コロナ禍で脚光をあびたウーバーイーツもほぼ一巡し、以前に比べ出動回数が伸びないと聞きました。少々割高とはいえ、出かけずにお気に入りの料理が食べられる手軽さはこれからもなかなか手放せなような気がします。
味の良し悪しはさておき、注文に好みが偏る傾向を何とかできないかと悩む向きもあろうかと思います。そんなこともあってか女性にはサラダのデリバリーが人気とのことです。
ウーバーイーツはお客様の指名を受けて料理を取りに行くということは、食べる料理を定めて来店するお客様も大勢いることになります。
本日のタイトルにある家賃を下げるためにメニューを工夫するという発想はそんなご指名利用が増える昨今の時代を反映しているといえるでしょう。
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飽食の時代に飲食店のメニューはどこに向かうのか
誰もが知っている演歌「居酒屋」がヒットしたのは1985年の事でした。この時代ランチと言えばサンマに象徴される焼き魚定食にアジフライ定食、焼肉定食もあればチャーハンにラーメンなど定番中の定番達です。
高度成長期日本中が必至で働いていた頃食生活は、お米を主食とした煮物、焼き魚が中心でコレステロールなど気にすることはありませんでした。ところが、核家族化が進み家族が揃って食事をしなくなったころから個食化と言われる一人ひとりメニューの違う食事をとるようになり、ハンバーグや肉を中心に、レンジでチンする冷凍食品など手軽に作れる食事が増えたのです。これにより日本の食生活は大きく変化して行きます。
一度にまとめて食事を作らなくなったことで消費性向も変化しました。食材を買い求めるスーパーからお弁当やお惣菜など出来合いの食料を扱うコンビニへとシフトしていったのです。
メニューの変化は生活習慣病を生む
この変化はまた成人病と呼ばれるいくつかの生活習慣病を発症させる諸悪の根源としてやり玉にあがるようになりました。最近ではトランス脂肪酸など原材料に含まれる要素まで敵視されるようになっています。
日本人は、手軽な食生活=ジャンクフードとかファストフードなど飲食チェーン店の台頭による大きな影響を受けるようになりました。その最たるものがハンバーガーとファミリーレストランです。この30年間でこの二つとかかわりなく生活してきた人は皆無ではないでしょうか。食事を構成している物は肉類が多く日持ちのするものがほとんどです。したがって幼少時代から成人病の予備軍を造り出しているようなものなのです。
加速する飲食における近年の手軽さが生むさらなる弊害
バブル崩壊後、デフレ経済が続き失われた20年と呼ばれる景気の中で、飲食店の設定価格は低価格がトレンドとして推移してきました。牛丼に象徴されるこの低価格競争は新しい食文化を生み出しました。いわゆる「中食(なかしょく)」というを生み出します。
これは、外で食事をする「外食」と食材を買って帰り家庭内で調理をして食べる「内食」の中間にあるという位置づけで、買って帰ってすぐに食べられる食事を指します。
早い話が、コンビニのお弁当であったり、ナショナルチェーン店のテイクアウトだったりします。500円ワンコインで食べられる食事の競争は、当然食材の無駄や調理方法の無駄を極限まで切り詰めて行きます。人が手間をかけるより大きな外国の工場で調理した食材を冷凍したものが中心となります。それは幕の内弁当でさえです。
お気づきのように、このような食生活が続けばすぐにメタボリック症候群の仲間入りです。そこまでわかっていても低カロリーのランチや食材は手間がかかるのかどれも安くありません。
それに比べて、本来奥様がお弁当を毎日作ってくれる人は恵まれた少数派なのですが、こちらもおかずは冷凍食品が中心です。冷凍庫から出して、お弁当に詰めれば、調理をせずに自然解凍して美味しく食べられます。このシリーズは相当重宝がられていますが、いまだにそのことをご存知ないお父さんも大勢いらっしゃいます。結局、手作り弁当といえどもあまり健康とはいいがたいもになっています。
メニューで家賃を下げるとはどういうことか
厚生労働省も頭を抱えるこのような負の連鎖に一つの回答を出した企業がありました。体重計を作る会社でした。その会社が持つ社員食堂の栄養士さんが、美味しくて低カロリーなメニューを紹介したところたちまち話題となり、レシピ本が発刊されついには丸の内にレストラン(食堂)を出すまでになったことは皆さんもご存知のことと思います。ここに儲かりの大きなヒントがあります。
- カロリー表示や
- アレルギーを持った人向けの特定食材を排除したメニュー
なぜなら、その目的の為なら少々離れていてもお客様は来てくれます。その意味で言えば家賃の高い1階ではなく家賃の安い3階、4階以上でも十分営業していけます。調理や素材にお金が掛かるとすれば、家賃を安く抑えることでバランスをとればいいのです。
発想を切り替えて新たなメニューにチャレンジすれば、大勢ではありませんがそのものを必要としている人が必ず訪れてくれます。ランチばかりではありません、夜のメニューでも「小麦粉を使わないグルテンフリー」と呼ばれる食事は多くの方から熱望されています。コロナ禍で利用されているケータリングでそのようなメニューを出すお店はまだまだ少数派です。
~まとめ~
この健康志向は次に飲食店内で野菜を栽培する野菜工場へとつながって行くものと予想されます。つまり野菜はお店で育てて摘みたてを食べる時代になるのです。昨今技術の進歩は目覚ましく、設備にかかるコストが下がっています。この価格低下は普及を加速させさらなるコスト低下につながります。新しいメニューやそのメニューを主体とした新業態は誰かが成功してからでも遅くないかもしれません。ただ、お店の宣伝や立地で苦労をされている飲食店にとっては大きな集客力になるはずです。どこかがやる前にそのポジションを確立すれば、リピーター客が増え売り上げは安定します。家賃の低減と話題性でウイズコロナの時代にぴったりです。