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飲食店が資金繰りに陥らない為に必ずやるべき3つの見える化

飲食店-資金繰り-見える化

StockSnap @ Pixabay

飲食店舗経営を対象にしたサイトは多くありますが、飲食店の資金繰りについて書かれているのもが少ないように思います。また、内容が専門的だったり用語解説的なものだったりなかなか知りたい部分を言い当てていないようにも思います。今回は、資金繰り=キャッシュフロー=お金の流れととらえて、実際にお金が入ってくるところから実際に出て行くあたりを中心に話を展開したいと思います。

Contents

1.お金のサイクルを知る

ご家庭で料理を作ろうと思うとスーパーマーケットに出かけて行き、レジでお金を払って食材を手に入れます。大半の方が現金払いですね。これに対し食品卸し業者を使い食材やお酒を仕入れる場合は勝手が違います。注文一回ごとの精算ではなく週単位であったり月単位でまとめて注文した商品のお金を清算する方法が一般的です。この支払猶予期間を「支払いサイト」と呼んでいます。

この支払いサイトですが、開店当初は信用がない為に1週間か2週間単位で注文をした材料費やお酒の代金を食品卸し業者に現金振込みのような形で支払います。それが信用と共にこの時間が伸びて行きます。一般的な支払いサイトは月単位で注文した額を〆て翌月の月末に支払うというものです。つまり、1ヶ月分の材料費、酒代を1ヶ月後に支払えばいいということになります。

さて、入ってくるお金はどうでしょうか。お店を開けばお客様は来店頂きお金を支払ってくれます。ツケで買った食材やお酒で毎日お金が入ってきます。月末にお店を借りている家賃やアルバイトに給料を払っても十分お金が残っています。ところが、いざ材料費を払う段になって思っていたよりもお金が残らないとなって慌てる方がいらっしゃいます。

ここにもう一つの要素が加わると更に複雑になってきます。カード支払いです。ちょうど仕入れが1ヶ月先まで支払いを延ばしたのと逆で、お店の売上代金が遅れて入ってきます。この入金サイトですが契約前によく調べないと後で後悔することになります。

実際にうかがったお話では、団体客や貸し切りが増える時期などカード支払いだと食材と正反対に入金が先延ばしとなる為手元にお金が入りません。家賃や給料、それに食材の支払いに間に合わないとどうなるでしょう。現金がなければいかに売掛金があってもアウト(倒産)です。複数のカードが利用できるカード支払いの代行会社はいくつもありますが、中には数日から1週間で支払いという会社もあれば1ヶ月後という会社まで様々です。よく内容を比較してから契約をしてください。

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2.入金と支払いを見える化する

仕入れも販売も現金のみであればあまり難しく資金繰りを考える必要はありませんが、支払、入金ともにサイトがありそれぞれにタイミングが違うと余裕をもった運転資金が必要になります。ではどのようにこれらを管理すればいいのでしょうか。一件難しそうに思うのですが、実は頭で考えているよりも支払いの額と入金の額を並べてしまえばさほど心配するような事態にはなりません。

例えば、縦軸に日付入れたマスを並べて横軸には支払いと入金の二つのマスを用意します。仮に4月1日から毎日1万円の仕入れをしたとしましょう。支払いのマスは毎日0円が入りますが、実際の支払日である5月31日のマスで金額は増えて行きます。最初の4月は25日に家賃と給料の支払額を入れておけばその合計がその月の総支払額となります。もう一方のマスには毎日の売上金額を入れて行きます。もしカードでの支払いがあった場合はカード代行会社からの入金日のところに売上額を入れてください。この記録を毎日つけて行けば月末の支払いや翌月の入金額が一目瞭然です。普段の確定申告のための帳簿などとは別に実際のお金の流れを示した一覧表です。これがあることで月末や支払いの日が迫ってから慌てることは無くなります。これがキャッシュフロー表と呼ばれるものです。

3.利益が出ているか知るには

飲食店は特定の月や季節によって売り上げが変わるものです。12月は忘年会やクリスマス特需で普段の2倍以上の売上があるお店もあります。同様に3月や4月なども歓送迎会のころとなり売り上げが伸びます。逆に連休の5月やお盆休暇の入る8月などは売り上げが落ち込むこともあります。もちろん一般論ですから、全くその逆のケースもあるかもしれません。どちらにしても特定月以外で安定して売上と利益を出せているのを知る為の方法があります。お店を始める時にお世話になるかもしれない日本政策金融公庫なども指標として利用している「FL比率」というものを使います。

(1ヶ月間で食材・お酒を購入した額+1ヶ月の人件費)÷1ヶ月の売上

毎月この数字を出してみて下さい。業種にもよりますが、1ヶ月にかかる食材・お酒と人件費が売り上げに占める比率が概ね50%~60%の間に収まっていれば合格と言えます。ここでその割合が毎月65%を超えるようだと黄色信号です。食材の廃棄率が高いか、メニューの設定金額が安いのか、人件費をかけ過ぎているのか、そもそも売り上げが少ない(来客が少ない)かの何れかです。すぐに対策をしないとお店は長続きしなくなります。

日本政策金融公庫 がみた 黒字 の出る 飲食店 の特徴とは

資金繰りに困った時出来る奥の手

これまで見て来たお金の流れを見える化する資金繰りとは別にもう一つの資金繰りがあります。それは運転資金を工面することです。もし借り入れをして始めたお店で返済途中に運転資金が必要になっても銀行も公庫もお金は貸してくれません。かといって、安易にカードローンなどに頼るのも金利が高くおススメできません。どうしてもまとまった資金が必要な場合は一つ手があります。

現在借りている飲食店の賃貸借契約時に大家さんに預けた敷金を担保にして銀行からお金を借りる方法です。これを「敷金返還請求権に対する質権設定」と言います。まず大前提として敷金を預かっている大家さんの了解を得る必要がありますが、敷金を受け取る権利を銀行に担保として差し出しお金を借りる訳ですから、もし返せない場合、大家さんはお店を借りた本人ではなく銀行にそのお金を返すということになります。

一般的ではありませんがいざという時に備えて覚えておいてください。その場合、縁もゆかりもない銀行ではなく、普段からお付き合いがあり、通帳に入出金の記録が記されている銀行にお願いしましょう。銀行も貸したお金が帰ってくるかどうかという判断は通帳にしるされた記録だけが頼りです。普段から几帳面に記録を残すようにしましょう。

~まとめ~

飲食店の経営でやってはいけないのが、未記録の仕入れや入金を作らないことです。お金が残っている時は大目に見ることが出来ても季節や社会状況の変化でいつ変調をきたすかわからないのが飲食業界だからです。(コロナがそうでしたね)

流行りに乗り遅れまいと新業態、新メニューの開発に力を入れている大手チェーン店を見て分かるように、彼らはその怖さを知っているだけに開発の手を緩めないのです。本質的には美味い料理や上質のサービスを造り出すことが大切ですが、今の時代飲食店は個人店であっても経営をする意識を持たないと飲食店は長続きしないのです。

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