飲食店 独立・開業に必要な 開業資金 の考え方

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飲食店 ・開業に必要な の考え方

脱サラ。会社を退職して独立・開業される方々を一括りにして呼ぶ時代がありました。近年、独立や開業という呼び方をするようになりましたが、最近になってまた脱サラという言葉が復権しているようです。

日本において人口増加のピークは過ぎ、超高齢者社会に向かう今、働き方の多様化と、終身雇用の崩壊という働く枠組みが大きく変化するなかで、共働きでないと満足な子育てが出来なくなっているばかりか、老後の不安さえ拭えない時代へと差し掛かっています。

日本人の働く意識は変化をし、雇われる安定から、自分で商う安定に回帰し始めたのです。その意味において脱サラ復権の流れとなるようです。

古くは、楽市・楽座の時代から人は衣・食・住にまつわる何かを生み出し、通貨に交換することで糊口をしのいできました。現在においてその一つ「食」のテーマに向かって脱サラ=独立・開業をする皆さんが増える中、安定的に商売が続けられる飲食店の開業資金について今回は考えてみたいと思います。

開業のスタート地点

これまでのスキルを活かし、満を持して独立・開業という方もいれば、何年か先に独立・開業を目指す目標にしたい、早期リタイアで好きなお店を持ちたい、と理由は人それぞれだと思います。

潤沢な資金があるにせよ、借り入れをおこすにせよ、飲食店舗開業の考え方は同じです。

今回10席~20席程度のお店を月25日営業で想定して考えます。

まず、大きく3つのカテゴリにお金を分けます。

1.グレード(スケルトン・居抜き)

これから飲食店舗を開業する物件が、何もないスケルトン状態からのスタートと、居抜き状態からのスタートで初期投資にかかるお金に大きな差が出ます。

例えば10坪程度のお店であっても、スケルトンから内装、ガス、水道、電気、厨房工事で、特別なことをしなくても800万円程度はかかります。

プラス厨房機器が必要になりますので、1,000万円は見ておく必要があります。

しかしこれが「居抜き」となると大きく予算が変わります。既に内装に厨房機器までついて150万円程度で手に入ります。その後、壁紙の張替や看板の架け替えなどに100万円をかけたとしても250万円程です。

スケルトン・・・ 1,000万円 ①

居抜き  ・・・   250万円 ①-2

但し、内装に特別な部材やマンションなどで高さのあるダクト工事、また高級家具を入れたい場合などは、ここにその金額を足して計画してください。

2.食材費・人件費(FLコスト)から開業資金を算出

どのような料理を提供するか、まずメニューを考えます。

次に1日当たりに来店されお客様の数と、お客様が注文されるであろう料理、もしくはお店としてお客様に売りたい料理を予想します。

通常は売上予測の方法ですが、ここは材料の仕入れについての数字をはじき出します。注文する頻度が毎日なのか、3日おきなのかは別として、毎日どれだけの注文をしないと次の日に受けるオーダーを賄えないかを金額で出します。

もちろん、ウイークデーと金曜では予想が異なるでしょうし、週末の営業であれば団体予約も入れたいところです。食材とお酒の注文が25日間で平均して1日2万円だとすれば月に50万円です。

次に人件費です。独立・開業なさるオーナーは、毎日お店に出るので25日勤務です。アルバイトさんが時給@1,000円で1日8時間(ランチと夜)、25日稼働で20万円。オーナーの報酬を月に35万円に設定すると人件費の総額は月に55万となります。

この食材費(Food)と人件費(Labor)のコストのことを、その頭文字をあわせて「FLコスト」と呼びます。

ご存知の方も多いと思いますが、飲食店舗の経営指針を、総売上コストに占めるこのFLコストの割合で評価するのが一般的です。また、通常総売上コストに占めるFLコストの割合が55%~60%が健全とされています。では、具体的に見てみましょう。

F(食材)50万円 + L(人件費)55万 = 105万円

仮にFLコストの比率が55%だとすると、105万÷0.55=190万円となります。

現在計画している飲食店舗の月の総コストは190万円に抑えるという一つの目安がここで見えてきました。

また、このFLコストの重要なポイントがもう一つあります。

お店をオープンしてもすぐに想定をした売上が出るとは限りません。周辺の方々に認知してもらい、リピーターを増やして初めて可能となるのです。自分はオープンから満杯にする自信がある、という方も大勢いらっしゃると思いますが、計画段階ではまさかの事態に備えて資金計画を立てておきましょう。

つまり、固定客がつくまでの間、仕入れた食材が無駄になることもあるでしょうし、アルバイト代やオーナーの人件費などは必ずかかってきます。予想の売上に達するまで売上を補てんする期間を予め想定しておきましょう。

このコストを「運転資金」と呼んでいます。その運転資金ですが、最低でも3ヶ月分、他業種から初めて飲食業界で独立・開業をされる方なら6ヶ月分は準備しておかれることをお薦めします。ここを想定せずに最初の内装や賃貸借にお金を使いすぎてしまい、開店半年で閉店という事態も実際には起こっています。そうならない為にもしっかりと準備しましょう。

開業時の運転資金 ・・・ 100万円(~300万円) ②

飲食店舗の損益モデル
売 上 高 100
食材費(F)+人件費(L) F+L= 55~60%
諸 経 費 14%
初期条件(賃料・リース代等) 20%
利 益 6~11%

3.賃貸借に関わる費用

先程のFLコストから逆算した総コスト190万円を再度使って、飲食店舗の賃貸借契約に必要な資金を逆算してみましょう。飲食店舗の損益モデルを参考にして計算します。

総コスト190万円÷0.9(利益分)=210万・・・売上高

この20%相当が賃料となります。

210万円 × 20% = 42万円

但し、リースの代金や借入資金の利子や返済分がありますのですべてを家賃に振り分けるのは現実的ではありません。

リース代 + 借入利子 + 返済 = 7万円(3%)を引くと

42万円 - 7万円 = 35万円が賃料の上限となります。

賃貸借契約に必要な資金

1ヶ月の賃料  35万円

敷 金    280万円 (賃料の8ヶ月分)

礼 金     70万円 (賃料の2ヶ月分)

仲介手数料   35万円 (賃料の1ヶ月分)

合 計    420万円  ③

独立・開業の創業資金の合計

① + ② + ③の各合計

スケルトン 1,520万円

居抜き     770万円

毎月決まった額が出て行く初期条件。リース代と不動産の家賃でFLコストの割合も、利益の残り方も大きく変動します。

例えば、同じような規模の不動産物件でも、駅前の一等地や人気の駅周辺と、ちょっと郊外の駅や1.5等地と呼ばれる通りから一本入った立地などで、月額の家賃は月々10万円もの差が出る場合があります。ここでお薦めなのは、いくつかの物件でシミュレーションを行ってみて、無理のない場所、立地を選ぶようにすることです。

本来は、メニューと客単価の関係から積み上げた売り上げをもとに算出することが望ましいのですが、今回は、分かりやすいようにモデルケースを用意して、独立・開業に必要であろう資金の標準的な考え方にFLコストを使いながら説明いたしました。

一度、ご自身で事業計画書をお作りになり、立地と店舗の規模を決めたなら創業にかかる資金の総額を算出してみて下さい。その上で自己資金を踏まえて借入金の額と返済計画を立てられることをお薦めいたします。

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