意外と知られていない 業務用食品卸売業界 について

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近くて遠い存在

既に飲食店舗を経営されている方なら日々お付き合いのある身近な存在でしょう。

これから飲食店舗を始めようと考えてらっしゃる方には、どの会社とお付き合いすればどんなメリットがあるのかネットでの評判など気になるところかと思います。

そんな業務用食品卸売業界が果たしている社会的な役割や今彼らが直面している業界事情などあまり触れる機会はないと思います。身近でありながら大切な役割を果たしてくれている業界について改めて紐解いてみたいと思います。

そもそもどんな業界か

業務用食料品卸売業とは、「川上」と呼ばれるメーカーや生産者から「川下」と呼ばれる商品を仕入れ、外食産業・小売店に対し、流通・販売を目的とした業界といえます。そして彼らを「川中」と呼ぶのです。

この川上から川下へのルートで大きく「2つの役割」と「8つの機能」を果たしています。

2つの役割

  • 「商流」・・・商品が売買によって川上から川下に所有権が移ってゆく様を「商流」と呼びます。
  • 「物流」・・・商品が生産者から消費者まで行き渡るまでの保管・仕分け・輸送などを「物流」と呼びます。

8つの機能

  • 「情報提供」
  • 「食品の安全管理」
  • 「小口配送(多頻度)」
  • 「商品調達」
  • 「需給調整」
  • 「物流効率」
  • 「リテールサポート」
  • 「代金回収」

一般的に中間マージンを取り、商品の価格を釣り上げている印象のある卸売業ですが、大量生産された商品を一旦ストックし、それを少量に分けさらに多品種を欠品のないように飲食店・小売店に届ける機能は必要不可欠とされています。

例えば、大量生産で規模のメリットや利益を追求するメーカー、大手生産者(農業・酪農)が直接店舗に取引をしようとすれば、パレット単位やケース単位での販売となります。当然、バックヤードをあまり持たない飲食店舗・小売店側にとっては過剰に在庫を抱えることとなります。

この場合卸は、中間緩衝役として各飲食店舗・小売店の需要にこたえる小分けの配送を、例えば「日に2回行う」など多頻度に渡り対応をしています。(小口配送)言い換えれば、卸売業は在庫を抱えることで安定した流通(需給調整)が可能となり飲食業界にとって心強い存在となっているのです。

つまり欲しいものが何時でも手に入る状態を提供しているということです。(商品調達)また、仕入れのデータや商品情報の提供など情報面でのサポートも行っており飲食店や小売店のメニューや売り場造りをサポートしています。

これら商品が流れて行く過程で生産者、製造者と飲食店、小売店を結ぶもう一つの大きな役目が、代金回収機能です。両社の媒介役としての存在は双方の決済業務の負担を軽くし、生産者やメーカーの代金回収リスクを肩代わりしています。

大手と中小をわけるもの

卸売業にとって物流コストは経費の7割を占めるとまで言われています。

例えば、年商1,000億を超える卸売業者の場合だと、納入先がスーパーマーケットやコンビニ、ファミレスのように過去のデータから何がどれだけ売れるかの予想がたてられる納入先がメインとなります。ですから、決まった時間に決まった種類の決まった量が届くシステムが必要となります。そこで大手は、物流倉庫や運搬車両の大半をアウトソーシングしてコスト低減を図っています。

これに対し、中小は同じようにはいきません。天気や気温によっても注文量が変わる飲食店舗を相手にしている中小卸は、自社のトラック、自社の営業兼運転手がそれぞれの飲食店舗とのコミュニケーションを図り受注につなげ、他社への乗り換えを防いでいるのです。(価格競争だけではないのです)

だからこそ、大手に比べてイレギュラーな注文に備え在庫を多品種、更に数的にも多めに抱えることが重要なポイントとなるのです。それにより効率は落ちるのですが大手が対応してくれない多頻度、小規模配送に対応し、大手程の商品価格の競争力がなくて商品を仕入れてくれるということに繋がります。結果、中小の利益率は大手よりも高い傾向にあると言われています。

中小卸売業者の生き残り戦略

専門性と地域密着

最近の飲食店舗は「食材の産地」などで差別化を図り集客する店が増えています。

比内地鶏、厚岸のカキ、関アジなどなど。これらの要望に応える専門知識や産地とのルートを開拓して行くことがすなわち中小卸が生き残る上で重要な課題となります。

専門性で言えば全国の仕出し弁当専門に食材を下す卸業者などもあり、食材の仕入れやカット加工など特化することでコストを下げ他社を寄せ付けない強みを発揮しています。

一方で、海外からの安価なグロッサリー(香辛料、缶詰、食材)の輸入品を国内で販売したいり、野菜、食肉などを海外で加工することで高い利益率を出す卸も増えています。

今後は、消費者の嗜好多様化に少量・多品種で応えられることや飲食店舗に提案する力が今まで以上に求められるでしょう。

OEM

大手の様に自社センターで加工した食品を大量にデリバリーするのではなく、その土地、土地でメーカーや業者と組んでプライベートブランドを開発し輸送コストを極力削減する取り組みが急務となっています。しかし,ナショナルブランドに対抗する為には、専門知識を持った人材が得意先を回るなど地道な営業もまた不可欠です。

川下戦略

本来は、卸先の小売店の領域ですが、インターネットの普及によりイーコマースの進出が増えています。少量・多品種のノウハウを生かし、プロユースのお店として今まではプロしか手に入らなかった食材を個人向けにリテール販売して新たな収入源としているようです。

これらの戦略で見えてくるのは、大手への対抗策やライバル会社に勝つために単に安い商品の仕入れや開発ではなく、「顧客のニーズ」にあった商品の提案力とそれをいかに安く提供する仕組みが作れるかにかかっていると言えそうです。

また、自前の物流・配送を生かすならば、多頻度配送のタイミング見直し提案を積極的に飲食店舗や小売店に行うことでコストを下げるといった工夫や、過去のデータから一度に運ぶ量を増やすことで単価を下げる提案を行うなど、今まで注文に応じて商品を配送していた現状から、納入先(飲食店舗)のオペレーションを理解して利益が出る提案が出来る仕組み造りへの変化が生き残りの鍵と言えます。

思うこと

飲食店舗をメインとした中小の食品卸売業界はまだまだその機能が望まれますが、価格面での競争は一層激化して行く流れは止められないでしょう。今後は、昔ながらの御用聞き営業での顧客の引き留めや顧客の営業形態にあわせた販売手法のカスタマイズ、商品の品揃えなど「総合」から「専門」へと変化がいっそう加速するものと考えられます。

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