コロナ脅威が遠のいた金曜の夜、早い時間から飲食店は満席となり以前の日常が戻りつつあります。
とはいえ飲食店側は多くのオーダーをさばかなければいけませんし、お客様がたいらげたお皿やグラスの下膳など大忙しです。
実はこの瞬間にお店の評価を左右するあることが起こっていることをご存知でしょうか。忙しさのあまり、業務にばかり集中していると、大切なお客様を失う事態になりかねません。
今回は、お店が満席になった時に気をつけるべきお客様対応について考えて見たいと思います。今迄無意識のうちにやっていたことかもしれません。今一度振り返ってみて下さい。
飲食店が満席時に料理を待つお客様に対して
満席時にお客様目線で気になることがあります。特にホールと呼ばれる接客をするスタッフの目線です。
接客に余裕がある時は、お客様の方をシッカリ見据えてオーダーがかかる時を待っています。またグラスが空いた際はすかさずテーブルに行きグラスやジョッキを下げるついでに次のオーダーを取ることを忘れません。
ところが満席となればそうはいきません。オーダーをしたくてもホールスタッフと視線が合いません。いきおい声をかけることになります。
その程度ならまだしも、注文した料理が運ばれてこない、時間がかかっているなどクレームに近くなる場合さえあります。
そうなるとホールスタッフは防戦一方です。お詫びの言葉もそこそこに厨房との行き来で精一杯です。
この状態はお店のスタッフがお客様を向いていない時間帯です。
つまり業務に忙殺されサービスよりもオーダーをこなすことが一番の課題となっている状態です。
今日は混み合っているから致し方ないと客側も諦めるのですが、入店してからしばらくして今日は団体客が入っているから勘弁してくださいと言い訳されても、最初に言ってよと言いたくもなります。
さて、このお客様を向いていない状態はが満室時だけではなく、平常時でも起こっているとするとその飲食店はお客様を失うことになります。実は週末でも閑古鳥が鳴いている飲食店の特徴と申し上げてもいいでしょう。
飲食店側にも言い分はあります。人手不足や価格競争を考えるとアルバイトや従業員を一番忙しい時間帯に合わせて配置することなど不可能です。しかし、それでもお店を利用して下さるお客様がいらっしゃるわけですから何かの形でその状況を打破する必要があります。
- 注文から提供するまで時間がかかるメニューを把握する
- 比較的早く提供できるメニューを把握する
- ドリンクのオーダー優先する
予め料理が出るのが遅くなることが分かっているだけで人は我慢できる時間が変わってきます。
ファストフードの様に注文から提供まで3分というのではなく、料理店で15分、お酒を出すお店で20分が限界と言われています。
オーダーを受けた時間を把握していればさらに次の手が打てます。ちょっとした一品を料理を提供できるまでのつなぎで出すようにすれば、逆に好感度は上がります。
さて、赤坂の飲食店ではオーダーをホールスタッフが大声で読み上げると厨房からも大きな声で答えます。いよいよオーダーが詰り始めると今度は、今何を料理しているのか厨房から大声が聞こえ始めます。時間のかかっている料理では、もうすぐ提供できるからと予告をします。その声を聞いているだけでも微笑ましくなるのですが、一石二鳥の満席対策です。
飲食店が満席で入店できなかったお客様に対して
予約をしないでお店を訪ねることって多いですよね。人数が多い時などは予約をしますが、急に決まった時や少人数の時などその場の雰囲気でお店をチョイスするものです。そんな時訪れたお店が満席で入れないとなると選択肢が二つです。別の店を探すか、席が空くまで待つかです。
お客様の回転がいい人気のお店等は店先に行列というのもまたいいものですが、大半の飲食店はそうはいきません。
「席が空けばTELします。」最近では、「Lineで知らせます」というお店もあります。この方法は、目的性の強いお店で威力を発揮します。
例えば、SNSで話題のお店などそこにしかない何かを求めて来店される場合です。20~30分だったら近くで時間を潰しているからというのは意外と女性に多いパターンです。無下に満席ですからとお断りしないようにすれば、確実に来店につながります。
また、レインチェックを発行しましょう。これはアメリカの野球場が、雨で試合が中止になった時に渡していた次回無料券の事です。
これを飲食店に応用すると、今日は満席で入れない分、次回来店時に使えるレインチェックつまり割引券やドリンクの無料券などをお渡しする工夫です。
来店の都度にスタンプを押すカードよりも即効性があります。ドリンク一杯で次に来店頂けるのなら安いものです。
ともかく飲食店は売り上げの前に来店数を気にすべきです。来店する客数が伸びれば少なくとも固定費は賄えます。
ところで、アメリカの飲食店ではレインチェックはお客様もよく使うフレーズでもあります。例えば、お店が混み合っているのを見て、「また来るよ」という時に「レインチェックをもらってゆくよ」と言うのです。
~まとめ~
馴染みのお客様を満席を理由にお断りしなければならない時のお店のご主人や女将さんの対応をお見掛けしたことはありませんか。
必ずお店の外まで謝りながらお見送りをしているはずです。何もお詫びにレインチェックを渡さなくても、本当に申し訳ないという気持ちが伝われば十分な場合もあります。ここがホスピタリティーであり、お店の対応がお客様を向いているという部分です。
商売では、儲かっている時に損をする種をまくという諺があるように、まさに満席時がその時なのです。
ご主人や女将さんと言わず、お店のアルバイト、従業員全員で満席時の対応を話し合うことでお店全体でお客様を向いた対応が出来るようになります。年末を控えたこの時期に一度時間を取って見てはいかがですか。