飲食店を作る際、「ドウセン」と言えば厨房内での人の動き方を示す「動線」が思いつくのですが、同じドウセンでもお客様をお店まで導く経路のことは「導線」という字で表現します。
飲食店経営者による導線のひと工夫で、あなたの飲食店は売上のあがる繁盛店となります。
コツはお客様目線。
お客様目線で組み立てられていればとてもシンプルでわかりやすい繁盛店の導線ができあがります。
今回は、お客様が何を見てそしてどのように判断をしてお店まで来られるのか検証しながら飲食店の導線について考えてみます。
さて一口に導線といっても、お店との距離によって内容が異なる4つの導線を考えます。
- 離れた場所から歩いて飲食店を目指す場合の導線
- 地図などを頼りに徒歩や車で飲食店に来られる導線
- 飲食店の前を通りすぎる人の導線
- 飲食店へ来店してから着席までの導線
Contents
1.離れた場所から歩いて飲食店を目指す場合の導線
厳密に言えば歩いてお店に来られるお客様も2種類に分かれ、
- 口コミで大よその場所を教わって現地に来られたお客様
- 現地近くに置かれているA型看板などを見かけて行ってみようと決めたお客様
どちらにも共通するのが、すぐ近くまで来ているのに見つけられないといったことが往々にして起こります。
この場合、大きな通りや人通りの多い通りに面していない場合がほとんどです。人通りの多い通りからチョットのぞき込めば見えるのですが、はじめてだとなかなか気づかないものです。
そんな時お店に求められる努力
あるカフェの場合、通りから細い路地を入ってこないとお店の存在がわかりません。まさにその路地の入口にあるお店(中華料理店)に頼み込んでランチ時も夜もA型看板を敷地の角に出させてもらってます。
同じように通りから角を2つ程曲がらなければ入店出来ないラーメン店の場合、最初の角が大手キャリアの携帯ショップです。真正面からお願いに行っても看板はお断りとなるところを、A4版程のA型看板を自作しランチタイムだけちょこんと置いてあります。
ラーメン店の方に伺ってみたところ、注意されたら場所を変えるつもりだけど、この1年間黙認してもらっていると言っていました。街の温かさが伝わる話です。
もちろん2本目の角は通常のA型看板で大きくアピールしています。
大通りや人通りの多い道沿いの店舗はそれなりの家賃です。
その分一本入った場所は賃料も安いので、認知されれば利益は残っていきます。ここは自分が客になったつもりで導線を考えてください。
2.地図などを頼りに徒歩や車で飲食店に来られる導線
スマートホンでグルメサイトの地図を頼りに歩いてこられるお客様や車で来られるお客様への導線があります。
グルメサイトの地図を頼りに歩いて行ったまでは良かったのですが、すぐ近くに来ているのに場所がわからないという経験は誰しも一度はあるはず。
その場合、検索場所を示す矢印がお店の場所と違うところに立っていることが結構あります。そのことに店側が気づいていないことや変更の仕方を知らないことも多いようです。Googleマップの場合であれば、Googleマイビジネスに申請をすれば無料で正確な場所に表示されます。
Googleマイビジネス
https://www.google.co.jp/intl/ja/business/
ネットから必要事項を入力して地図上の表記をお願いすると、1ヶ月ほどの審査期間の後表示されます。
この登録により、住所で検索した際に検索画面のトップに店名とお店の登録写真の表示が現われるようになります。
地図の脇には営業時間などが表示されさちょっとした宣伝画面のようになります。飲食店を営業利用する際に大変便利なサービスとなります(無料)。ぜひ活用してみてください。
余談ですが、なかには新しくオープンするお店を登録をしようとした際、前のお店の情報が残っていることがあります。この場合もそのお店が閉店したことや新しいお店が開店したことを示す資料提示すれば無料で変更してくれますのでご心配なく。
3.飲食店の前を通り過ぎる人の導線
せっかく人通りが多い通りに店を構えても、道行く人にアピールできなければお店に来店される人は限られてきます。
導線とは字のごとく導く線です。その導く力が足りない=アピール不足となります。
飲食店の前を通り過ぎてしまう具体例
まずは店名についてですが、とにかく読めない店名、何語かもわからないとなると、道行く人に店名の読めない店と認知されます。
また何にを提供するお店なのか、看板に出ていないことや一体いくらくらいのお金がかかるのか知りたくとも情報がなければやはり来店される方は限られてしまいます。
コダワリのお店というコンセプトもあろうかと思いますが、一般的にはわかりやすい店名に何を出すお店なのかを看板に明記する必要があります。
それがすなわち導線となるのです。
もうひとつ、せっかくのオープンしたお店でも店内が外からまったく見えないのも損です。
入口付近をオープンテラスやアコーデオン扉にして、常に店内が見渡すことが出来ることで、はじめての入店するハードルはグッと下がります。
さらに言えば、いつも混み合っている客層でどのような人たちのお店か想像がつきますので利用する側は安心するものです。
まさに心理的導線と言えます。
4.飲食店へ来店してから着席までの導線
銀座中央通りにある老舗のビアホールはいつも人であふれています。
予約が出来ないこともあり、現地に行ってみないと入れるかどうかわかりません。
入口付近で人が溢れていて、その様子で諦めて帰る人が多いのですが、意外と回転が速くチョット待てば2~3人ならばすぐに入れます。
逆に人気のラーメン店などは、外に人が並んでいないと喜んで店内に入るとカウンター席の後ろにビッシリ列ができていることがあります。
このふたつの事例から見えてくることは、
- 待つ間に別の店に流れてしまわないように店内に入れてしまう作戦
- 1席でも多く席を確保したい店側が外に並ばせる決断をするという作戦
このふたつをドッキングさせたのがファミリーレストラン。
受付用紙に名前と人数を書いてソファーでウェイティング。時間さえ気にしなければ快適です。その分着席してからの注文、配膳まであまり待たされません。
どちらを選ぶかはお店の経営方針ですが、待ち時間が長くなる傾向のお店は店内で待っていただかないと雨の日などは敬遠される可能性があります。それゆえ回転が速いビアホールも雨の日は席の配置を変更して中で待てるように工夫しています。
以前は傘を綴じる場所がなく濡れながら入店するようなお店がありました。当然雨の日は敬遠されます。ところが、庇をつけて濡れずに入れるようにしてから雨の日も繁盛店に変身したのです。
ちょっとした工夫、お客様目線がホスピタリティーを生むのです。
そのことがお客様にも伝わるから売上アップにつながるのです。
繁盛する飲食店の「導線」はお客様目線で工夫すること
今回ご紹介した4つのお話、飲食店を作る時や売上をさらに上げたい時など、飲食店経営者による導線のひと工夫で、売上のあがる繁盛店となることがおわかり頂けたと思います。
お客様目線を常に意識していればとてもシンプルでわかりやすい繁盛店の導線ができあがります。
もういちど次の導線について見直してみませんか?
- 離れた場所から歩いて飲食店を目指す場合の導線
- 地図などを頼りに徒歩や車で飲食店に来られる導線
- 飲食店の前を通りすぎる人の導線
- 飲食店へ来店してから着席までの導線