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飲食店を区分所有マンションで開店、本当にあった怖い話

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Photo by Assorti (イメージ写真)

このところ都内では、旧耐震の古い建物を取り壊して次々と新しいビルに建て替えが進んでいます。これまで大通りに面する建物はオフィスビルとして建替えられるのが当たり前だったのに対し、昨今はタワーマンションの流行を受け高層マンションが建てられるケースが増えています。

老舗の飲食店にくわえ地下階にあった飲食店街が次々と取り壊され新築のマンションに変わっています。なのに残念なんは新しく出来る建物に飲食店が入るスペースがほぼないことです。

今回、マンションなどの集合住宅のなかでも、とりわけ分譲販売された区分所有マンションの1階に入居する飲食店で実際にあったトラブルを検証しながら、入居前に確認しておくべき注意点と意外と知られていない怖い話を書きます。

Contents

区分所有マンションで起きるトラブル例

オフィス街にある区分所有マンションは、おおむねファミリータイプのタワーマンションや単身者向けワンルームタイプの2種類に分けられます。どちらも飲食店が入居すれば昼、夜共に周辺のビジネスマンが立ち寄る繁盛店になることがほとんどです。

そのようなことから、飲食店で入居を希望される方はひきも切りません。自然と物件は取り合いとなり、よく確認もせず勢いのままに契約をしてしまうという落とし穴が待っているのです。

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トラブル例1:アルコール提供不可の場合がある

実際にあったトラブルから。契約を締結し営業を始める段になってそのマンションではアルコールを提供しての営業が出来ないことが管理会社からの指摘により発覚。やむなく業態の見直しを余儀なくされた。

トラブル例2: 深夜の営業時間に制限がある

居抜きで店舗を引き継いだ際に、前のテナントが深夜まで営業していたので何の疑問もなく出来るだろうと思っていたところ、いざ営業を開始してすぐに管理会社から時間制限があることを知らされ愕然とした。売上見込みが大きく狂うことに。

そもそも用途地区が「住居地域」の場合、夜12時以降のアルコール提供は出来ません。これはマンションに限らず、どの飲食店にも共通することです。

トラブル例3: 共用部が使用不可となる場合

店舗脇に物置があり食材や食器類などが置けるスペースとして便利だと喜んでいたところ、店をオープンする際に物置を撤去して欲しいと管理組合から申し入れがあり、やむなく店内の客席スペースを削ってあてることになった。席数が減ることとなった。

区分所有マンションでトラブルを回避策するには

この例をご覧になって、そんな馬鹿なことがと思われたことでしょう。

普通に不動産仲介会社を通して賃貸借契約を結ぶ場合であれば、事前にマンションに関わる制限の説明を聞きますのでまずこのようなトラブルにはならないのですが、このようなトラブルに巻にき込まれるには2つの理由が考えられます。

  1. 友人や知り合いから直接お店を引き継ぐケース
  2. 店舗サブリースといって大家さんに代わって別の貸主が存在するケース

では、なぜこの2つのケースで上記の様なトラブルになるのでしょうか。

共通点があります。

  • 管理規約をよく理解していない
  • 以前のお店と管理組合や管理会社がトラブルになっていたことが伝わらない

この2点に尽きます。

区分所有マンションには必ず「管理規約」というものがあり、マンションを使用するうえでの注意点が事細かに書かれたものです。

実例1と2はこれを読んでさえいればこのような間違いは起りません。次に実例3の場合ですが、長年営業してきた飲食店におこりうることですが、既得権益の様に共用部分を使っているケースです。

日頃から理事会で問題になり撤去をお願いするのですが応じてもらえないままお店を閉めて出て行ったという場合で、次の入居店舗からは使用を認めないという場合です。もしこのことが次の飲食店に伝わっていなければ実例3の様なトラブルとなります。

