繁盛している飲食店舗は、お店の前を通りがかるだけで分かります。もちろんランチ時に行列ができていたり、窓越しに見える店内の様子をみて、というのではなく、店の佇まい(質感のあるファサートや高級感のある材質)などからです。判断となる材料の大半は目から入る情報です。
なかでも、店舗入口上部に掲げる看板は店の顔としてとても重要です。個人経営の店舗であってもナショナルチェーンの店舗であっても、色合いやフォント、トレードマークやマスコットにとても力を入れています。
最近、店先の宣伝看板でよく目にするのが タペストリー です。
このタペストリーですが、入口上部の巻看板でもない、店先でよく見かけるA型看板でもない第三の看板として脚光を浴びています。表現できる面積が大きくて内容にも制約のないこの 宣伝 ツールをただ写真と文字を並べただではあまりにももったいないと思います。
今流行のセールスコピーの観点からも即効効果が見込める タペストリー の活用について考えて見たいと思います。
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タペストリーのスタイルあれこれ
タペストリー とは壁掛けなどに使われる室内装飾用の布織物を言うのですが、その起源は古く紀元前のエジプト文明まで遡ります。絵画の装飾や文様を施した布は天井から壁を覆うように掛けられたり、天井から差し入れる太陽光や窓から入る風を調整する為にも重宝されてきました。
現在でもその用途は変わらず生きていますが、より色彩や模様が主体で壁装飾の傾向が強いのかもしれません。ひるがえって飲食店で活用されている タペストリー はどうでしょうか?
傾向として3つのタイプに分かれます。
屋号表示タイプ
海産物を主力にした居酒屋店のイメージアップに使用されたり、こだわり系ラーメン店やつけ麺店の店先でこれもイメージアップと視認性アップの為に使われています。主に懸垂型で従来の綴れ織りで造った本格的なものが主流で、若干斜めにディスプレイしてあります。
メニュー表示タイプ
中華料理店や本格派カレー店など品数が豊富な飲食店が、A型看板や軒先に置かれたパンフレットでは表示面積が小さく商品の訴求力が限られるために使用します。一品ごとの金額を載せることでリーズナブルであることも併せて訴求できます。
主に入り口付近の壁やガラス面を利用した壁掛けタイプです。屋号表示タイプよりは若干小さめで素材としてはソフトビニールなど雨風に強い素材が選ばれているようです。
告知タイプ
季節限定のメニューなどを始める際に道行く人に知ってもらう為です。
例えば、冷やし中華始めましたとか鍋始めました等がポピュラーです。他にもファミリーレストランのように新作メニューがお目見えするときなども登場します。
サイズや素材的には、2番目のメニュー型同様ソフトビニールを使ったものが主流です。シンプルな表示であれば毎年時期になると倉庫から取り出して使うことも可能です。その分耐久性が求められます。
また、意外な使われ方があります。空調機の室外機置場が無く仕方ないのでお店の入り口付近に設置している飲食店舗を見かけることがあると思います。気にならなければそれでOKですが、お店のご主人によってはその室外機を隠す為にタペストリーを張るお店もあります。お店の宣伝にもなりますし一石二鳥というところです。
タペストリー にセールスコピーを載せたら
従来の使い方がダメだと言うことではなく、お客様の目線に一番近くて、畳一畳程の面積が使えるいわばメッセージスペースを、もっとセールスコピーの技術を使って店舗や商品の訴求が出来ると考えています。
「AIDAの法則」
数あるセールスコピーの手法の中で、短い文章で確実に商品を売り込むシンプルな手法で構成してみたいと思います。AIDAとはセールスコピーを構成する四つの単語の頭文字をとってつなげたものです。さて順番に見て行きましょう。
「A」・・・Attention(注意をひく)
一瞬で目を引くコピーが必要です。例えばラーメン店を例に考えて見ます。
「話題のクリームチーズ味噌ラーメンついに○○にオープン!」
これだけで、開店前から興味のある人はネットで検索してくれます。そこに一度食べてみたいと思わせるストーリーがあればその期待は、口コミと共に拡散して行きます。
「I」・・・Interest(興味・関心を喚起)
注意をひいた事柄に対する「なぜ」がここでは大切です。いわば伝えたい中身の一番重要な部分となります。
「スープが絡む粉からこだわった自家製麺に、スープは3種類のプレミア味噌にたっぷりのクリームチーズ」
「D」・・・Desire(欲求を刺激)
さらに来店を加速させる一言が必要です。そこを素通りしたら損だ、今はだめでもすぐに来なければと思わせるフレーズです。
「芳醇な味噌のスープにクリームチーズのコク」
普通を裏切るフレーズなどがその意味ではとても有効です。なぜなら試してみたいという欲求が生まれるからです。同じような表現なら「硬い豆腐、熱いアイス、甘いキムチ」等々です。
「A」・・・Action(購買行動)
実際に来店を促すコピーが必要です。
「一日限定30食」「スープ無くなり次第閉店」「開店時間11時~13時のみ」などお客様に枯渇感を与えるコピーも繁盛店の常とう手段と言えます。
これらのフレーズを タペストリー に込めて、藍色の下地に白く文字だけを抜くシンプルなものもいいでしょうし、ソフトビニール素材でバックに大きな写真を配置しその上に一連のコピーを載せるやり方もあります。
もし写真を使うのであれば、出来合いのフリー素材を使うのではなくて、実際に調理した料理をプロのカメラマンに撮って頂く方がお客様に訴える力は数倍、数十倍違ってきます。
ところで、フレーズ、コピーを考えるのが不得意と言われる方に一度試してもらいたい手法があります。私は「勝ち抜き法」と呼んでます。やり方はいたって簡単で、1つのフレーズを決める際に、最低でも20個ほど案を考えます。似たようなものでも、こだわりの一言を入れてバリエーションを持たせたものでも結構です。
その中から一個一個を比べて勝ち抜き戦をするのです。注意するならば、一度負けたものは復活させないことでしょうか。最後に勝ち残ったものが採用となります。何人かで案を持ち寄り、勝ち抜き戦も何人もの人で協議しながら行うのがいいでしょう。もちろん一人で行ってもOKです。
是非お試しください。