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飲食店の保険料はいくらかかるの?居抜きとスケルトンで異なる金額

飲食-保険料

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最近保険に関するお問い合わせが多くなっております。ご質問の内容は大きく二つです。どのような保険に入ればいいのか、概ね保険料はいくらくらいかかるのかというものです。

それまで生命保険か車の保険ぐらいしか検討したことがなかったところに、飲食店を借りる前後で初めて知る飲食店の保険加入義務。ネットで調べるといくつもの商品が現われ一体どれを選んでよいのか大いに迷われることだと思います。

加えて料金です。生命保険や車の保険はすぐに料金の表示が出るのに飲食店で必要な保険には料金が出てきません。このことが保険を更にとっつきにくくしています。これには訳があって、飲食店など事業用の保険は、

  • 飲食店の業種
  • お店が入居する建物の構造(木造・堅固の別)
  • お店の広さ(契約面積)
  • 補償の額

によって金額が大きく異なる為一概にいくらと言えないのです。

今回は、いくつかの事例の中から損保会社へも聞き取りを行い、タイプ別に大よその保険料を算出しました。是非参考にして頂きたいと思います。

Contents

飲食店に必要な保険の大枠をまず知ろう

飲食店が加入すべき保険と言ってもいくつかのパターンが存在します。賃貸借契約書を見ると「保険に加入のこと」とだけしか書いていないものもあれば借家人賠償責任保険に加入のことと具体的に記載されているものまで様々です。

一見するといくつもの保険が存在していてどれに加入すればよいのかと混乱しますが、簡単にいってしまうと火災保険を基本に各種のオプションを付帯させているだけなのです。もっとも、火災保険に加入しないでオプションだけ加入することは出来ません。ですので、借家人賠償責任保険という表現は間違いで、火災保険に借家人賠償責任特約を付けてくださいというのが正解なのです。

そもそも火災保険とは誰のための保険でしょうか。当然ご自身の為に掛けられる保険です。飲食店で言えば、厨房機器や内装、家具類などがその対象となります。これらが火災により焼失したり損害を受けた際に補償をしてくれます。

では、飲食店を借家で入居していた際、大家さんの持ち物である建物に損害を与えてしまった場合はどうしますか?木造建築の建物を借りていたとすると最悪全焼ということもあります。民法の規定では、重過失以外は延焼による損害を補償する義務はありません。但し、大家さんに対しては別です。もともと賃貸借契約書には原状回復義務という条項が必ず入っていますが、これを行わずに借りた部屋を返すことは債務不履となってしまいます。つまり火災を起こした責任が重過失でなくとも借家人は元の状態に戻す義務があるということなのです。では、どうやってそのお金を工面するのでしょうか。まさにそこが重要なポイントなのです。特約と呼ばれるオプションでカバーする必要があります。

飲食店にはどの火災保険が必要か

借家人の大家さんに対する補償

「借家人賠償責任特約」

通称「借家賠」と呼ばれる特約です。この特約は、火災等で大家さんの財産である建物に損害を与えてしまった場合に補償するものです。つまり、この特約を付けておかないと大家さんに対する損害賠償金はどこからも出ないことになります。結果、自腹で払うことになり、相当大変なことになります。

第三者に対する補償(その1)

「賠償責任等補償特約」

飲食店ではガスを使って料理をすることが一般的です。滅多にないとはいえガス爆発を起こす危険性があります。これにより建物が壊れてしまったり、内装や厨房機器が破損してしまっても、「財物に関する損害補償」や先程の「借家賠」に入っていれば補償は受けられます。では、もしその爆発でお店の前を歩いている人にケガを負わせたり、隣地の建物に損害を与えてしまった場合の補償はどうなるのでしょうか。

重過失以外の火事と違いガス爆発の様な事故は、隣地を含め被害を与えてしまった人への補償は全て事故を起こした飲食店の負担となります。これを補償するのが「賠償責任等補償特約」です。この特約により飲食店が第三者に与える身体や生命に関する補償、財産に損害を与えてしまった場合など法律上の損害に対して補償してくれます。

第三者に対する補償(その2)

「生産物賠償責任補償特約」

第三者に対する飲食店の補償で思い浮かぶのが食中毒です。賠償責任等補償特約でカバーできるものですが、食中毒は一度起きてしまうと損害の規模が甚大になるケースがありますので、別途の扱いになります。賠償責任等補償特約にさらに付加するイメージです。この食中毒に関していえば、単独の商品としても発売されていますので単体で加入もできますが、火災保険にオプションとして付け加えることも可能だということです。

飲食店が食中毒に備える保険とは

保険金額(概算)と支払限度額の関係

前提:東京都・保険期間2年間・料理飲食店(BAR、キャバレーを除く)

ケースⅠ(居抜き店舗対象プラン)

〇10坪(33㎡)・火災保険100万円・借家賠1,500万円・賠償責任1億円の場合

  • 木 造   : 39,000円
  • 鉄骨造   : 26,000円
  • コンクリート造:20,000円

〇20坪(66㎡) 以下同条件

  • 木 造   : 50,000円
  • 鉄骨造   : 36,000円
  • コンクリート: 28,000円

※いずれも2年間の保険総額です。

上記の金額は食中毒に関する生産物賠償責任補償特約は付いていません。

もしこれを付帯するならば、10坪の場合、すべての構造体で13,000円をプラスすることになります。20坪だと26,000円程度のプラスとなります。

こちらのプランは火災保険の補償が100万円となっており居抜き物件で入居されるような物件に対応しています。もしスケルトンから飲食店を作り場合、1,000万円以上の費用がかかることがあります。そのような場合は火災保険の補償額を上げる検討をすべきです。

ケースⅡ(スケルトン新設プラン)

〇10坪(33㎡)・火災保険500万円・借家賠1,500万円・賠償責任1億円

  • 木 造   : 74,000円
  • 鉄骨造   : 46,000円
  • コンクリート造:33,000円

〇20坪(66㎡) 以下同条件

  • 木 造   : 80,000円
  • 鉄骨造   : 52,000円
  • コンクリート造:39,000円

※いずれも2年間の保険総額です。

損害保険社で異なるオプションについて

火災保険を軸に大家さん、第三者への補償を担保したうえで各社が知恵を絞るその他のオプションも見てみましょう。

  • 飲食店では珍しくない給排水管のトラブル。もし下の階に漏れてしまい損害を与えてしまった場合の補償
  • 路面店では置き看板が壊される被害がたまにありますがこの場合の修理代の補償
  • 高価なワインや現金などが盗難にあった場合の補償
  • 火災や自然災害時にお店が被災してしまい仮店舗で営業継続する臨時費用などを負担

~まとめ~

おそらくほとんどの方が、必要に迫られて保険を探し始める為あまり吟味しないで不動産会社が薦める保険に加入することが多いことでしょう。当然、飲食店が入る保険と物販店が入る保険は内容が異なります。ことが起こってから後悔しないように必ずどこまでをカバーしてくれる保険なのか細かくチェックして入るようにしましょう。備えあれば憂いなしです。

知らないと本当に損する 飲食店舗 保険

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