注意:区分所有マンションに入居する際は「管理規約」を必ず読んでから契約するようにしてください。

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区分所有マンションおける理事会の存在

区分所有マンションは区分所有法という法律により決められた運営方法に則って維持されています。その中でも予算や重要な決定事項を協議、意思決定する機関が理事会です。

その構成メンバーは区分所有者の中から選ばれるのですが、まず理事が選ばれ、その中から理事長、副理事長、監査が更に選ばれる仕組みとなっています。この理事会、入居審査に大きく関わってくる場合がほとんどで、多くの方が理事会の罠にテナントである飲食店がまって苦労をされています。

意図せず起きる理事会の罠とは

分譲マンションに飲食店舗として新たに開店しようとした場合、業務内容、営業時間、看板デザイン、置き看板の位置など細かくチェックが入ります。当然ですがこのチェックを通過しないとお店はオープンできません。

そこで厄介なのが、その内容を審査する理事会が開催されるタイミングにあります。

通常1ヶ月に1度の開催というところが多いのですが、投資用マンションなど所有者がそのマンションに住んでいない場合は2ヶ月や3ヶ月に1度という場合も珍しくありません。

そのことが何に関係するのかというと以下の通りです。

開店の準備も含めて入居・開店審査を理事会に提出しても1ヶ月~2ヶ月程回答が待たされるということがおきます。さらに、変更点や改善点などの指摘があった場合、その変更点の承諾を得るのにまた1ヶ月から2ヶ月の時間を要することもあります。

このような理事会からの承認待ちの時間は、飲食店の開店準備をする際に大きな障害となります。つまりいつまで経っても開店出来ないことを意味します。

また、延々と待たされるだけではなく最悪の場合業種・業態を変更しなければならない事態となります。当然資金計画が根本から崩れてしまいます。

理事会と上手く付き合うには

3つポイントがあります。

  1. 管理会社を通じて理事長などに事前内諾をとりつけておく
  2. 臨時の理事会を開いて飲食店の入居条件の審査を行ってもらう
  3. 理事長もしくは理事に持ち回り審査をお願いする

理事会を無事通過させるキーマンは、管理会社です。この管理会社とまずよい関係を構築することです。理事会を通しやすい資料の作り方や表現の仕方などをよく聞いた上で資料の提出をしましょう。

理事会の開催日までに時間がある場合、管理会社から理事長宛に電話を入れて頂き内諾をとる方法や、臨時の理事会を開催して頂いたり、同じ建物内に他の理事が住んでいる場合など理事長が書類の持ち回りで了解を取り付けて頂けるようお願いしましょう。

理想をいうなら、事前に資料を提出しておき理事会の開催日にプレゼンをさせてもらえることが一番でしょう。よく管理会社さんと打ち合わせをしてください。

いよいよ開店。その時の心得とは

めでたく理事会の承認を得られたからと言って油断してはいけません。マンション内には様々な方が住んでらっしゃってお考えや感じ方も十人十色です。

例えば、看板の出し方一つ、音楽のボリューム、ゴミの出し方、そして調理中に出るに臭気などいつ何時クレームとして降りかかってくるかわかりません。そんな時のためにも、開店前のプレオープン時に理事会の方々をご招待して料理を振る舞うことをお薦めします。

もちろん管理会社のご担当も一緒に招待です。はれてコミュニティーの一員となったのですからこれからは管理会社、理事会を味方につけるべく立ち振る舞うことが区分所有マンションで飲食店を続ける一番の秘訣です。

賃貸マンションと違い関係者が多く手続きが煩雑なだけに承認に時間がかかることがお分かりいただけたと思います。もしこれらのことを知らずに区分所有マンションで賃貸借契約を結んでしまったとなればきっと後悔するはずです。

まとめと怖い話

最後に、建てられた年代や分譲会社によって管理規約の厳しさがかなり異なります。もう一度言いますが、区分所有マンションで飲食店を始める際は、必ず管理規約を読んでから意思決定をなさってください。

ここまでいろいろ書いて参りましたが、最後に理事会は、入居後の飲食店に絶対的な拘束力がある飛び道具を有しています。それが管理規約変更です。

重飲食可ということで入居した後、重飲食不可と管理規約が変更されるとテナントはそれに従わざるを得ないというのが事実です。区分所有マンションでは、小さなもめ事が大きくならないよう早期に解決することが長く入居する秘訣なのです。

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