飲食店の廃業と継承

Summary-まとめー

  • 営業権譲渡
  • M&A
  • 業務委託契約
  • 居抜き譲渡

このところ創業から10年以上の飲食店から相談をうけることが増えてきました。きっかけは様々ですが、相談の中身は廃業・継承です。一概に廃業・継承と言ってもこれまで頑張って来ただけにお店に対する思い入れはひとしおです。なかなか踏ん切りがつかないご様子の方ばかりです。

相談に来られる方のほとんどは、その昔開業資金をため、公庫から融資を受ける為に事業計画を練り、ご自身で面接に臨まれた方ばかりです。実は、お店を閉める場合でも同じように計画性をもってあたらなければ残念な結果に終わることもあります。なんとかなると思いながら頑張る中でも、急に閉店を迫られ事態になっても対応できるよう心づもりをしておくことは大切です。

今回は、お店を閉めたあと廃業を選ぶのか、どなたかに継承するのかお店の経営形態や従業員のことも含めて考えてみたいと思います。

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営業権譲渡

実際にお手伝いしたケースですが、70歳を超えて現役の寿司職人さんからの相談でした。

そのご主人は、銀座の名店で修業し40代で独立されたそうです。お店はカウンターだけの7席程ですが、政財界を問わず数名での貸し切りで利用されることが多いお店です。さて、ご主人からはそろそろ引退を考えたいがどうしたらいいのかと相談を受けました。

本人の希望は、お店に立ちながら徐々に引き継いでいきたいというものでした。そこで営業権譲渡のご提案をした次第です。

常連客の中にどなたかお店のスポンサーになってくれる方がいらっしゃらないか探して頂きました。具体的には、お店ごと買い上げてもらい、ご主人とスポンサー間で雇用契約を締結するというものです。ご主人が引退されるまでの期間に後継者を育てることも重要な役割です。並行して、大家さんには賃借人の名義をスポンサー名義に書き換えて頂く許可が必用です。暖簾は変えない、ご主人は残るという説明で大抵はご納得いただけます。

M&A

先程の営業権譲渡は個人経営の飲食店の継承に役立ちます。一方法人として飲食店を経営されている場合は、M&Aでの継承が一般的です。ポイントは2つあります。

  • 債務超過でないこと
  • 利益が出ていること(望ましい)

法人ごと売買する場合であれば、隠れた債務が存在しないか買う方は心配になります。そこに債務超過、つまり資産より債務が多ければ当然M&A的には金額がつかないこともあります。M&Aで飲食店を継承することを考えているのであれば、お店が健全なうちに売ることを考えましょう。

また、買う側にも大きなメリットがあります。厨房スタッフ、ホールスタッフ、アルバイトスタッフまで一度に手に入る訳です。内装やメニューのリニューアルを考えなければすぐに投資に見合う売上が入ってきます。店舗探しから内装工事、スタッフの教育など面倒なプロセスが省けるだけに大手飲食店チェーンも積極的にこのM&Aを繰り返していると言うのが現状です。

M&Aの後、存続会社名が賃借名義と異なる場合は、名義変更手続きが必要ですが、登記上で経営者の変更だけという場合、賃貸借契約書に代表者変更時に届出を義務付けていなければ、特別大家さんへの連絡は必要ないでしょう。

飲食店 閉店の決意はいつ

業務委託契約

創業から30年以上の蕎麦屋さんです。長年勤めてくれた従業員さんが独立をしたいと言ってこられたそうです。慌てたご主人は、今辞められたらこの店も閉めなければならなくなるのでと慰留をしたそうです。ただ従業員さんの意思は固くお辞めになることは時間の問題となっていました。ご相談いただいた際にある提案をいたしました。創業をしたご主人も70代とフルタイムの労働は大変だという話でしたので、お店を独立したいと言う従業員さんに業務委託という形でお店を任せて、ご自身は引退なさってはどうかというものです。業務委託報酬は話し合って利益の中から出してもらえばよいことです。結果双方の思惑が一致し、これまで通りの繁盛店として再出発をされています。

業務委託では、賃借人の変更をしませんので従来通りの契約で良いのですが、業務受託者がもし家賃を滞納した場合は、契約当事者であるご主人が家賃を立替払いすることになります。普段から経営状態には目を光らせている必要があります。

居抜き譲渡

廃業ではありますが、広くとらえれば継承でもあります。これまで見て来た3つの継承方法は、基本営業を継続することが前提になっています。一方こちらは一旦廃業をして、飲食店舗を第三者に売り渡す方法です。但し、いくつかハードルがあります。本来は原状回復義務のある内装・設備を引き継ぐことで、水漏れや電気系統の問題が解消されずに引き継がれてしまうことに危惧を抱く大家さんや管理会社があります。稀にNOと言われることがあります。また、その引継ぎに金銭の授受が行われることで、内装・設備に第三の所有者が生まれてしまい貸借契約が自由にできなくなると勘違いをしている方も大勢いらっしゃいます。そこは、経験豊富な不動産会社を入れることでスムーズに事が運ぶことも度々あります。なにより普段から大家さんや管理会社とは良好な関係を築いておきたいものです。

この居抜き譲渡で一番のポイントはタイミングです。ご自身でお店を引き継いでくれる方を探すのは至難の業です。かといって広く募集をすればお店を見せる対応だけでも一苦労です。また、見つかったとしてもすぐにお店を引き継ぎたいだとか6ヶ月後ではダメかだとか売手の希望より買手の希望が優先されることもあります。ある程度は融通をきかせる必要があります。

タイトルにあります飲食店の廃業と継承の問題では営業に関わる以外の問題も出てきています。高齢化する飲食店経営者が入居する建物の老朽化です。これまで木造建築の建物に入居されてこられた飲食店も多いのですが、老朽化を理由に更新を拒絶されることが増えています。結果建替えて飲食店区画が用意されたとしても賃料が上がってしまい、物販でなければやっていけなくなる案件が増えつつあります。飲食店経営者の高齢化に加え、物件自体も減少傾向にある飲食店。この傾向は当分続くものと思われます。

飲食店の閉店、スタッフや取引業者様等に知られずに売却の相談したい

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