飲食店舗のポータルサイトとして有名な会社が出している閉店、廃業に関するデータでは開店から2年以内に閉店する割合が50%を超えると発表していました。2020年には60%を超えるというデータまであります。
今回は帝国データバンクが公表しているデータを引用しながらもう少し広い視野で閉店、廃業の実態を捉えて見たいと思います。
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2019年飲食店閉店、廃業推移表~過去最悪ペース~
2019年11月までに閉店廃業した飲食店は688件にのぼります。この時点で前年度の653件を上回っている尾ですが、それ以上に過去最多を記録した2017年の707件を抜いて728件に達する勢いです。
ここでいう「一般食堂」は大衆食堂を指し、「日本料理店」のなかには、てんぷら、うなぎ、とんかつ、沖縄料理などが含まれます。「中華・東洋料理」は、中華、ラーメン、カレー、焼肉、餃子などが含まれます。また、「西洋料理」には、レストラン、フランス・イタリア料理などが含まれます。
2003年から閉店、廃業のトップは「酒屋・ビヤホール」であることが解ります。業態別構成比でみても最も店舗数が多いようです。ここには、焼き鳥、おでん、もつ焼きなどいわゆる居酒屋形態がメインとなります。その酒屋・ビヤホールで2019年は過去最高の閉店廃業数となっています。同様に過去最高となった「西洋料理」と「中華・東洋料理」の三業態で全体の52.2%を閉めています。
飲食店の都道府県別閉店、廃業動向
経済産業省が発表している飲食店数は、「飲食業、飲食サービス」のうち「飲食店」に該当する民営事業所をカウントしています。
都道府県別ランク
1位 東京都 80,342事業所
2位 大阪府 51,230事業所
3位 愛知県 37,978事業所
4位 神奈川県 33,908事業所
5位 兵庫県 28,392事業所
6位 北海道 28,392事業所
となっています。この飲食店数を頭に入れながら下の表をご覧ください。
この表は飲食店の所在地毎の閉店、廃業件数です。
2012年から東京都が常に1位です。同様に不動の2位は北海道です。飲食店舗数が多い愛知県や神奈川県などは毎年上位にランクインしています。よくこの数字をながめてみると必ずしも店舗数の多い都道府県がその数に比例して閉店、廃業が多いのではないことがうかがえます。事実4位にランクインしている新潟県は経済産業省の飲食店ランキングでは、全国16位、事業所数でいえば10,844しかありません。店舗数で言えば東京の2割にも満たない店舗数でありながら閉店、廃業数は東京の5割近い数字になっています。同様に広島県の店舗数11位、富山県の店舗数39位なども考え合わせると閉店、廃業には別の要素がありそうです。
同じ都道府県別調査で人口1,000人当たりの飲食店数を調べたデータがあります。こちらを合わせて見るとまた違った結果が出てきます。
1位 沖縄県 8.70店
2位 東京都 7.72店
3位 高知県 6.91店
4位 大阪府 6.83店
5位 山梨県 6.51店
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9位 北海道 6.11店
10位 愛知県 6.11店
東京の2位は頷けますが、沖縄県の1位は驚きです。高知県の3位同様に、お酒好きの県民性が表れていますが閉店ランキング上位には出てきません。逆に閉店ランキング上位の神奈川県などは、1,000人当たり4.40店しかなく全国平均5.53店を大きく下回っていることが不思議です。
飲食店の営業年数別閉店、廃業動向
営業年数別に閉店、廃業件数を比べてみたデータが下記にありますが、冒頭に御紹介したポータルサイトの発表と異なり、開店から10年から30年の飲食店の件数、割合がトップです。逆の言い方をすれば、開店から10年未満の割合はあまり高くないことが解ります。このデータの違いはどこから生まれてくるのでしょうか?次のデータを見るとさらに違った印象を受けるはずです。
飲食店の経営者年齢別閉店、廃業動向
まずは表をご覧ください。
飲食店の閉店、廃業経営者像は、60代をトップに、60代以上の経営者で約6割を占めています。これに対し30歳未満はごく僅かです。構成比率で言っても1%未満です。先程の営業年数と考え併せても、事業に行き詰まるというよりも長年経営をしてこられて引退をされるようなイメージの方がしっくりくる気がします。
飲食店の閉店、廃業~まとめ~
2019年10月に消費税が10%に引き上げられました。飲食店舗は値上げか据え置きかの決断を迫られたのですが、一方で持ち帰りなどのテイクアウト商品が8%に据え置かれたことで、一層の客離れを引き起こしたと考える向きもあります。
2020年には改正健康増進法により屋内原則禁煙となります。また新型コロナウイルスによる飲食店に対するダメージも深刻です。
東京オリンピック・パラリンピックの延期が決まり先行きは不透明です。2020年の飲食店業界はかつてない試練の年となることでしょう。
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