【そこが知りたかった】飲食店に必要な 火災保険 とは

Photo credit: Bill-Chiang via VisualHunt.com / CC BY-NC-SA

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【そこが知りたかった】飲食店に必要な 火災保険 とは

古い木造家屋を改造した飲食店が密集する新宿のゴールデン街、古民家を再生して鴨川沿いに軒を連ねる京都の先斗町。どちらも最近大きな火事が発生し改めて店舗密集地の怖さと防火に向けた取り組みの必要性を感じたと思います。

新宿ゴールデン街では、屋根や壁に石膏ボードなどの不燃材を使用することや窓ガラスを網入りにすることで再建築の合意にいたったと聞きます。

現状の不燃化促進は費用や営業保証のこともありなかなか困難ですが、商店会を中心に啓蒙活動を続けることが最大の予防策だと思います。

さて、そんな啓蒙活動のはじめが「火災保険」への加入です。
もしもの時街が丸ごと燃えてなくならないとも限りません。一軒一軒の取り組みが結果街を救うこととなります。
そんな皆さん知っているようでちゃんと説明できる人が少ない火災保険に関して今回は考えて見たいと思います。

知らないと本当に損する 飲食店舗 保険

火災を起こした借家人の賠償責任範囲を知る

冒頭でお話しした新宿と京都の場合で、出火元となった飲食店が賃貸借物件だったと想定して考えて見ます。

<失火原因>電気系統のスパークなどによる軽過失だとします

  • 隣家や隣室への賠償 ・・・ 損害賠償責任を負わない
  • 大家さんへの賠償  ・・・ 損害賠償責任を負う

※「重過失」とは、わずかな注意さえすれば、たやすく結果を予見することができるのに、漫然とこれを見逃したり、著しく注意が欠けている状態をいいます。つまり過失の注意義務違反の程度が大きい状態をいいます。

例:天婦羅の油を火にかけたまま、その場を離れていたために出火

そもそも火事を起こした火元になった場合、どの法律でどのような責任を負うのか整理してみましょう。

軽過失にせよ重過失にせよ程度の差はことなるものの何らかの不注意があって火事になっている訳です。これをして、借家人の不法行為による損害賠償という隣人、隣室に対する債権が発生することとなるのです。

その法律は以下の通りです。

第709条

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

この法律には特別法が付帯しています。「失火ノ責任ニ関スル法律」という1条しかないものなのですが、

民法709条の規定は失火の場合に適用せず 但し失火者に重大な過失ありたる時は此の限りにあらず。

つまり重過失は賠償責任を問うが軽過失の場合は問わないと定めています。これは、木造家屋の多い日本では延焼の可能性が高く、軽過失で多額の賠償責任を負わせるのは酷だとの判断のようです。

ところが、軽過失の場合であっても大家さんに対しては損害賠償責任を負うことになっています。これは何故なのでしょうか?

ここには別の法律が関わってくるからです。

民法415条 債務不履行責任

この法律が何に関わってくるのかと言うと、賃貸借契約書に必ず入っている「原状に復して返還する」という原状回復義務と密接な関係があります。つまり飲食店舗としてお借りした物件で火事を出してしまった場合、元に戻して(原状に復して)返還する義務を負うこととなり、返還できなければ債務不履行となるのです。

つまり、民法709条は不法行為を規定したものであって、債務不履行となれば民法415条の別の責任が発生するという訳です。

ここまで読むと契約書にそこまで書いてあったのかと疑問に思われる方がいらっしゃると思います。私の知る限りではそこまで明確に求める契約書は見た記憶がありません。一般的には「火災保険に加入すること」と書いてあるだけです。不動産を扱う専門家でさえ火災保険種類やそれぞれの補償範囲を分かっている方は少ないものです。

では、飲食店を借りる借家人の入るべき火災保険について考えて見たいと思います。

飲食店 開店準備のための保険契約

借家人賠償責任保険

この保険は、賃貸借物件で借家人が火災や爆発などを起こし、大家さん所有の建物や賃貸室に損害を与えてしまった場合、借家人が大家さんに対して修理・修復などの賠償責任を負った場合に支払われる保険です。

但し、この借家人賠償責任保険に単独で入ることは出来ません。借家人がご自身の家財が火災で燃えてしまった場合の為に入る火災保険のオプションとなっています。ですので、不動産会社が薦める火災保険に加入されている場合などは保険証書を改めてご確認頂くと火災保険に借家人賠償責任保険がセットされている可能性が十分あります。

これから飲食店を目的とした不動産を借りる予定のある方や契約更新時に火災保険に入り直す方がいらっしゃれば是非確認なさってください。

大家さんもご自身の財産を守るために保険は入っているのが一般的です。火災保険に地震保険。いかなる災害が起ころうとも財産を守り不動産収入を途切れさせないようお考えの方がほとんどです。

だからと言って借家人は保険に入らなくてもよいというものではありません。不法行為と債務不履行にたいする責務を果たさなければいけないことはお分かりいただけたと思います。

しかし、実際に火災が起きてしまった際に、例え時間をかけて争ったとしても借家人にその賠償責任を問えない場合が多く、結果大家さんがご自身の保険で手当てされる場合がほとんどかと思います。

そうなれば、新宿や京都のような街の復興は遅れるばかりか消防署の立ち入り検査が厳しくなり改善箇所の改修が高額になる場合や建物改善に大家さんに多額の負担を強いることにもなればもはや飲食店経営どころではなくなります。

なかなか見えづらいものかもしれませんが、飲食業を営む義務として火災保険、借家人賠償責任保険の加入が広く認知されればと願っております。

そこが知りたい 飲食店の保険料はいくら

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