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【店主さん注目!】飲食店は「最低賃金」値上げに対応しているか(令和4年10月1日発行)

飲食店-最低賃金

Photo by Ministry of Health, Labour and Welfare

令和 4年10月1日に発行となった東京都の最低賃金は1,072円(時間額)となりました。

平成16年から毎年金額の改正が行われている東京都の最低賃金。東京都に限ってお話をすれば、ここ10年ちょっとで時給額が739円から1,072円まで上昇しました。実に45%ものアップです。

この数字をどのように見るのかは労使双方で意見の分かれるところです。ただ、コロナ禍による飲食店の時短要請がなくなり、海外からの旅行者の規制も全面撤廃のタイミングで、感染者数は減り街には賑わいが戻りつつあるります。その様な折、アルバイトなどの労働力不足が急に叫ばれています。

今回は、知らず知らずのうちにコロナ前の感覚で最低賃金を下回って人材募集をしていないかチェックの意味でご覧いただければ幸いです。

Contents

最低賃金引き上げに対応した傾向(全業種)

前々回の値上げ後に総務省の行った調査では各業種別に最低賃金が遵守されているかどうかの調査が行われています。対象となる非正社員の数が一番多かった業種が「卸、小売業」であったのに対し、業界で最低賃金が守れていなかった事業所の割合が一番高かったのが「飲食サービス・宿泊業」となっており全体の1割を超える事業所で最低賃金以下の賃金しか支払われていなかったという事実が浮き彫りになりました。

一方で厚生労働省が平成27年に調査している賃金構造統計では面白いことが分かります。東京都におけるアルバイトなど非正社員の賃金分布を示したその資料では、最低賃金よりも少し高目の賃金が一番多いのかと思いきや、平成22年頃から最低賃金に結構上乗せした時給1,000円を超える金額の事業所が一番多いという結果になっています。

飲食店 アルバイト比率が84%の現実

飲食業界にある最低賃金のワナ

さて、最低賃金で陥りやすい間違いのが各種の手当だと言います。例えば皆勤手当てや家族手当などを加えた金額でかろうじて最低賃金を上回るというのでは、実際の時間当たりの賃金は最低賃金を割り込む可能性があります。なかでも通勤費支給の触れ込みで、実際の金額ではなく一律いくらとしている場合など、実費を差し引くと最低賃金を下回る危険があります。

また、意外と表に出にくいのが正社員の賃金だと言われています。

例えば、ある大手居酒屋チェーンが新卒採用に出した事例で見てみましょう。

  • 固定給20万円(基本給17万円+みなし深夜勤務手当3万円)
  • 年間休日 107日
  • 所定労働時間 1日8時間 週40時間

というものでした。手当であるみなし深夜勤務手当を除いて計算してみます。

17万円÷((365日-107日)÷12)÷8時間 = 988.37円 < 1,072円

もし「東京」にある事業所に配属された場合、最低賃金を満たさないことになります。実は、この大手居酒屋チェーンのアルバイト募集金額は時給1,100円で出されているようです。意外にも正社員の方が最低賃金をもらえていない実態が露見しています。飲食店チェーンを調べると似た様なケースはもっと出てくると思います。

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最低賃金 海外との比較

日本の最低賃金は海外との比較でいうと高いのでしょうか安いのでしょうか。

最低賃金でアルバイトを都内でやった場合、1日8時間、週40時間フルタイムで働いたとすると200万円程の収入となります。2016年当時でヨーロッパが時給1,000円前後の国が多いなかフランスは1,080円と一番高い最低賃金となっていました。

先程と同様の計算をしてみると年間225万円となります。これまでアメリカでも日本同様に1,000円前後に定める州が多かったのですが、このところのインフレと人手不足を反映してロサンゼルスでは、最低自給時給16.04ドル、つまり時給2,325円(1$=145円)まで引き上げられています。

~まとめ~

急速に欧米並に進む最低賃金の底上げは何を意味するのでしょうか。働き方の変化が大きく関わっています。以前パートやアルバイトといった非正社員というのは、一般家庭で言えば収入の補助的なものであったり、学生で言えばお小遣い稼ぎといった意味合いが強く恒久的なものではありませんでした。

ところが非正社員の数が今や2,000万人にも増え、日本の労働者の4割に達することを考えると彼らが世帯主として家族を養う為の収入を確保しなければならないのです。必然的に最低賃金のベースアップは急務とされたのです。ただ、企業にとっては相当な負担となる為慎重な意見が経団連をはじめ出されています。

政府としても今後最低賃金を上げて行く過程で、減税と組み合わせたり社会保険料の負担を軽くするなど欧米で行われている手法を積極的に取り入れる必要があるでしょう。それがやがて消費に回りGDPがアップするのであれば大歓迎です。

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