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飲食店開業!業種別でみるガス容量とその計算方法~実例つき~

この飲食店舗物件、ガス容量は大丈夫?

独立、開業を目指す皆さんからいただく質問で一番多いのがガスや電気の設備容量 についての質問です。飲食店舗に欠かせない設備のひとつに電気があげられますが、仮に容量が足りなかった場合でも簡単な手続きと分電盤のブレーカー交換で簡単に解決します。

一方ガスの容量不足は電気程簡単ではありません。建物が面する道路に埋設されている都市ガスの本管から店舗まで延びる枝管の盛替え工事が必要となります。

この工事、ガス会社にお願いしてから工事完了までに1ヶ月近く待たされることもざらにあります。3月の年末調整のころなどは頼んでみなければいつまで待たされるからないといった工事です。

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増設工事代金の目安と負担区分について

この面倒極まりない工事の費用ですが敷地境界線を挟んで分かれます。公道側はガス会社の負担で工事をしてくれますが、飲食店舗が立地している敷地の中はガスを使う需要者、つまりお客様(または大家さん)の負担となります。

埋設されているガス管を掘り返して、新しく太い管に盛替える工事に加え、敷地境界線からガス器具まで距離があると更に工事費は高くなります。通常でも概ね30万~40万円程度の出費は覚悟しなくてはなりません。

現在検討している物件のガス容量がこれからオープンする業種に適しているのか?ガスを必要としている器具類の容量を満たしているのか誰しも知りたいところです。今回は、賃貸借契約後にガス工事が必要かそうでないかを簡単に見分ける方法について考えて見たいと思います。

飲食店舗物件がガス容量不足でもこれで解決!~具体例で解説~

業種別、ガス機器から見た ガス容量

検証1:契約面積10坪 フレンチ ガス容量3号

目黒区の商店街にある10席のみのフレンチのケースです。平日はランチと夜のディナー、週末は貸し切りか予約のみのコース料理で地元の方々に親しまれています。

  • ガス設備:ガスレンジ コンロ大 9,000kcal/h
  • コンロ小            6,000kcal/h
  • オーブン            6,000kcal/h
  • 五徳コンロ(単独)        3,000kcal/h
  • 給湯器5号           9,000kcal/h
  • 合 計             33,000kcal/h

ガスの設備容量の合計は33,000kcal/hですから、ガスメーターに表示されている契約容量3号=33,000kcal/hと同じです。

ひょっとするとこの状態で4.5号や6号に容量を増設しましょうという工事業者やコンサルタントがいるかもしれません。ただ、この合計はコンロや給湯器を100%のパワーで使用した場合の数値です。通常そのような状態で料理を作り続けることはありえないです。

ましてや、給湯器からお湯を出しっぱなしで(5号=1分間に5リットルの水を40度もの熱湯にして出す能力)料理などするはずがありません。試しに全部のガス設備を80%の能力で稼働させたとしても、

33,000kcal/h × 80% = 26,400kcal/h

どうですか、見事3号=33,000kcal/h内に収まっています。

検証2:契約面積13坪 焼き鳥居酒屋 ガス容量6号

世田谷区の幹線道路に面した18席の焼き鳥居酒屋です。間口が広くテーブル席でゆったり座れるのが特徴です。ランチは周辺のIT企業のビジネスマンやOLさんたちで賑わい、夜は10時以降でも来店が絶えない繁盛店です。

  • ガス設備:五徳コンロ 大     12,000kcal/h
  • 五徳コンロ 小×2         12,000kcal/h
  • 焼き台(焼き鳥用)         3,000kcal/h
  • フライヤー 14L         5,000kcal/h
  • 給湯器 10号          19,000kcal/h
  • 合 計              51,000kcal/h

ガス容量6号=66,000kcal/hに十分収まっています。オープン当初は、これに加えて食洗器(15,000kcal/h)も考えたそうです。合計で66,000kcal/hです。しかし厨房のレイアウト上どうしても入りいらないので断念したそうです。スペースが出来たら今でも欲しいとのお話でした。

飲食店舗 ガス容量不足 解決法(プロパンガス)

検証3:契約面積15坪 ラーメン中華 ガス容量16号

文京区のオフィス街で人気のラーメン中華のお店25席です。ランチの時間は11時過ぎから15時までお客様が切れない人気ぶりです。夜は流行りのラーメン居酒屋風中華料理。お酒を飲む人と晩御飯を食べる人が入り交ざって、非常に回転率のいい繁盛店です。

  • ガス設備:中華レンジ    60,000kcal/h( 大×1+小×1+五徳×1+オーブン×1)
  • 茹で麺器  6口      21,000kcal/h
  • 餃子焼き器         12,000kcal/h
  • 食洗器           16,000kcal/h
  • 給湯器   16号     28,000kcal/h
  • 合 計           137,000kcal/h

オフィス街で店を構えるため、ランチ時の厨房は戦場と化すそうです。お湯、ガスレンジ、茹で麺器、すべてがフル稼働します。中華は火力が命です。

フル稼働の際、ガス容量オーバーでガスメーターがシャットダウンしては困ります。余裕を持たせる為に、当初10号だったメーターとガス管を16号に盛替え工事をしたそうです。

検証4:契約面積10坪 ワインバル 3号

渋谷区の駅から少し離れた隠れ家風バル。席は13席。ランチは行わずに朝まで営業をするお酒がメインのワインバルです。自慢の料理はトッピングがオーダーできる焼き立てのピッツァ。お店のピークは周辺の飲食店で働く方々がお店を閉めた後集まってくる深夜1時過ぎからだそうです。

  • ガス設備:3口コンロ      7,000kcal/h
  • コンベクション             10,000kcal/h
  • 給湯器 5号               9,000kcal/h
  • 合 計                    26,000kcal/h

深夜のバルということで、ピッツァ以外はあまり火を多用するメニューはおいておらず、チーズやプロシュートがよく出ると仰ってました。

カロリー計算

ここに書きました厨房機器のカロリー消費の数字ですが、各メーカーによって若干表記のしかたが異なる場合があります。Kcal/hではなくKw表示です。

だからと言って混乱しないでください。「1Kw=860kcal」で換算すればすぐに計算が出来ます。

また、ガスメーターの1号あたりのカロリーですが、「1号=1㎥=11,000kcal」で計算してみて下さい。

※本文の検証は東京ガスの提供する都市ガス13Aを基準に書いておりますのでお間違いのなきようお願い致します。

自分にあったお店探し

今回、実在する店舗を業種ごとに拾い出し、どのような器具を揃えてどれぐらいの契約をしているのか見てきました。

実例をあげて検証することで、今までとっつき難いと思っていた方も、なんだ簡単じゃないかと思っていただけたのではないでしょうか。

今回は飲食店で初めて独立・開業なさるであろうサイズを中心に検証しました。ネット上にあふれる一般論に惑わされずにしっかりと自分にあったお店探しをしてください。

設備 知っ得【 飲食店開業 ガス設備 編】

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