いことが特徴にあげられます。したがって駅などに近い方が稼働率が上がり経営的には安定します。しかし、駅前の賃料は高く経営を圧迫する可能性があります。

そこで目的をもって集まってくれることを利用し駅近でも地下階や3階以上の比較的家賃の安いフロアに入居しています。

顕著な例で言えば、秋葉原のメイドカフェや池袋界隈で出店数が増えているネコカフェに爬虫類に猛禽カフェまでどのお店も1階で見かけることは皆無です。共通するのは皆賃料の安い上層階に入居しているところです。ここでも賃料を抑える工夫がなされています。

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3.人通りが多い場所で客を呼ぶ飲食店

はじめて飲食店を出す方が一番に選択するパターンがこれです。ここではさらに2つの考え方に分かれます。一つは有名牛丼店やカレー店、ハンバーガーショップなど看板を見れば味も金額も思い浮かぶチェーン系飲食店が得意とする駅近立地。

もう一つは、駅から少々ハズレても人通りがある場所やその近辺で、お客様が来やすいだろうとの希望的立地です。

ここで気をつけたいのは、飲食店を対象にした開業本や開業コンサルタントの言う「立地が売り上げの7割も8割も決定づける」と言う話を鵜呑みにしないことです。

上記の①、②と大きく違う点が家賃の高さです。このことで売上が伸びないまま家賃に運転資金を奪われて閉店し行く飲食店が後をたちません。

残って行く飲食店は、短期間でリピーターを造り出せる既に飲食店としての地位を確立しているチェーン店だけです。仮に、その時流行りの料理で開業したとしてもそもそも参入障壁は修行を積んで来た方とは比較にならない程低く、あっという間に別のお店にお客様を取られてしまう危うさがあります。だからこそ一等地にこだわるほど閉店リスクが増すということなのです。

3つのパターンを組み合わせる

初めて飲食店を出される方の一番の不安は、お客さんが来てくれるかどうかです。この点を解消し家賃を抑える立地が一番望ましいということになります。少々駅から離れた場所でも宣伝に力を入れればリピーターは付きますが、ただ、リピーター獲得までの数ヶ月の間は、お店を維持してゆくための運転資金が必要となります。

そこで最近考え出されているのが、地方の名前や特定の食材名を付けたお店のネーミングや実際にごく限られた産地の特産品などを看板商品にすることで、飲食店が持つ料理の味わいを容易にイメージさせることが可能となります。

つまり、産地や食材を目的とした集客力が生まれるのです。そしてその二つが備わればお客様に賃料の安い場所まで足を運んでいただける立地となるのです。

~まとめ~

今回検証したかったのは、いまどのようなお店が流行っているのかということではなく、開業しようとしている皆さんにご自身の強みを再確認頂き開業に必要な準備が、「調理の修行」なのか、「料理以外の目的の部分」なのか、リピーターがつくまでの「資金力」なのか確認してお店探しをしないと大きな後悔することになることをお伝えしたかったのです。

そのための準備に何を今からすればいいのか逆算できれば、早く開業できるばかりか成功確率までも上げることが可能です。

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